働きたくない錬金術師
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 第六話 スタッフさんが美味しくいただ…

 

 

 月村すずかが通う聖翔学校での出来事。

 

 「…か。すずか」

 

 「ひえ、な、なにアリサちゃん」

 

 すずかは昨日出会ったナンブの事を考えていた。

 こちらの正体をズバリと言い当てた彼は今、月村の敷地内を探索している。

 その間、ファリンとノエルがついて彼の監視を行っているそうだ。

 ナンブが言うには自分と一緒に転送されているだろう青い宝石が自分が落ちていただろう場所の近くに落ちているはずだ。

 

 「なのはに続いてあんたもなにぽーっとしているの?」

 

 「あ、うん。ちょっと考え事をしていてね。て、なのはちゃんも?」

 

 「ええ。なんか変な夢を見たと来いって授業中も放っておくと窓の外を見るのよ」

 

 アリサの言葉を聞いてもう一人の親友のなのはの方に向けると確かに教室の窓から空を見ていた。

 なのはちゃんも私と同じような事を悩んでいるんだろうか。

 

 「で、あんたもどうしたの?昨日まではなにもなかったわよね?何か変な物でも食べた?変な事でもあった?」

 

 心配してくれているアリサちゃんに私は答える。

 

 「…すずか?」

 

 「アリサちゃん。私って、ハンターの才能でもあるのかな」

 

 「…は?」

 

 変な事と言うか変な人にはあったが…。

 昨日出会った魔法使いだと言う少年ナンブの事を。

 

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 「…童貞?」

 

 「こんな若作りの三十歳がいるか。そこのドジっ子メイドにどういう教育してんだ家主」

 

 「性教育」

 

 「ならしかたない」

 

 「しかたないの?!」

 

 ナンブの発言にファリンが質問するが、それを否定し、すずかの姉。忍がさらりと答えると、ナンブは悔しそうに忍から視線を逸らした。

 

 「その見かけで童貞の意味を知っているのか、むっつりさんめ」

 

 「…」

 

 「僕が悪かったのでその手を収めてください。未だにホカホカと湯気が立っているシチューの入った寸胴を持ち上げようとしないでください。お願いします!すずか様!」

 

 未だにノエルに組み敷かれた状態のナンブだがすずかをいじることを忘れない。

 というか、忍もナンブのノリにつられつつある。

 

 「…すずかの名前も何で知っているのかしら?」

 

 忍は屋敷内に仕掛けた監視カメラから一部始終を見ていたが

 

 「一応それがどんなものかを『鑑定』することが出来る魔法使いなんで。それ以外の魔法は使えないが…」

 

 「………」

 

 ナンブの肩と胴体を抑え込んでいるノエルの力が強くなる。

 ナンブは出来るだけ軽いノリで事を済ませたかったのだがノエルは違った。

 

 「うーん。信じられないみたいなら、その自白剤入りのシチューをくれる?」

 

 「…。どうするつもりで?」

 

 「食う。スタッフさんが食べるわけにもいかないだろ。残すには惜しい味だし…」

 

 まだ食べる気なのかと呆れる忍。

 と、同時にナンブが何を考えているのかを。何が狙いなのかを探る。

 

 「…いいの?自白剤と言う事は意識も朦朧とする。つまり、洗脳もされやすい状態になる。貴方を操り人形にもできる。様々な手段で拘束。脅迫・命令することも出来る。あなたはそれでも…」

 

 「言ったろ。『鑑定』したって。あんた達がそんなことをするようには見えない。少なくても、今は…。そんで意識朦朧としている俺が答えた方がそっちも信用できるだろう。俺があんた達に敵意。いや、逆らうつもりが無いということも」

 

 少なくてもナンブはこの中で一番弱い。

 使えるのは『鑑定』の魔法だけ。

 ユーノが使える。捕縛も肉体強化。魔力を弾丸にして撃ちだすことが出来ない。

 スクライアの一族が日頃行う発掘作業もサボり気味なので体力はそこら辺の子どもと変わらない。

 

 「…いいわ。でも、それが終わったとしても貴方を自由にするかは別よ」

 

 「それが出来るなら、な。俺がどうしてここに来たかも聞けば、そうも言ってられないだろうよ。…ところで、さ」

 

 「なに?」

 

 ナンブは自分が皿の隅に残したシチューの具材である肉や野菜を見て言った。

 

 「出来れば、これも残したくないんで温め直してくれない」

 

 すっかり冷え切った自白剤入りの肉や野菜も出来れば温めてから食べたかったナンブ。

 それを聞いた忍はやんわりと言った。

 

 「駄目よ。マナー違反だし」

 

 「ブルジョワめ」

 

 そんなやりとりを見たすずかは忍とナンブが歳の離れた友人同士に見えた。

 お互いに異質な者同士だから感じられるシンパシーなのだろうか。

 

 「いやしんぼうだね、ナンブ君」

 

 「そっちはむっつりでいやらしいけどね」

 

 ナンブのその一言がいけなかった。

 

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 てんててって♪てんてれてーん♪

 

 

 

 「お嬢様!それは鍋用のコンロで、ああ!駄目です!直火焼きなんて!これじゃあ尋問じゃなくて拷問です!」

 

 

 

 上手に焼けました〜♪

 

 

 

 

説明
第六話 スタッフさんが美味しくいただ…
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コメント
更新待ってます。(黒狼)
改めて見直しているけれど、最初に言っている通りちゃんとまだ生きてはいるんだよな……ナンブ……続きが見たいもんですわ(神薙)
尋問や拷問どころか処刑だろ!(クロノ)
焼くなwww(最高総司令官)
ハンターってそうゆうことかww(KH天然パーマ)
誤字です。 変な夢を見たと来いって→見たとか言って(神薙)
誤字です、聖洋が聖『翔』になっています(アサシン)
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