真・恋姫†無双 〜胡蝶天正〜 第三部 第03話
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この作品は、北郷一刀の性能が上方修正されています。はっきり申しましてチートです。

 

また、オリジナルキャラクターやパロディなどが含まれております。

 

その様なものが嫌いな方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

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自陣に戻って少し経った後、麗羽の元から軍議を開くため陣まで来てほしいと伝令がやってきたので、俺は稟と風を連れて向かう。

その途中で風が何かに気が付いたのか、俺の袖をクイッと引っ張り声を掛けてきた。

「お兄さん、あそこに居るのは曹操さんではありませんかー?」

「え、どこどこ?あ、本当だ」

風が指差す方向へ目を向けると、そこには春蘭と秋蘭を引き連れて麗羽の陣へと向かう華琳の姿が目に入った。

「そ、曹操様が居られるですと!?一体何処に・・・・・っ!!おお、あの悠々と前へ進むお姿はまさしく・・・・・・・・・・ぷはっ」

「・・・風、以下略」

「はーい。ほら、稟ちゃん。とんとーん」

「ふが・・・・・」

俺はいつも通りに風に稟の事を頼むと、見知った顔の華琳たちに声を掛ける。

「おーい、かりーん」

真名を呼ぶ声に気が付いた華琳たち三人はこちらに視線を向け、声の主が俺だと確認すると目の前までやって来た。

「黄巾の討伐依頼ね、一刀。先ほど到着したと報せを受けたのだけれど、随分時間が掛かっていたのね」

「州牧になったばかりで兵の増強と新しく拠点にした長安の復興に時間が掛かってね。華琳のところみたいに優秀な人材がたくさん欲しいよ・・・。春蘭、秋蘭も久しぶり」

「おう」

「ああ」

「それで、後ろの二人はどうしたの?」

華琳の問いを聞いて風達に視線を向けると、そこには首の後ろを風に叩かれながらも鼻血を噴き続けている稟の姿が目に入った。

恐らく華琳の姿を正面から間近で見ているため、鼻血が止まらないのだろう。

「気にしなくて良いよ・・・・。いつもの発作だから・・・・まあ、ここで立ち話もなんだから麗羽のところへ向かおうか」

そう言うと華琳たちと共に麗羽の陣へと歩を進める。

俺は適当な話題を華琳に振る。

「そういえばついさっき耳にしたんだけど、そっちは随分早くここに到着していたみたいだね」

「あなたが手紙を送ってくれたお陰よ。文醜と顔良がこちらへ着いた頃にはもう戦の準備が済んでいたもの」

「麗羽は悔しがっていたんじゃないのか?」

「寧ろ面食らっていたわね。まあ、面白い顔ではあった訳だし、あなたにも見せてあげたかったわ」

こんな他愛のない話を華琳としながら軍議の場へと向かっていたのだが、辺りをキョロキョロと見回しながら歩く春蘭の姿が目に入る。

そのどうにも落ち着きの無い様子が気になり、俺はそれとなく華琳と秋蘭に聞いてみることにした。

「なあ、さっきから春蘭の様子が可笑しいんだけど、何かあったのか?」

「春蘭の事なら気にする必要は無いわ。この前の事で少し気が立っているだけよ」

「この前の事?」

「それはだな・・・・・」

秋蘭は姉に聞こえないよう、小声で俺に詳しい事情を説明してくれた。

「要するに黄巾の残党を追っている間に他人の納める領地へと入ってしまい、借りを作ってしまったと・・・・」

「そう言うわけだ・・・。姉者はこの戦で作った借りを返そうと躍起になっていてな。ここに着いてからずっとこの調子なのだ」

「なるほどねぇ・・・・」

昔同じ様な事があったなと思い出しつつ、俺は春蘭に声を掛ける為に彼女へ近づく。

「春蘭」

「・・・」

「春蘭!」

「・・・・・・・」

「春蘭っ!!」

「おおっ!?何だ、一刀!急に声を掛けるな!」

周囲を見回していた割りに俺が近づいたことにも気が付いていなかった春蘭は大きく一歩分仰け反り、怒気を露わにしながらこちらに声を掛けてくる。

そんな彼女に俺は諭す様な口調で言葉を返す。

「何度も声を掛けたさ・・・・・。そんな事よりも、今しがた秋蘭から話を聞いたよ。黄巾の残党討伐で借りを作ってしまったんだってね」

「・・・・・・・フン!笑いたければ笑え!何事もそつなくこなすお前には私の心の内など解るまい!」

俺の言葉を聞き、春蘭は拗ねた様にそっぽを向いて自虐的な事を口にする。

その姿を見て少し弄りたい衝動に駆られるが、何とか自制して彼女に人生二周目の俺から助言する事に・・・。

「笑わないよ。春蘭・・・・・・そんなに気負うな」

「別に気負ってなど!」

「気負ってるよ。俺が近づくのが分からないほど心に余裕が無いんだから」

「むぅ・・・・・」

この言葉にぐうの音も出なくなった春蘭は、ただ黙って俺を睨む事しか出来なくなっていた。

「無理に返そうとすれば相手にとって有難迷惑になりかねない。それは春蘭も望むところじゃないだろ?」

「だが!この戦で返さねば次が無いかもしれんではないか!」

「春蘭が借りを作る程の相手がそう易々とやられる訳が無いだろう。そんな奴ならあの黄巾の時に頸を取られているよ」

「それはそうだが・・・・」

「この戦が終われば、ほぼ間違いなく群雄割拠の春秋戦国に逆戻りだ。そうなれば借りを何倍にして返せる時が必ず来る。だから今はその時に備えて武を磨いておきなよ」

俺の話を聞き終えた後、春蘭は二呼吸ほどの少しの間だけ目を閉じて沈黙すると再びこちらに目を向ける。

その顔には先ほどまでの切羽詰った様な緊迫感は無く、自身に満ち溢れていた。

「フン、確かにお前の言うとおりだな!この夏侯元譲、今は目の前の敵に集中するとしよう!」

「そうそう、そうやってドッシリと構えている方が春蘭らしくて良いよ」

「なにいぃっ!!誰が腰を下ろしただけで椅子が壊れてドスンと音がするほど体重が重いのがお似合いだとおっ!!」

「誰もそんな事言ってねええぇぇぇーっ!」

あらぬ誤解から俺に剣を向けて襲い掛かってくる春蘭。

「おやおや、自分の部下の前で公然とイチャイチャするとは・・・・。お兄さんの色欲魔っぷりには相当なものですねー」

剣を振り回す春蘭から逃げる最中、鼻血の止まらない稟を介抱する風の口からそんな言葉が耳に入って来た気がした。

いや、イチャイチャなんてしてないから・・・・。

「・・・・・・・・・・・・バカ」

 

 

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そんなこんなで春蘭の剣をかわしながら、どうにか麗羽の陣地に到着する。

兵に案内されるがままについて行くと、周囲の設置されている物とくらべても格段に大きく、設置だけでかなりの人手を要すると思われる天幕が姿を現す。

例えるならば、旅のサーカス団が公演で使うテントのそれであった。

「また随分と大きなものを用意したもんだなぁ・・・・・」

「あの派手好きの麗羽がやる事よ。このくらいは想定しておきなさい」

「じゃあこの屋根の高さにも何か意味があると?」

「さあ。流石にそこまでは分からないわね」

「まあ、入ってみれば分かるか。はてさて、何が待っていることやら・・・・・」

そんな事を話しながら俺達は天幕の中へと入って行くと・・・。

「おーっほっほっほっほっほ!」

天幕の中央よりやや奥まった場所に高さにして八尺ほどにもなりそうな演壇が設置されており、その壇上では手前に配置された椅子に座る諸侯を見下ろすような形で、高らかに笑っている麗羽の姿があった。

「なんっか腹が立つわね」

どうやっても麗羽を見上げるような体制になってしまう事を予想し、えもいえぬ腹立たしさを口にする華琳。

それはそこに居る大方の諸侯も感じている事で、袁術に至っては演壇の下で麗羽に対して抗議している始末。

「ずるいのじゃ!ずるいのじゃ!何で麗羽だけあんなに高いところから話す事が出来るのじゃ!妾も登りたいのじゃ!」

「申し訳ありませんわね美羽さん。この演壇はわたくし一人用なのでお貸しする事は出来ませんわね。おーっほっほっほっほっほ!」

まるで何処かの金持ちの子供のような台詞を言う麗羽だったが、入り口から俺や華琳たちが入ってくるのを見つけると、今度はこちらに話の矛先を向けてきた。

「高いところから失礼致しますわ、一刀さん。空いているお好きな席に座ってくつろいで下さいね。わたくしとしては一番手前の真ん中の席がお勧めですわよ」

諸侯が連れてくる武官や軍師の事も考えてか、椅子の数事態はこの連合に参加した者の人数よりもかなり多めに設置されている。

だが、麗羽が勧めてきた前側の席には袁家と深い繋がりのある諸侯しか座っておらず、残りの者は少しでも彼女から見下ろされる事が無い様になるべく後ろ側の席に陣取っていた。

俺も彼らに習い、麗羽の気に触れて面倒なことにならないよう、やんわりとした言い方で彼女の申し出を断る事にする。

「麗羽のお勧めは嬉しいけど、そこに座ると君を見る時に首が痛くなりそうだ。ここは後ろ側の席で我慢する事にするよ」

そう言うと俺は風や稟たちを連れて後ろの列の中央よりの位置に、丁度空いている席が在った為そこに腰を下ろし、華琳たちも近くの空いている席に座ろうとしたのだが・・・。

「あーら華琳さん、もういらしてたんですの?あまりに小さいんで気付きませんでしたわ。おーっほっほっほっほっほ!」

「ちょ!?」

華琳に対して開口一番に喧嘩を吹っかける麗羽。

いつもの様な口調ではあるが、華琳を射抜くような視線を放つその眼は全く笑っておらず、まるで親の敵を見るような眼をしていた。

その事態に俺は驚いてしまい、思わず変な声を出してしまう。

元々彼女達は昔からの腐れ縁というだけで、そこまで仲が良いという認識は無かったのだが、だからといって会った途端にここまで険悪なムードになるほどの犬猿の中という訳でもない。

それを知っているだけに、今置かれているこの状況は俺にとって理解しがたいものだった。

「随分な物言いをしてくれるわね。一刀と話していた時もあえて私と眼を合わせないようにして居た様だけど、何か私に含むところがあるのかしら?」

「そんなことはありませんわ。本当に豆粒のように小さいのでここからでは視界に入らなかっただけですわよ。おーっほっほっほっほ!」

一度は我慢した華琳だったが、二度目の罵倒に怒りの表情を浮かべる。

いや、寧ろ良く一発目を自制したと思わず感心してしまうほどだ。

彼女にとって身長は胸の大きさの次に身体的劣等感を気にしている部分。

昔からの馴染みでその事を知っている麗羽は、それをあえて口にして華琳に対して喧嘩を吹っかけている。

恐らく華琳もその事を察し、そんな麗羽の思惑に乗るのは面白くないと最初の罵りを聞き流したのだろうが、沸点の低い彼女がそう何度も聞き流せるわけが無い。

少し離れた位置に座っている俺にも分かるほどの負のオーラを発している華琳は、壇上から罵詈雑言を浴びせる麗羽に向かって彼女独特の高圧的な口調を全開にして静かなる暴言を返す。

「あらそう、加齢による眼の老化でしょうね。この距離で私すら見えなくなっているのならもう歳ではないのかしら?」

「だ、誰が細かい文字も読めないほど目の衰えた老い先短い年寄りですってぇー!」

「そこまで言ってはいないけれど、あなたがそう感じたのなら自分でそれを自覚している証拠じゃない?」

「な、な、なっ!?」

華琳の応酬に怒髪天となる麗羽に構う事無く彼女は暴言を畳み掛ける。

「自覚があるのならさっさとその壇から降りなさい。あなたの老眼で軍議が長引いてはいい迷惑だわ」

「も、もおおぉぉーう我慢出来ません!一刀さんの事だけならいざ知らず、このわたくしを年寄りと罵倒するとは!この連合が終わったら覚えてらっしゃい!」

「それはこっちの台詞よ。訳の分からない事で罵られた挙句、逆に怒りをぶつけられたこっちの身にもなってみなさい」

彼女達の喧嘩は止まることを知らず、最早軍議どころではない。

そんな二人の険悪な雰囲気に割り込むことが出来ず、我関せずという態度を取っていた俺だったが、周囲から複数の視線を感じて辺りを見回す。

視線の主は軍師として連れてきた風たちに華琳の側近である春蘭たち、そして演壇の下にいる顔良たちであった。

彼女たちの視線から何を言いたいのかは大体察しがつく。

“この場を治めるために何とかしろ″と言いたいのだ。

喧嘩をしている彼女達と親しく、且つ二人と対等に話が出来る者はこの中では俺を置いて他に居ない。

正直、こんな貧乏くじを引きたくは無いのだが、このままでは話が進まないのもまた事実。

軽く溜息を吐いた後、意を決して二人に声を掛けた。

「あー・・・・。二人とも、ちょっと良いかな?」

「「なにかしら!?

何ですの!? 」」

俺の呼びかけに半ば八つ当り気味な態度で返事をする二人。

その二人から向けられる邪魔をするなと言わんばかりの眼光を受け流しつつ、俺は言葉を続ける。

「喧嘩も程々にしないと軍議が進まないよ。それに麗羽、大陸の諸侯が集まっているこの場の空気を悪くしては袁家の名に傷が付く。それは君自身も望まない事だろ?」

「ぐっ・・・・そ、それは・・・・」

「華琳だってこんな軍議とっとと終わらせて自陣に戻りたいだろう?」

「侮辱された事は気に入らないけど、確かにそうね・・・・・」

「なら、ここは俺に免じて一つ・・・」

そう言いながら喧嘩をしていた二人に頭を下げる。

その俺の姿を見た後も互いに睨みあう二人だったが、渋々ながらも引く事を麗羽は了承する。

「仕方ありませんわね、ここは一刀さんの顔を立てて引いて差し上げます。感謝なさいまし、華琳さん」

「あなたこそ感謝する事ね。お、ば、さ、ん」

「ですからおばさんでは無いと!?」

「まぁまぁ」

第二ラウンドが始まらんとした空気を読み、俺は再び二人の間に割って入って麗羽を宥める。

そんな俺の姿が眼に入り、麗羽は全身から怒りのオーラを出しながらも華琳の言葉を聞き流した。

「それでは、初めて顔を合わせる方も居られるでしょうから、先ずはそちらから名乗っていただけます?」

麗羽の声と共に袁家に縁のある諸侯たちが順番に名乗り、それが終わると麗羽の要請に乗る形でここまで来た主だった諸侯が後に続く。

「幽州の公孫?だ、よろしく頼む」

「除州から来た劉備です。こちらは私の軍師の諸葛亮」

「宜しくお願いします」

劉備の自己紹介を聞いたとき、俺は諜報部隊から聞いた除州の事を思い出す。

事の発端は本来よりもずっと早く劉備が除州を治めている事に違和感を感じ、どういう事なのかを調べさせたことから始まるのだが、その詳細を聞いて少し納得してしまった。

元々除州を治めていたのは陶謙という年老いた州牧だったのだが、寄る年並みには勝てず黄巾の乱の時に老衰で命を落としたらしい。

跡継ぎが居なかった陶謙は平原から除州の西部にある楽安にかけて、義勇兵を集めて黄巾党を鎮圧していた劉備と会い、彼女に自分の死後は除州を治めるように頼んだらしい。

前に来た世界では平原を治めていたし、俺が知る本来の歴史の中でこの出来事はまだまだ先の筈なのだが、今回も三顧の礼の前に諸葛亮が仲間になっている所を見ると、事が前倒しで起きているようだ。

「涼州の馬超だ。今日は馬騰の名代としてここへ来た」

「馬騰さんはいらっしゃいませんの?」

「最近、西方の五胡の動きが活発でね。袁紹殿にはくれぐれもよろしくって言付かってるよ」

このやり取り、昔の俺は何の疑問も持たずに聞き流していたが、今となっては馬超の言葉が虚言だという事が分かってしまう。

馬騰と言う人物は礼節と漢王朝の権威を何よりも重んじる人物。

そんな方がこの連合が原因とは言え、漢王朝の危機だというのに自ら足を運ばないというのはどう考えても不自然な話。

五胡の動きが活発なのならそれこそ名代としてここまで来た馬超に涼州を守らせて自分が来ればいい。

なのに来ないという事は他の理由、しかも諸侯にはあまり聞かれたくない内容で足を運べないという事だ。

それらから導き出せる答えは、一度この世界を訪れた事がある俺には大体察しがつく。

「もう病に侵されているんだろうなぁ・・・・・」

そんな事を考えて居る間に、黄巾の乱の功績で楊州へと移った袁術やその功績を作った孫策、華琳たちの名乗りが終わっており、自分の番が回って来る。

「助軍公尉の司馬懿だ。隣に居るのは軍師の郭嘉と程c」

「宜しく」

「宜しくお願いしますー」

各々の名乗りが終わると壇上に居る麗羽が最後に名乗ろうとする。

「では最後に、このわたくしが名乗らせていただきますわ!!」

「それは必要ないのではなくて?」

「軍議を円滑に進めるための名乗りだろ?なら袁紹殿に呼びかけに応じて集まったんだから、皆知ってるんじゃないか?」

「(´・ω・`)」

華琳と馬超の発言で名乗る事が出来なくなり残念な表情を浮かべながらも、麗羽は言葉を続ける。

「そ、そうですわね・・・・・。では、軍議を始めさせていただきますわ!進行はこの連合の総大将であるこのわ、た、く、し、袁本初が進めさせていただきますわ!おーっほっほっほっほっほっ!」

麗羽のその発言と共に、地図すらろくに広げていない軍議が始まった。

そう、確かに始まりはしたのだが、一人壇上に居る麗羽に不快な気分を味わっていたのは華琳だけではない。

袁術は勿論の事、馬超や公孫?も少なからず感じていたらしく、そんな彼女達の巧みな連携によって麗羽は発言すらさせて貰えずに軍議が進んでいく。

連合の現状と目的、総大将の確認、移動経路、隊列の順番、水関と虎牢関の将の詳細と斥候を放っての調査など凡その事が決定して解散かという段になって漸く麗羽が声を荒げて発言する。

「まだ大事な議題が決まっておりませんわっ!!」

その発言に話を進めていた諸侯も麗羽の居る壇上へと顔を向ける。

「水関を誰が攻めるか、かの?では、初戦は妾が」

「生憎ですけど美羽さん、水関を攻める方は既に決まっておりますの・・・・。一刀さん、お願いしますわ」

麗羽のその言葉を聞いて、自分から進んで攻めようとしていた袁術が真っ向から反論・・・・・もとい、駄々を捏ねる。

「どうして司馬懿が水関を攻めるのじゃ!?最初に名乗りを上げたのじゃから妾が攻めるのじゃ!」

「でしたら尚更、一刀さんが適任ですわね。何せこの連合が集結する前から水関を攻めると名乗りを上げていたんですから」

「な、なんじゃとー!?」

この場にいる諸侯は一斉にこちらへと視線を向けて来るが、俺は臆する事無く発言する。

「俺がこの連合に参加する条件として提示させてもらった。こんな茶番に付き合うのだから、この位の事は許してもらうよ」

「し、司馬懿さん。都で苦しんでいる人たちを救うこの戦を茶番なんて言うのは酷いです」

俺の言葉に反応して異見を唱える者が現れる。

それは義に厚い人徳の将、劉玄徳その人だった。

「劉備さん、本当にそう思っているのかい?」

「当然です、圧政に苦しんでる洛陽の人たちを救いたい。その思いで私はここまで来たんです!」

「ならば尚のこと、君はこの連合に参加すべきではなかった」

「え?」

俺の言葉を理解する事が出来ず、劉備は困惑の表情を浮かべてこちらを見る。

そんな彼女を気にする事無く俺は彼女へと話を続ける。

「何れにせよ、茶番という発言を撤回するつもりはない。君の軍師である諸葛亮さんなら俺が言った事を概ね理解出来ているだろうから、あとで聞いてみるといいよ」

もっとも、その諸葛亮が劉備に聞かれたからといって素直に喋るかどうかは疑わしい。

俺が指摘した事は劉備の理想とは大きくかけ離れた内容。

それを知っていて彼女をここまで導いたのだから、諸葛亮自身この事は主君に教えるべきことではないと判断しているのだろう。

万一の時は、自分が全ての批判を被る為に・・・。

「お兄さーん、それ以上言うのはお節介というものですよー」

「全くです一刀殿。諸葛亮殿の考えを無視して劉備殿と話をするのは無粋というものです」

「ああ、分かっているよ」

風や稟も軍師としての立場から、諸葛亮の真意は汲み取っているらしく俺に自制を促してくる。

また、俺自身もこれ以上話すつもりもないので、劉備との話をここで打ち切るとその隣で侍る諸葛亮に無言のまま謝意を表す。

「・・・・・」

彼女もまた言葉を発する事無く謝意を受け取る。

だが受け取りはしたものの、こちらを射抜く眼光は鋭いままの諸葛亮。

俺はそんな彼女から視線を外すと麗羽のほうを向いて軍議の終了を宣言するように促す。

「もう現状決める事も無いし。麗羽、軍議を終了してもらえるかな?」

「そうですわね。では、軍議を終了いたしますわ。解散!」

麗羽の宣言とともに合図の銅鑼が鳴り、諸侯たちは各々の陣へと戻っていく。

俺達も自陣へと戻り、行軍や攻城戦の準備をしようと席を立ったその時だった。

「・・・・・・・・一刀」

呼び声と同時に背中にゾクッとする悪寒が伝わるのを俺は感じた。

その場から直ぐにでも逃げ出したい気持ちを何とか押さえ込み、後ろへ振り向いてみると・・・・・。

「さっき麗羽が言ってた“一刀の事”ってどういう事なのかしら、ちゃんと説明してくれるわよね?」

超絶に機嫌を損ねていらっしゃる誇り高き魏の覇王、曹孟徳様がそこにおわせられた。

「すす、すまないけどこれから自陣に戻って風達と一緒に水関攻略の算段を煮詰めないといけないんだ。また今度にして貰えないかなぁ・・・・なんて」

「却下よ」

何とか逃げる為に適当に理由を述べるも、一言で両断してくる華琳。

そして俺の手首を掴むと有無を言わせぬ勢いで引っ張り、強引にこの場から連れ去ろうとしだした。

「ちょっ!り、稟!風!助けて!」

俺は慌ててうちの軍師二人に助けを求めるが・・・・。

「そ、曹操様が一刀殿をっ!こ、これはもしや、連れて行った一刀殿を無理矢理・・・・・ぷはっ!」

「おおぅっ!これはまた盛大に・・・・・。お兄さん、風は稟ちゃんのお世話がありますのであしからず。出立するまでに戻ってくるようおねがいしますねー」

「/(^o^)\」

其々から見放され、俺は成すすべも無くズルズルと連れて行かれてる。

その後、俺は華琳の天幕まで連れて行かれ、閻魔の様に鎮座する彼女の前に正座させられながら麗羽の陣での事を一から説明する事になるのだった。

 

 

説明
日本各地で降雪の影響が出ておりましたが、皆様は大丈夫でしたでしょうか。
自分は降雪地帯に在住している為、平常通りといった感じです。

・・・・・・・但し、大和は出ない(´・ω・` )
(↑寧ろ建造運は平常通り?)

それでは第3話、お楽しみください。
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コメント
いたさん<御報告有難うございます。修正させていただきました。(ogany666)
なにも知らない美羽ちゃんがかわいいww とりま一刀くんは一生華琳さまに頭が上がらないんだろうなww(神余 雛)
あらら一刀も大変だねぇ。華琳と麗羽との付き合いがあるだけに仲介役になるとは・・・胃に穴が開かないよう気をつけてくださいね。(Fols)
劉備はこの連合を少しも疑ってないのか〜相変わらず深く考えない子ですなw(nao)
華琳も自分の手元に一刀がいないから、誰かに取られるかもしれないという不安があって、それが嫉妬心に代わっているんですね。そして桃香相変わらずの他人任せ、簡単におれおれ詐欺に引っ掛かりそうだな。あと誤字が徐州が除州になっていますよ。(殴って退場)
強き武と賢い知を持っていても好きな女の子には勝てない一刀であったww(本郷 刃)
一刀・・・・・・・南無(ポクポクポクチン。そして、相変わらずの劉備をどうにか出来ないか・・・・。人の言うことだけを信じても意味が無いと教えてやれよ。諸葛亮よ。(Kyogo2012)
誤字報告を……劉元徳→劉玄徳 水関攻略、どう言うやり方で攻略するんでしょう? 楽しみです!(いた)
一刀・・・・・・・・・南_無(アサシン)
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