〜少年が望んだ世界と力〜
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野田家 地下施設 開発、設計ルーム

ヴィータ達との戦闘の後、なのはとアルフはすぐにフェイトとユーノによって管理局の医療施設に搬送され、一緒に行かなかった俺は自宅に帰宅し、今は地下施設にあるライダーシステム等の開発、設計ルームでパソコンを弄っている。

 

「今頃高町達は管理局本局だよな?」

 

「イエスマスター。原作通りならばそのはずです」

 

「大変だよなぁ」

 

「そうですね」

 

アポロンと会話をしながらパソコンを弄り、さっきの戦闘で損傷したG5、Gプラン、スカイユニットの損傷具合を調べている。

 

「そしてあの方と面会中かと」

 

「グレアム提督か」

 

「イエス」

 

損傷チェック中にアポロンが今頃なのはとフェイトが面会している話題を出し、俺は一度キーボードを打つ手を止め、その面会している人物「ギル・グレアム」の名を呟くとアポロンが肯定する。

今回のA's編での重要人物の1人、正直言って一度直接合っておきたかったが今はG5の方が優先だ。

俺は再びキーボードを打ち損傷チェックを行う。

 

「ふむ。G5の本体とGプランの外装の方はガンダニュウム合金、Gプランに関してはTPとCB製Eカーボンを使ってるから損傷は無し。・・・だが」

 

「未調整で戦闘に使用したため負担がかかり、Gプラン、飛行ユニットの内部の各回路に大ダメージ。更にシールド用バッテリーもオーバーヒートをしてしまっているので。G5本体の回路に問題がないのは不幸中の幸いでした」

損傷チェックを行い、外装部は全て表示が安全を示すグリーンが点っているが内部の電子回路面ではG5本体はたいしたことはなかったがGプランとスカイユニットは危険を示す赤もしくはやや危険の黄色で示されていた。

割合は赤が8割、黄色が2割となっている。

 

「確かにな。修復にどれぐらい掛かる?」

 

「外装ならすぐに修復は終わったでしょうが内部でしかも回路のダメージですので多少時間は掛かります。それにGプランは修復後は本格的に最終調整する必要もあります。Gプランのシールド用バッテリーは交換で済みますし飛行ユニットはまだ予備があるので問題ありません。G5本体のは念のためチェックを行いますが明朝には完了。Gプランは修復に最終調整を加えて4日で完了します」

 

Gプランが1番時間が掛かるな。

しかも完成したばかりだからストックもバッテリーやメインシールドとかの一部分しか用意してないし。

 

「まぁしょうがないか。それに当面はフェニックスを使うだろうから今は休憩させておこう」

 

「しかし、それでも各武装プランはこれまで通りに開発するのですよね?」

 

「あぁ。それだけは継続しておく。特に・・・」

 

アポロンからの問いに俺は間を入れることなく即答で答え、キーボードを操作してある武装プランを装備したG5の設計データを画面に表示する。

 

「W、『ウォープラン』は早く完成させておきたいからな」

 

「ラージャ」

 

G5用武装プラン内で最強を想定しているWプランの早期完成を望んでいることをアポロンに告げて、修復作業及び最終調整作業を行わせるためにEnterを押すとすぐに作業が開始され、それを確認した俺はパソコンの電源を切り、パソコンに繋いでいたアポロンを取って、風呂に入るために開発ルームを後にする。

 

12月3日 午前7:00

 

『昨夜未明に発生した大規模テロですが、このテロによる犠牲者は奇跡的に0とのことです』

 

「やっぱりどの新聞もニュースも昨日のことばかり報道してるな」

 

「あれほどの被害が出ているのですから仕方がありませんよ、マスター」

 

朝起きて近くのコンビニで色んな所の新聞を買い、テレビを着けるとどの新聞も番組も内容は昨日の戦闘でめちゃくちゃになった市街地についてだ。

なおあの戦闘のことは世間では爆破テロとして扱われている。

ま、真実が分からない以上、そう報道するしかないような

 

「これの騒ぎで学校も今日は休校になっちまったしな。まあ、戦闘状況やガンダム達を見られた可能性は極めて低いが、1番厄介なのはやっぱり・・・」

 

『なお昨夜の大規模テロ発生の際、空から市街地に向けて謎の光が放たれたという目撃情報が多数ありましたが、その光の発進源は宇宙、月から放たれたものだということが分かりました』

 

「月面の太陽光発電、マイクロウェーブ送信施設ですね?」

 

「ああ」

 

新聞には空から伸びる一本の線が写った写真が一面に飾られ『月から謎の光線。その正体は!?』と書かれている。

 

「ガンダムXを召喚してサテライトキャノンを撃たせた俺がこんなことを言うのも今更おかしいが何でこの世界にマイクロウェーブ送信施設があるんだよ。どんだけ忠実に再現出来るんだ」

 

「今更そんなことを言っても手遅れですよマスター」

 

「分かってる。言ってみただけだ。それでどうだアポロン?各国の動きは把握出来るか?」

 

ガンダムXの世界「A.W(アフターウォー)」にしかないはずのマイクロウェーブ送信施設があり、その忠実な再現度に呆れながらテーブルに置いてあるマグカップを取り、中身のコーヒーを一口飲み、既に過ぎたことを愚痴っている俺にアポロンが指摘する。

コーヒーを飲み込んでアポロンに理解していることを言って、世界各国の状況把握が出来ているか尋ねた。

その理由は勿論、月のマイクロウェーブ送信施設が関係している。

昨日の寝る間際にアポロンからはマイクロウェーブ送信施設は月面のクレーター内の地下に施設を丸ごと格納し、施設に入るにはやはりマスターである俺の許可が下りない限り施設内はおろか、そこから半径1キロの宙域にすら進入出来ないらしい。

万が一その近くに接近した場合、たまたま接近してしまったのなら宇宙での自然的な現象に見せかけての接近妨害を行ったりするらしいが、接近が意図的にそれている場合は警告を行い、それすらも無視するようならば自動迎撃システムが起動し、侵入者を排除するらしい。

カモフラージュ、セキュリティ、防衛態勢は完璧だが、それを聞いて俺は余計に心配になった。

昨日の戦闘でマイクロウェーブ送信施設の場所は良ければ場所の大方の特定、悪ければ完全に特定されている場合、宇宙関係に強い国、特にアメリカやロシアはマイクロウェーブの正体を知ろうと月に調査隊を送るはず、それは他の国も例外じゃない。

衛星とかの無人機なら破壊しても問題ないがスペースシャトルとかの有人機なら死者が出る。

そんなことにならないためにも世界各国の状況把握をしたい。

そして可能ならば映像や写真データ、観測データを全て削除しておきたい。

そのためにアポロンに頼んでみた。

 

「試してみましたが流石に私でも一度に世界各国の情報を集め、情報操作をするのには限界があります。このままだと最低でも5日は掛かります」

 

「うーん」

 

やっぱアポロンでも一度に世界各国の全ての情報を集めるは時間がかかり、操作するのは難しいか。

だがそんな悠長に待ってられん。

となるとあれを使うしかないか。

 

「アポロン、G5とあれは?」

 

「G5のチェックは30分前に完了。あれに関してはプラン自体は問題ないでしょうがバックアップが心配ですね」

 

ああ、そういえばバックアップが1番調整に時間がかかってるんだったな。

 

「完成度はどれぐらいだっけ?」

 

「本日の時点で約70%まで調整は完了しています」

 

70%か、微妙なところだ。

 

「その状態での最大稼動時間は?」

 

「およそ15分といったところでしょうか。それ以上は何かしらの問題が発生する可能性があります」

 

15分、そんだけあれば多分いけるな。

 

「では最後に、お前としてはあれを使うことに関して何か異論は?」

 

「昨日未調整での使用は危険ということを学びましたが戦闘でないだけまだ安全と判断、更に緊急事態であるためやむおえないと判断します」

 

「OK、なら使うとしよう。テストも兼ねてな」

 

アポロンに未完成のバックアップを使用するに関しての危険性を確認した俺は今回の状況を想定して開発した武装プランを使用するためにコーヒーを飲み干し、新聞をたたみ、テレビを消してフェニックスドライバーを持ち、地下に向かう。

 

野田家 地下施設

地下の施設に降りた俺はG5を装着するためにGトレーラーMk-U 1号車に乗り込んだ。

 

GトレーラーMk-U 1号車 車内

 

『OLD RIDE! TWENTY!』

 

GトレーラーMk-U 1号車に乗り込んですぐにオールドライドのカードを装填して発動、20代の身体に姿を変えた俺はG5用のライダースーツに着替え、G5を装着する。

 

「オートフィット機能、作動」

 

オートフィット機能が作動し、空気が抜ける音を出しながら今の俺の身体にフィットするように調整された。

 

「G5、全システムオールグリーン。準備完了」

 

「了解。ではこのままプランの装備を行う」

 

「ラージャ。G5、換装スタンバイ。武装プランは『I』を選択。Iプラン装備開始」

 

アポロンがG5のシステムチェックを行い異常がなかったのでそのまま換装作業に移行、左右の壁、天井が開いてアームが出てくるとアームが掴んでいる追加装甲がG5の全身に、装備が背中と両肩、腰の両サイド、両足の外側、更に頭部にも専用のセンサーユニットを装備していき、装備が完了するとアームが引っ込む。

G5の全身に情報収集、操作専用の装備、プランナンバー9「インフォメーションプラン」が装備される。

 

「メイン及びサブコンピューターチェック・・・完了、動作及び冷却システム正常確認」

 

G5への装備が完了すると今度は装備したIプランのバックバック部にあるメインコンピューターユニットと両肩と両足の外側にある計4つのサブコンピューター、そして腰の両サイドにある冷却システムのチェックを行い正常であることが確認されて俺はフェニックストライバーを取り、G5 Iプランのまま移動を開始する。

GトレーラーMk-U 1号車から降りた俺はGトレーラーMk-U 1号車、2号車と異なり運転席部がミリタリーグリーンの色のGトレーラーMk-Uに乗り込む。

俺が乗り込んだGトレーラーMk-Uは他の2台と異なり、情報収集のみに特化した車両「GトレーラーMk-U 3号車」だ。

 

GトレーラーMk-U 3号車 車内

カーゴ内に入った俺はすぐにフェニックスドライバーを設置されているオペレーション用デスクのコンピューターに接続する。

 

「バックアップ起動。システムチェック開始」

 

コンピューターに接続すると同時にアポロンはこの3号車に搭載され、未だ調整中であるインフォメーションプランを使用する際にバックアップとして使うメインサーバーを起動させ、システムチェックを行う。

 

「バックアップ、正常確認。続いてG5、インフォメーションプランとの接続を開始」

 

メインサーバーの正常が確認されると装甲、Iプランに次々とメインサーバーに繋がっているケーブルがG5とIプランに接続されていく。

 

「G5及びバックアップ、問題無し。ネットワーク接続、完了」

 

全ての準備は整った。

 

「仮面ライダーG5 インフォメーションプラン。世界に対しての情報収集ミッションを開始する」

 

ミッション開始と同時にマスク前部が頭部に追加されたユニットによって閉ざされる。

閉ざされたことで外の景色が見えなくなり勿論内部は暗いが一瞬で内部が明るくなる。

その理由はマスク内に数々の情報が全方位に表示されているからだ。

簡単に言えば今このマスクの内部はガンダムの宇宙世紀のMSのコックピット内で採用されたオールビューモニターのようになっているため情報が全方位に表示されているのだ。

 

「凄いな。本当に世界中の情報が瞬時に手に入る。さぁ、まずは簡単な表の場所の情報操作を行う。年号、日時設定、キーワードを入力、検索開始」

 

自分で基礎設計、開発しておいてなんだが、あまりの完成度に感動してしまうが気を取り直して作業を継続、年号と日時を設定し、キーワードを「月面」、「日本」、「謎の光線」で検索する。

検索を開始すると10秒足らずでユーラシア、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、アフリカ、南極と各国の情報が各大陸別に分けられて表示される。

その中から10ヶ国の内容を確認すると文章、映像、写真と全てが昨日のマイクロウェーブに関する物だ。

また別の10ヶ国分の内容を確認するとそれらも全てマイクロウェーブに関する情報、上手く情報を集められているな。

さて、歓心するのはここまでにして仕事の続きをしよう。

 

「これらのデータを全て削除開始」

 

情報を確認した俺は音声で情報削除を指示。

すると各国の名前の下に%ゲージが表示され、かなりのスピードで数字が上がっていく。

%ゲージが100になった国家の名前と情報が次々と消えていき、最後に残っていたアメリカも無くなる。

 

「さっきのキーワードで再検索」

 

全ての国家にの名前が消えて、すぐに同じ年号、日時、キーワードで再検索を行ったが情報は一切入ってこない。

 

「全世界のメディアの機材からマイクロウェーブの映像データ、削除完了。引き続き、今度は裏の場所の情報操作ミッションを開始する」

 

メディア等の表の情報の削除が完了したので今度は各国家の政府と情報機関、軍、宇宙センターへの情報操作ミッションを開始。

だがさっきのようにすぐには大陸別に国家の名前が表示されない。

 

「流石にメディアと違ってプロテクトがどれもしっかりしてる。どれぐらいで突破出来るかな?」

 

セキュリティが低いメディアや一般と違い、侵入している場所が場所なためセキュリティがしっかりしている。

しかし、アクセスを試みて30秒が経過した頃、国家名が一気に表示される。

 

「アフリカ大陸は全てクリア。続いてオーストラリア大陸と南米・・・クリア。ユーラシアも8割強侵入完了。残ってるのはまずはロシア、イギリス、ドイツ、中国、日本、北米はアメリカか。流石に頑張るな」

 

大半の国には少し時間が掛かったが侵入に成功するがやはりこの辺りの国は侵入にまだ少し掛かる。

特に先進国であるアメリカにロシア、この国である日本も中々硬い。

そうこう思っている内に既にイギリス、ドイツ、中国の侵入は完了し、それに続いて日本、ロシア、そして最後にアメリカと全国家への侵入が完了した。

 

「各国の政府と情報機関、軍事及び宇宙センターへの侵入コンプリート。侵入に1分57秒、約2分か。まあこんなもんだろ。年号、日時設定、キーワードを入力、検索開始」

 

メディアのと時と同じように年号と日時、キーワードを設定して検索する。

 

「あったな」

 

相手のコンピューターに入ってしまえばあとは楽なもので年号と日時、キーワードを設定して検索すると表のマディア関係の時のように写真、映像、文章、観測データ等が各大陸、国家ごとに表示された。

 

「これらのデータを全て削除」

 

情報の削除を実行すると先程と同じように各国の名前の下に%ゲージが表示され数字が上がっていき、100%に達した国の名前が次々と消えていく。

 

「情報削除完了。データ復元プログラム妨害プログラムを一斉転送」

 

各国の情報削除後、撤退する前にデータを復元されると面倒なので俺とアポロン特性「データ復元妨害プログラム」をハッキング中の各国に一斉送信する。

 

「データ転送完了、撤退を開始。デコイを1から30まで発射。追跡プログラム破壊プログラムセット・・・撤退クリア」

 

データ復元妨害プログラムの送信が完了して撤退を開始する。

撤退時にネットワークにデコイを放ち追跡を妨害、それを突破した場合を想定して追跡プログラム破壊プログラムをセット、これに引っかかれば追跡プログラムだけでなく相手のコンピューターその物も破壊することが出来る超強力な破壊用プログラム。

それらの散布と設置を終えた俺は速やかに撤退する。

撤退が完了すると全周囲モニターが消え、閉ざされていた前部が開き、3号車内の景色が目に映る。

 

「これでOKだな?」

 

「イエス、完璧です」

 

「今頃各国は大騒ぎだろうな」

 

「見てみますか?」

 

「え?」

 

情報が削除され各国が大騒ぎしていることを想像して呟くとアポロンの突然の提案に俺は思わず間抜けな声を出してしまった。

 

「インフォメーションプランを使えば監視システムにも侵入出来ますし、見てみますか?」

 

「そうだな。侵入した全ての場所の監視システムにアクセス開始」

 

アポロンの提案に乗った俺はIプランを使って再び各国に侵入を開始、3号車に積んである他のコンピュータの画面に全世界の監視カメラのリアルタイム映像が小さく映し出される。

一度侵入したため入るのが楽だった。

 

「お〜。すっげぇ」

 

映し出されている監視カメラの映像を1つ1つ拡大して見るとどの記者や編集者、捜査員、オペレーター達もデータが消えたことに戸惑っているのか慌しそうにしている。

映像の中でアメリカのCIAのコンピューターの画面が火花を散らした光景が見えた。

どうやら連中はデコイを突破してこっちを追跡しようとして破壊プログラムに引っかかったようだ。

 

「どうやら問題ないようだな。ミッション・コンプリート。作戦を終了する」

 

「イエス、マスター。インフォメーションプランとバックアップの連動稼働率82.14%。初起動としてはいい具合です」

 

映像を見てデータはちゃんと削除出来たことに安心した俺は作戦終了を告げる。

その直後、天井から複数のアームが降りてくるとG5とIプランに繋がっていたケーブルを外していく。

ケーブルが外される中、アポロンが計測していたIプランとバックアップである3号車のメインサーバーとの連動率の報告をしてくれる。

 

「残りの数値はこいつがまだ未完成だからか?」

 

連動率の結果を聞いた俺は残りの数値についてアポロンに尋ねる。

 

「イエス、マスター。完成した場合の全世界の情報収集の速度は1分も掛からないでしょう」

 

「そうか」

 

アポロンからの報告を聞いた俺は後ろにあるメインサーバーであるコンピューターの方を見る。

今俺が見て、バックアップとして使っていたのはただのコンピューターではない。

「機動戦士ガンダム00」でソレスタルビーイングが使用していた量子演算処理システム「ヴェーダ」。

3号車を開発する際にアポロンに造れるかどうか尋ねた機材がこのヴェーダだった。

これの性能があってこそあそこまで短時間での情報収集、操作ミッションが可能になる。

ヴェーダがなければもう少し時間が掛かっている。

ちなみにこの3号車に積んでいるターミナルユニットは本体ではない。

ここにあるのは3号車にも積めるように設計、造った中型のターミナルユニットで、この地下の整備施設の一角にヴェーダのメインターミナルユニットが配置してある。

メインターミナル、中型ターミナルを短期間でこの稼動状態まで持ってこれたのはここの地下施設を今まで休ませずフルで活動させたおかげだが流石に調整にはまだまだ時間が掛かるらしい。

 

「よし。ミッションも終わったし、洗濯物を干しにいくか」

 

「イエス、マスター」

 

情報操作ミッションを終えた俺は今朝起きた時にしておいた洗濯が終わっている頃合だったのでそれを干すためにG5を脱ごうと3号車を降り、1号車に向かう。

 

三人称Side

八神家

 

「おはよう、はやて」

 

「おはよう」

 

「おはようキャプテン、ゼロ。爆熱丸はどないしたん?いつも朝稽古してんのに」

 

はやてが部屋から出ると先に起きて、リビングのソファで寝ているシグナムと床で寝ている狼形態のザフィーラに毛布を掛けているキャプテンとゼロが挨拶をするとはやてもキャプテンとゼロに挨拶をして普段なら朝稽古をしているはずの爆熱丸の声が庭から聞こえてこないのでキャプテンとゼロに尋ねる。

 

「昨夜シグナムと夜更かしをしていたためまだ眠っている」

 

「はは、そぉか。さて、朝ごはん作らんとな」

 

「はやて、良ければ私が手伝おう」

 

「ならば私も」

 

「ありがとうな2人共。お願いするわ。でもなるべく静かにな?」

 

「うむ」

 

「分かった」

 

はやてに尋ねられてキャプテンが答えるとそれを聞いてはやては少し笑って皆の朝食を作ろうと車椅子をキッチンに進ませる。

はやてが朝食を作ろうとするとキャプテンが手伝いを申し入れるとゼロも手伝いを申し入れた。

2人の申し出にはやては笑顔でお礼をいい申し出を受け入れる。

受け入れられた2人もキッチンに入り、はやてと共にまだ寝ているシグナムとザフィーラを起さないように静かに朝食の準備を始める。

 

「・・・ん」

 

「ん?ああ、ごめんな。起してしもぉた?」

 

「い、いえ」

 

「おはようシグナム」

 

「おはよう」

 

「ああ、おはよう」

 

はやてとキャプテン、ゼロが朝食の準備をしているとリビングから僅かに声が聞こえ、はやてがリビングの方を向く。

はやては、リビングの方を向きながら起してしまったシグナムに謝るとシグナムは慌てて立ち上がり毛布を畳む。

シグナムが起きると丁度ザフィーラも起き、キャプテンとゼロが挨拶をし、シグナムも挨拶を返す。

 

「キャプテンから聞いたで。昨日もまた夜更かしさん?」

 

「はい。少しばかり」

 

「そう」

 

「すみませ〜ん!寝坊しました〜!」

 

「ふわぁああ・・・。うーん、朝か」

 

「おはようシャマル、ガンイーグル」

 

はやてがシグナムと会話しながら刻んだ玉ねぎを沸騰した鍋の中に入れていると寝坊したシャマルが慌ててリビングに入り、シャマルに続いて欠伸をしながらガンイーグルがリビングに入ってくるとはやてがシャマルとガンイーグルに挨拶をする。

 

「・・・おはようぅ」

 

「おはよう、ヴィータ」

 

「ん・・・うん」

 

シャマルとガンイーグルが入ってきた直後、はやての部屋からぬいぐるみの「呪いうさぎ」を持って眠そうな挨拶をしながらヴィータが出てくるとはやては挨拶を返し、右手で右目を擦り、頷く。

 

「ほら、ヴィータちゃん、顔洗ってらっしゃい」

 

「おう」

 

「キャプテン、こっちはもう大丈夫やからそろそろザク達を起してきてくれへん?」

 

「分かった」

 

シャマルに顔を洗うように言われてヴィータは頷き洗面所に歩いていき、シャマルが起きてきたのではやてはキャプテンにザッパーザク達を起すように頼み、キャプテンは食器棚から取り出した皿をテーブルに置き、未だに寝ているザッパーザク達を起こしにいく。

 

「起してきたぞ、はやて」

 

「う〜ん。おはよう、はやて」

 

はやてに頼まれて少し経った後、キャプテンがリビングに入ってくるとその後ろから爆熱丸が挨拶をしてリビングに入ってきた。

 

「おはよう、爆熱丸。昨日シグナムと夜更かししてたんやて?」

 

「ん?あ、ああ。少しな」

 

はやての問いに少しばかり戸惑ったが直ぐに返事を返してリビングのソファに座り、テレビを観る。

 

「あああ、よく寝たぜぇ」

 

「まだ少し寝たりねぇ」

 

「う〜、あ〜、ドム〜」

 

キャプテンと爆熱丸に遅れて起きてきたザッパーザクとグラップラーグフ、デストロイヤードムがリビングに入る。

 

「おはよう、ザク、グフ、ドム」

 

「おう、はやて」

 

「おう」

 

「お〜、え〜」

 

起きてきたザッパーザク、グラップラーグフ、デストロイヤードムにはやては挨拶をするとザッパーザク、グラップラーグフも返事を返す。

しかし、デストロイヤードムだけは完全には起きていないため寝ぼけた声しか発していない。

 

「とっとと起きろ!」

 

「んん!?おお、おはよう」

 

「ふふ、ドムはほんまに朝弱いなぁ」

 

未だに寝ぼけているデストロイヤードムの頭をグラップラーグフが殴る。

殴られてようやくデストロイヤードムは目が覚め、挨拶をし、いつもの光景にはやては楽しそうに笑う。

 

「あれ?ガンダイバー達とあの子らはどないしたん?」

 

「ガンダイバー達は今日も海に行っている。今日も海の平和を守ると張り切っていた。彼らはまた修行に出かけた」

 

はやてがリビングにガンダイバーズとまだこの八神家に住んでいるある者達がいないことに気付き、尋ねるとそれにいち早くキャプテンが答える。

 

「あの子らも修行好きやなぁ。ガンダイバー達もこんな12月の海ん中潜って偉いわ。あ、シャマル。これ炎天號にお願い」

 

「はい」

 

キャプテンから聞いたはやては、修行に行った者達に苦笑いし、ガンダイバーズ達には感心すると炎天號のごはんが入ったバケツをシャマルに渡し、受け取ったシャマルはリビングの方に行き、庭に出る窓を開ける。

 

「炎天號、ごはんよ」

 

「火、火ーン!」

 

シャマルがごはんを持って行き、炎天號を呼ぶと炎天號が鳴きながらゆっくり近づいてくる。

 

「炎天號は今日も元気やなぁ」

 

「そうですね。・・・・・昨日はお疲れ様、炎天號」

 

「火火ン」

 

朝から元気のある炎天號を見て、はやてが笑顔で言うとシャマルも笑顔で頷く。

ごはんの入ったバケツを置き、炎天號の顔を両手で撫でながらシャマルは小声で炎天號に言うと炎天號も控えめの声で返事を返す。

 

「もう少しで朝ごはん出来るから皆待っててな?」

 

「はい」

 

リビングの方を向いて朝食が出来るあと少しで出来ることをはやてが言うと、ソファに座っていたシグナムが振り向き、返事をする。

 

「身体の具合はどうだ?」

 

「まだ痛みが少しばかり残っている。こんなのは久しぶりだ」

 

「私の方もまだ損傷は残っているがすぐに直る。ガンダイバーズも同じだ」

 

「俺はまだ身体の疲れがとれん」

 

「俺は特に損傷はなかったけどな」

 

「俺も一緒だぜ。ザコ達は結構やられたけどな」

 

「俺は撃たれたところが若干痛むぜ」

 

「俺も〜」

 

「ヴィータ、お前は特に大丈夫か?随分体力と魔力を消費していたが?」

 

「ああ、まだ少しダリィけど体力も魔力も大体は回復した」

 

キッチンにいるはやてに聞こえないようにテレビの音を上げ、声を絞ってシグナムは全員に昨日の戦闘のことがあったため身体の具合を訊く。

ザフィーラ、キャプテン、爆熱丸、ガンイーグル、ザッパーザク、グラップラーグフ、デストロイヤードムがそれぞれの状態を答え、あの戦闘で1番体力と魔力の両方を激しく消耗していたヴィータにシグナムが尋ねるとダルさは残っているらしいが体力も魔力も大方回復したことをヴァータは答えた。

 

「にしてもなんだったんだよあのガンダム達は?」

 

「不明だ。我々の世界でもあのようなガンダム達は見たことがない。更に言えば私とザッパーザク、ガンイーグル、ガンチョッパーズ、ヴィータが戦ったあの黒とオレンジのロボットもだ」

 

「それに白と黒のねえちゃんみたいなロボットもな。黒とオレンジのロボット、あいつらなんて合体してたもんなぁ。なぁヴィータ?」

 

「ああ・・・うん」

 

全員が身体の具合を答えた後、昨日の戦闘についてグラップラーグフが話し出す。

あの戦闘で自分達の世界でも見たことがないガンダムと勇者ロボだったため正体が分からないキャプテンは不明としか答えることが出来ない。

同じ相手と戦っていたザッパーザクがキャプテンが言っていなかった光竜と闇竜を付け加え、スターガオガイガーとゴルディーマーグが合体していたことをヴィータに聞く。

聞かれたヴィータは頷くが何処か上の空の返事を返す。

 

「ザコ達にやられた相手のデータを見たがこれも全く見たことがねぇロボットだった。中にはガンダムも交じってたが」

 

「シャマルも見たことがない忍者のようなロボットに投降を呼びかけられたようだ。それに加えて、この前シャマルが見たという変な怪物にまた襲われたらしい」

 

「その怪物はどうかは分からないが、ガンダムやロボット達を指揮しているのは私達が戦ったガンダムの1体だ」

 

「そうなのかキャプテン?」

 

あの戦闘に参加していたロボット達を指揮していた相手を指摘すると爆熱丸がキャプテンに尋ねる。

 

「間違いない。そのガンダムは私達が戦っていたロボット達に指示を出し、銃から複数のガンダム達を呼び出していた」

 

「銃からだと?」

 

「俺もそれ欲しい〜」

 

「俺も見たんだ。間違いねぇよ」

 

キャプテンの言葉に疑いを持ったグラップラーグフが目を細め、銃好きのデストロイヤードムとしてはガンダムを召喚出来るフェニックスドライバーを欲しがり、疑っているグラップラーグフにザッパーザクが証言する。

 

「恐らくあの銃には次元転移装置かそれに似たシステムを搭載してあのガンダム達を呼び出したんだろう」

 

「しかし、他のガンダム達はそれで納得いきますが、あれらを呼び出したガンダムは自分の姿まで変えていましたよ?」

 

「自分の姿を?」

 

「本当か?」

 

キャプテンがフェニックスがガンダムを召喚している原理を推測するが同じ戦場でフェニックスと戦ったガンイーグルがガンダムの召喚の原理については納得したが、それだとフェニックス自身がどのようにしてガンダムに変身していたのかとう疑問が残り、キャプテンに問う。

それを聞いたシグナムと爆熱丸がキャプテンに尋ねる。

 

「おうよ。最初は両手に銃を持った緑のガンダムだったのに途中でライフルと盾に装甲を追加した白と青のガンダムに姿を変えやがってよぉ。しかもそっから今度は白のガンダムに変わったんだよ!」

 

「あれに関しては私もなんとも言えない。私の換装とも全く異なっていた。姿だけでなく武装や機体の能力も変わっていた。あんなガンダムは初めてだ」

 

「あいつ、本当はガンダムじゃねぇよ」

 

ザッパーザクとキャプテンがフェニックスをガンダムだと思い込んで説明、考えているとヴィータがガンダムであることを否定した。

 

「何?」

 

「どういうことだヴィータ?」

 

フェニックスがガンダムでないことを否定したヴィータにキャプテンとシグナムが訊く。

 

「あいつ、アタシと最初に戦ってる時は全然違う姿だった。途中でガンダムなったけど」

 

「一体どんな姿だったのだ?」

 

「ロボットじゃないけどなんというかアタシらの騎士甲冑やあいつらのバリアジャケットとも違うけどどちらかというとアタシら寄りの姿だった。顔まで覆われてたから素顔は見れなかったけど。あと魔力を蒐集したあの白い奴を攻撃した時、そいつと似たような奴にアイゼンの攻撃を防がれたんだ。確かあいつ等『仮面ライダー』って言ってた」

 

「仮面・・・ライダー・・・」

 

「仮面ライダぁ?」

 

「なんだそれ?」

 

「俺知らない」

 

「聞いたことがないな」

 

キャプテンとシグナムに訊かれたヴィータが最初はガンダムでなく、違う姿をしていたことを言うと今度は爆熱丸がヴィータに尋ねる。

爆熱丸の問いにヴィータは上手く答えられないが様々なガンダムに姿を変えていた人物、そしてヴィータがなのはを最初に攻撃した時にグラーフ・アイゼンによる攻撃を防いだ人物が「仮面ライダー」と名乗っていたことを答える。

仮面ライダーという名を聞かされ、シグナムは呟き、ザッパーザク、グラップラーグフ、デストロイヤードム、ガンイーグルが聞いたことがない名前に疑問の声を漏らす。

ザッパーザク達が疑問の声を漏らしている中、仮面ライダーの名を繰り返して呟いたシグナムが右手を顎に当て、何か考えている。

 

「ヴィータ、その仮面ライダーとやらは目の部分が大きかったか?」

 

「おう。大きかったぞ」

 

「では、何かカードのような物を使ってたか?」

 

「使ってた」

 

少し考えていたシグナムはヴィータにその仮面ライダーの特徴とカードを所持していたかどうか尋ねるとヴィータはそれらを頷きながら答える。

 

「ヴィータ、その仮面ライダーという者のどちらかに背中に空を飛ぶために使う機械を装備してなかったか?」

 

「そういえばしてたなそんなの。なんで2人が知ってるんだよ」

 

シグナムに続いてザフィーラもヴィータに仮面ライダーの特徴を訊き、訊かれたヴィータは頷き、ヴィータは2人に何故仮面ライダーの特徴を知っているのか尋ねた。

 

「以前、その仮面ライダーと戦ったことがある」

 

「私もだ」

 

「なんと!?」

 

「本当かよ!?」

 

シグナムとザフィーラが以前に仮面ライダーと戦ったことがあると聞いた爆熱丸とグラップラーグフが驚きの声を出す。

 

「それって、前に言ってた奴のことか?」

 

「ああ、私がシャマルから連絡を受けてシャマルを助けた男を救いにいった時に私は戦った」

 

「私はその翌日の早朝に戻る際にその者を発見し戦った。だがその者は途中で一旦引いたかと思ったが武装を変えて戻ってきた。結果は負けたがな」

 

前に話しを聞いていたヴィータが尋ねるとシグナムは頷き、シグナムはナイト、ザフィーラはヴィータも戦ったG5と戦闘したことを話す。

 

「名乗ってはいなかったがヴィータの話を聞く限り、共通点は多い。ほぼ間違いないだろう」

 

「仮面ライダー・・・。一体何者なんだ?」

 

シグナムもザフィーラも自分が戦った相手が仮面ライダーであることに間違いないと断定し、キャプテンは仮面ライダーが一体何者なのかを考える。

 

「へっ!なんだっていいじゃねぇか。俺達の邪魔をするなら敵だ」

 

「今度は負けないドム」

 

「そうだな」

 

「ああ」

 

キャプテンが考える中、細かいことを考えず自分達の邪魔をするなら敵対することをグラップラーグフが言い、デストロイヤードムも闘志を燃やす。

2人が戦う気満々でいてそれを聞いたザフィーラとシグナムも同意し、シグナムが後ろを振り返り、キッチンの方を見る。

 

「主はやてを救うためなら何者であろうと倒してみせる」

 

「・・・ああ」

 

「どうかしたのかヴィータ?」

 

キッチンでシャマルとゼロと一緒に笑顔で料理をしているはやてを見ながらシグナムが自分の決意を言うと少し遅れてヴィータが返事をするが声に元気がないためキャプテンがヴィータに声を掛ける。

 

「え?何がだよ?」

 

「先程から君の声に元気がない。何処か上の空だ」

 

「ああ、ちょっとな」

 

「何か気になるのかヴィータ?」

 

「それともやはり、まだ身体が」

 

「いや、そうじゃなくて。ちょっと思い出してたんだよ。昨日の黒いロボット達のこと」

 

「あいつらがどうかしたのかよ?」

 

キャプテンに続きザフィーラとガンイーグルが心配してヴィータに問う。

ヴィータは身体のことではないと否定し、スターガオガイガーのことを思い出していたことを告げると今度はザッパーザクがヴィータに訊く。

 

「・・・す・・・・・よかった・・・」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」

 

「すまないヴィータ、よく聞こえなかった。なんといったんだ?」

 

ザッパーザクに訊かれたヴィータは何故か顔を伏せ、小さめの声で何かを言うが声が小さいため全員が聞き取れず、シグナムがもう一度言うように頼む。

 

「すげぇ・・・カッコよかったん・・・だよ」

 

「「「「「「「「・・・・・は?」」」」」」」」

 

シグナムに言われて伏せていた顔を少し上げ、さっきよりは声のボリュームが上がり、少し恥ずかしそうに言ったヴィータの言葉に全員が気の抜けた声を漏らす。

 

「あの黒いロボット、あの姿になる前はライオンのロボットの形してたんだよ。でも途中でビルの陰から飛行機が飛んできて、線路から新幹線走ってきて、地面からなんかドリルついたのが出てきて、そいつと合体して黒いロボットになったんだよ!」

 

「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」

 

最初は恥ずかしそうにしていたが話出すと段々と興奮気味でスターガオガイガーの合体の話をし、それをシグナム達は唖然としながら聞いている。

 

「それにキャプテンとザッパーとガンイーグルは見てただろうけどあの黒いのとオレンジのロボット、合体しただろ?右腕に!」

 

「あ、ああ」

 

「お、おう」

 

「そうだな」

 

スターガオガイガーから今度はゴルディーマーグの話しをすると同じ場所にいたキャプテンとザッパーザク、ガンイーグルにスターガオガイガーとゴルディーマーグが合体したことをヴィータが訊くといきなり質問されたためガンイーグルとザッパーザクは戸惑い気味に返答するがキャプテンは冷静に返事を返す。

 

「しかもオレンジのロボット、ハンマーになって、合体した途端金色に光って、兎に角すっげぇ、ギガカッコよかったんだよ!」

 

「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」

 

興奮し、目をランランと輝かせて説明していたヴィータの説明が終わったがそれを聞いたシグナム達はなんと言っていいのか分からず、無言になってしまう。

 

「そ、そうか。カッコよかったのか」

 

「うん!」

 

無言になった状態で1番最初に爆熱丸が話すとヴィータはまだ興奮したまま頷く。

 

「・・・よかったな」

 

「うん!」

 

少し戸惑いながらもシグナムがヴィータに言うとこちらも興奮したままヴィータが頷く。

 

「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」

 

「皆〜。ごはん出来たよ〜」

 

「「「「「「「「!!」」」」」」」」

 

最後にシグナムが言ってからはあれ以上何を言っていいのか分からず、また無言状態に少し入った頃、キッチンからはやてが朝食が出来たと全員に声を掛けた。

ちなみにこの瞬間、ヴィータを除く全員が秘かに「助かった」っと心の中で呟き、はやてに感謝の眼差しを向ける。

 

「「「??」」」

 

ヴィータを除く、リビングにいた全員に眼差しを向けられ、何がなんだか理解出来ていないはやてとシャマル、ゼロがそれぞれの顔を見て首を傾げていた。

 

 

健悟Side

野田家

 

「・・・・・」

 

俺は今、自分の家のリビングのソファに座り右の人差し指でこめかみを押さえている。

正直、頭を悩ましている。

 

「・・・・・すいませんがもう一度詳しく説明してもらえませんか?リンディ提督」

 

先程いきなり俺の家に訪ねてきて、対面のソファに座っている人物、リンディ・ハラオウン提督に俺はもう一度同じ説明を求めた。

 

「ええ。まず私達アースラスタッフは今回ロストロギア『闇の書』の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査を担当することになったの。ただその肝心なアースラが今整備のために使えなくて事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになったの。観測スタッフと捜査スタッフ、そして司令部の三組に分割して駐屯することになったの。ちなみに司令部は私とクロノ、エイミィにフェイトさんとアルフがいるわ」

 

俺がもう一度説明を求めるとリンディ提督がさっきと同じ、ゆっくり且つ丁寧に説明をしてくれる。

内容も分担する班の数、配備される人員も原作のA's通り、全く問題はない。

・・・・・ここまでは。

 

「はい。それは十分に理解出来ました。しかし俺が気になっているのはその後です」

 

「と言うと?」

 

俺がそういうとリンディ提督はキョトンとした表情で首を傾げる。

そんなリンディ提督の姿を見て、俺は溜め息をつきながら問題になっている部分を口にする。

 

「なんでその司令部の候補が俺の家なんですか?」

 

そう、俺が問題としていたのは司令部の場所に俺の家が候補になっていたことだ。

勿論、俺の家が断られた場合を想定して原作A'sでリンディ提督達が住むはずのマンションも候補に入っているのだが、なんで俺の家!?

 

「あら、いけないかしら?見た限りこの家はとても広いし部屋はあるでしょ?それになのはさんの保護も兼ねて出来るだけ近所にしたいのだけれど」

 

「確かに使っていない部屋をリンディ提督やクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイト、アルフに部屋を1つずつ貸しても余るぐらいありますしここから高町の家も近いですけど、だからってなんで俺の家なんすか?高町の家から近くて家が大きく部屋が余っているだろうって言う理由で選んだのなら申し訳ありませんがお断りさせていただきます。ちゃんとした理由を述べてください」

 

「理由・・・ね」

 

生半可な理由で俺の家を司令部にされて俺の行動に支障が出たりするのは困る。

必要最低限の理由がなければ正直受け入れられない。

俺が理由を尋ねるとリンディ提督はお茶を取って一口飲み、再び置いて口を開いた。

 

「そうね。これはあくまで私の個人的なことなんだけど、貴方の側に居てあげたいと思ってるの」

 

「俺のですか?」

 

リンディ提督が俺の家を選んだ理由が俺自身のことだったため俺は少しだが驚いた。

 

「ええ。貴方はその年でもうご両親がいない。そしてこんなに大きな家に1人で住んでる。いえ、アポロンさん達がいることや貴方からにしては迷惑で、余計なお世話をしているということは勿論理解しているわ。でも、それでもやっぱり寂しいと思うわ。1人でいることは。だから私やクロノ、エイミィ、フェイトさん、アルフさんとで貴方の側に居てあげたい。少しでも貴方に温もりをあげたいの」

 

「・・・・・」

 

成程、大体のことは理解出来た。

まあこの歳で親が居ない子供なんて他人から見れば天涯孤独のように見えるだろうな。

原作でもプレシアさんが居なくなってしまったフェイトを養子にしてるし。

あくまで俺の推測だが、仮に俺を養子にしようとしても俺が断る可能性はとても高い、だからこの任務中、この海鳴市にいる間だけでも俺の親、家族の代わりをしようと思ってるんだろうな。

でも案外、リンディ提督のことだから本当に思っているかもしれない。

もしそうだとしたら本当に優しい女性だよ。

理由を聞いた俺はどう返答しようか迷い、言葉を詰まらせる。

 

「駄目・・・かしら?」

 

リンディが不安そうな表情、潤んだ目で俺をジッと見る。

この人、見た目が見た目だからそんな表情されたら断りにくい。

 

「はぁ。・・・・・いつからですか?」

 

「え?」

 

「ここに引っ越してくるのはいつからですか?」

 

完全にリンディ提督に負けた俺は溜め息を吐きながらリンディ提督に引っ越してくるのがいつなのか尋ねる。

前回のアースラの時の様にまだ色々言われると思っていたのか、俺が尋ねるとリンディ提督は少し驚いた表情をした。

 

「えっと、今週の休日を予定してるけど」

 

「引越し業者とかにはもう連絡したりしてます?」

 

「い、いいえ。まだこれからだけど」

 

「なら業者への連絡は結構です。引越し代払うの勿体無いんで。荷物運搬用の車両と荷物運びの人員はこちらが揃えます。あ、ちなみに司令部ってことは通信等の機材を持ち込みます?」

 

「え、ええ」

 

「分かりました。なら電子関係に強い連中も呼んでおきます」

 

「あの、健悟君」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

引越し予定の日と業者へ連絡をしているのか、通信機材の持ち込み等を訊き、業者への連絡がまだとのことだったので連絡しないようにいい、ソファから立ち上がり、固定電話の横に置いてあるメモ用紙とポールペンを取ってソファに座り、業者に代わる荷物を運び、電子関係の人員及び運搬車両をメモに書き、リストアップしていくとリンディ提督が声を掛けてくる。

 

「あの、聞いた私がこんなこと聞くのは変なのだけど。・・・本当にいいの?」

 

「ええ、いいですよ。部屋も使わないと勿体ないですし」

 

俺が了承したことにまだ驚いているのか少し戸惑い気味で訊いてくるリンディ提督に俺はメモを書きながら答える。

 

「その代わり、条件と制限を何点か付けますけど」

 

「条件と制限?」

 

「まず条件の方ですか・・・」

 

「・・・(ごくり)」

 

俺はメモを書く手を止め、この家を使うにあたり、条件及び制限を付けることを告げ、最初に条件をいおうとするとリンディ提督の表情が真剣になり、僅かに鍔を飲み込んだ。

 

「家事は分担式で」

 

「・・・・・え?」

 

「掃除、洗濯、買出し、食事、これらは全部必ず全員で分担すること」

 

俺が条件を言うとリンディ提督から気の抜けた声が出る。

 

「・・・えっと、それが条件・・・・・なの?」

 

「はい!」

 

間違いなくリンディ提督にとって予想外の条件にリンディ提督は数回程目をパチパチさせ、俺に訊いてくると俺は力強く返事を返す。

 

「そ、それなら全部私がやるわよ?」

 

「いいえ、駄目です!リンディ提督に任せっきりにしてしまうと俺の家事能力が衰えてしまうに加え、怠け癖がついてしまいます!」

 

「は、はあ・・・」

 

リンディ提督の提案を断り、また力強く返すとリンディ提督は困ったような顔をした。

 

「それに今の内に家の手伝いをフェイトやアルフ、クロノやエイミィさんにもさせることで将来大人になった時に生活するのに必要最低限の能力を身につけることが出来るようになります!特にクロノの様な男子は若い内から家事を手伝うことで家事の辛さを経験し、将来の奥さんの苦労を理解出来るようになる可能性もあります!」

 

「!!・・・・・それもそうね」

 

「そうでしょう?」

 

俺の一言でリンディ提督の表情が変わり、顎に右手を当てて考え始める。

この辺りはやはりある程度は反応するようだ。

 

「分かりました。家事は全員で分担で行う。その条件、呑ませて頂きます」

 

「ありがとうございます」

 

僅かに考えたリンディ提督が家事を分担するという条件呑むと笑顔で答えてくれたので俺は微笑みながらお礼を言う。

 

「それで、制限の方は?」

 

「この家の地上部分、家自体や庭等は好きに使っていただいて構いませんが、地下への立ち入りに関しては基本的に地下2階までとさせて頂きます。どうしても地下3階の演習場、施設をしようしたい場合は詳細な利用目的の説明と私の同伴を絶対条件とさせて頂きます」

 

「それは貴方の、いえ、正確には仮面ライダーの機密を守るためってことかしら?」

 

「はい」

 

条件を呑んでもらってすぐに制限のことを尋ねてきたリンディ提督に俺はこの家の地下3階への立ち入りを制限することを伝える。

制限をする理由が仮面ライダーであること理解していたリンディ提督が確認を兼ねてか聞かれたため俺は正直に頷き、答える。

 

「うーん。・・・・・まあ、本来貴方との協定条件でも仮面ライダーに関して一切のデータを取らないって約束だったし、貴方の家に私達が住ませてもらうことになるのだからそれぐらいの制限をされてもしょうがないわね」

 

「では、同意して頂けますね?」

 

「ええ。それに制限を覗けば、この家で暮らす条件は私としても中々悪くない条件だもの♪」

 

「交渉成立ですね」

 

アースラでの協定もあったためか制限に関しても少し考えたようだが、リンディ提督は自分達が俺の家に住むのだから仕方がないと思ったようで制限も呑んでもらえた。

条件に関しては結構嬉しいようで笑顔だった。

 

「それにしても以外だったわ」

 

「?何がですか?」

 

「正直いうと貴方のことだからかなりの確率で断ると思っていたから。それにアースラでのこともあったから結構条件や制限をしてくるんだと思って」

 

「高確率で断られるのを覚悟の上で頼みに来るなんてリンディ提督も中々度胸ありますね。後者に関しては・・・否定は出来ませんが」

 

「ふふふ。フェイトさんは否定してたけどクロノ達からは貴方は断るから止めた方がいいって言われたわ。でも、私は少しだけ可能性を持っていたわ」

 

「可能性?俺が受け入れることの?」

 

「ええ。だって健悟君、貴方本当は優しい子だもの」

 

「・・・・・」

 

リンディ提督の思いがけない言葉に俺はポカンっとなってしまう。

 

「確かに貴方は出合って間もない頃は凄く冷たいというか、周りに厳しい子だと思ったわ。でもプレシア事件でほんの僅かだったけど一緒に行動して、貴方の戦いを見て、気付いたことがあるの。貴方は誰かを守るために一生懸命になれる。誰よりも人を、仲間を大切に思っている。誰かのために自分の身を挺することが出来る、誰よりも優しい子だって。そう思ったから私は少しだけ可能性を持てたの」

 

「・・・・・思い過ごしだと思いますよ?」

 

リンディ提督の言葉を聞いた俺はテーブルに置いていた湯飲みを取り、首を少し右に捻り、リンディ提督から視線を逸らして、中のお茶を啜りながら飲む。

 

「そうかしら?可能性は少しって言ったけど、今の言葉に私は自身を持ってるわ」

 

「・・・・・そりゃどうも」

 

「どういたしまいて」

 

俺が視線を逸らして湯飲みに口をつけたままリンディ提督にお礼を言うとリンディ提督は笑顔で返事を返す。

 

「あー、えーっと、お茶入れてきます」

 

「ありがとう」

 

なんだか気恥ずかしくなった俺は湯飲みの中のお茶がなくなったのでリンディ提督の分もついでに入れ直すためキッチンに向かう。

 

「・・・・・」

 

キッチンで黙々とお茶を入れ直している時、俺は少しだけ後ろを向き、リンディ提督を見るとお茶菓子でとして出したまんじゅうを笑顔で美味しそうに食べていた。

 

「勝てねぇな。ああいうのには」

 

観察力があって純粋に自分の思っていることを素直に伝える人、少し苦手なタイプだ。

前にアースラであんだけ色々やったのに人がいいというか。

でも正直、嬉しかったとも思ってる。

それにしても想定外のことになってはいるが、まあなんとかなるだろう。

 

「また色々と忙しくなるな」

 

そう呟いた俺はお茶を入れ直した湯飲みにを持ってリビングに戻っていった。

 

 

-2ページ-

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「あ〜、2月間に合わんかった〜」

 

健悟「何やってんだよ」

 

アポロン「本当ですよ」

 

ARXー7アーバレスト「いやね、2月が他の月より2,3日日が少ないこと忘れてた」

 

健悟「バカだろ?」

 

アポロン「バカですね」

 

ARXー7アーバレスト「すいません。返す言葉もありません」

 

健悟「バカはほっといて本文内容の話しよう」

 

アポロン「イエス」

 

健悟「最初に気になったが、おい、バカ作者。今回の内容とタイトルあんま合ってないぞ」

 

ARXー7アーバレスト「気にしたら負けだ。この小説のサブタイトルではよくあることだ」

 

アポロン「それはダメなのでは?」

 

ARXー7アーバレスト「でも時間かけた分結構頑張ったよ俺!」

 

健悟「まあ確かに、八神家のシーンは頑張ったんじゃないか?」

 

アポロン「もしかして書くのが遅れたのってこれですか?」

 

ARXー7アーバレスト 「そうなんだよ。八神家Sideが見てみたいってリクあったからやってみたけど結構纏めるの時間かかった」

 

健悟「八神家Sideのヴィータが可愛らしいな」

 

アポロン「基本的に思考が子供ですからね」

 

ARXー7アーバレスト「なんかスターガオガイガーとかの合体ロボットみたらこうなるかなって思って書いてみました」

 

アポロン「そして最後のリンディ提督とのシーン、ここも結構長いですね」

 

ARXー7アーバレスト 「ここも正直にいってアイディアが纏まらず、纏めるのに時間かかった。頑張って書きましたよ」

 

健悟「だが、これと遅れたのは別問題だ。もっと早く書け」

 

ARXー7アーバレスト「はい・・・」

 

アポロン「それと今回G5の新プランが登場しましたね」

 

健悟「それはまだいいけどそのバックアップにヴェーダ使うとか、どんだけなんだよ」

 

ARXー7アーバレスト 「その方が情報収集早いだろ?圧倒できるし」

 

健悟「そりゃそうだけど!」

 

アポロン「ではそろそろ読者の皆様もお待ちかねだと思うので次回予告にいきましょう。BGMスタート」

 

健悟「マジで!?こんないい加減な終わらせ方でいいの!?」

 

BGM「逆襲」

 

健悟「今回は黒バスか」

 

ARXー7アーバレスト「はい。ではよろしく」

 

健悟「はいよ。ううん!・・・まさかリンディ提督達と一緒に住むことになるとはな」

 

アポロン「また賑やかになりますねマスター」

 

健悟「賑やかになりすぎるような気もするがな。まあいいだろう」

 

アポロン「さて、いよいよ引っ越し作業ですね」

 

健悟「おう、そうだな。みんなで協力しあわないとな」

 

アポロン「頑張ってください」

 

健悟「何言ってるんだ。お前も手伝うんだよ」

 

次回『〜少年が望んだ世界と力〜』第四十三話「引越し作業を開始せよ!」

 

アポロン「ああ、そうですよね。・・・・・え?どのように?」

 

ARXー7アーバレスト「はいOK!」

 

アポロン「お疲れ様です」

 

健悟「なんか段々とこの次回予告が手抜きになってるように思えるんだが?」

 

ARXー7アーバレスト「・・・・・気のせいだよ」

 

健悟「おい!今の間はなんだ!」

 

アポロン「それでは皆様からのリクエスト、まだまだお待ちしております」

 

ARXー7アーバレスト「次回もお楽しみに!」

 

 

説明
第四十二話 臨時作戦本部
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コメント
更新待ってました、赤ペン改めてジェームずです。今回はほのぼの回でしたね。次回もほのぼの回な気がしますが・・・アポロン、どうやって手伝うんだ?(デーモン赤ペン改めジェームず)
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