真・恋姫†無双 裏√SG 7話
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呉に来て一ヶ月とちょっとが過ぎようとしていた。

来た当初は暑かった気温も、日に日に涼しくなりつつある。

だが、今日の呉は夏の暑さに負けない程の熱気を醸し出していた

 

蓮鏡「さぁ始まりました!孫呉主催!舞踊大会祭り!

じいちゃんばあちゃん兄さん姉さん赤ちゃん犬猫も、今日は歌って踊って騒ぎまくれ!」

 

『うぉーーー!!!』

 

建業にいる民、全てが雄叫びを挙げた気がした

 

 

 

孫紹伝其三

 

 

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私は活気溢れる建業の街を歩いていた。右を見ても左を見ても屋台がある。

メインは舞踊大会だが、呉の民が稼げるチャンスを逃すはずもなく、

商魂逞しく営業に励んでいる。屋台で食べ物や飲み物を買い、舞踊大会を楽しむ。

うん、なかなかいいんじゃないかしら

 

雪蓮「おじさん!お酒!お酒ちょうだい!」

 

「あいよ!」

 

隣で一緒に歩いていた母様も、かなり楽しんでいるようだ

 

蓮鏡「いやぁ、なかなかの賑わいね。提案して良かったわ」

 

雪蓮「それだけ、娯楽に飢えてたってところかしら。

どうもここ最近、街の雰囲気も暗かったみたいだし。特にああいう路地裏」

 

母様は串焼きを頬張りつつ、路地裏を指差した。

柄の悪い連中がニヤニヤとこちらを見ている。

気持ち悪い目。なんで世の男共は、父様や兄貴みたいに紳士に振る舞えないのかしら

 

蓮鏡「チッ…うちの母様をいやらしい目で見てんじゃねぇよ」

 

雪蓮「こーら蓮鏡、その口の悪さは誰の影響かしら?」

 

私はボソリと呟いたつもりだったが、母様には聞こえていたらしく、

コツンとチョップをもらってしまった

 

蓮鏡「うー…母様、あいつら殺していい?」

 

雪蓮「物騒な事言わない。それに、東家家訓を忘れたわけじゃないでしょ」

 

東家には何個かの家訓があり、その一つに「私闘での殺人は許されない」と言うものがある。

これを破れば恐ろしい罰があるとか

 

蓮鏡「うー!ムカつく!あいつら絶対徐福の一派よ!今のうちにやっちゃった方が…あいた!」

 

今度はデコピンされてしまう。母様はため息混じりで私の頭を撫でてくれた

 

雪蓮「蓮鏡、あなたの気持ちは嬉しいけど、決めつけは良くないわよ。

もし徐福なら、この後確実に何か動きを見せる。その時に潰せばいい。わかったかしら?」

 

母様は耳打ちするように、小声で言った。私はそれに対して頷く。

母様が言うなら、我慢しよう

 

雪蓮「ふふ、良い子ね」

 

蓮鏡「ちなみに、母様ならあいつら、どう見る?」

 

雪蓮「ん?そうねー、勘だけど、間違いなく黒ね」

 

よーし、あいつらの顔は覚えたわよ。事を起こしたら真っ先に殺そう

 

 

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祭りは今のところ何事もなく進行している。

中でも、メインとなる舞踊大会の方は、なかなかの見所であった。

一般客からの出場が大半を占めているが、それがなかなかどうして、レベルが高い。

見ていて楽しくなってくる

 

季春「………はぁ」

 

そんな中、一人だけ重いため息を吐いていた。

次の演舞の順番が彼女達に近づくほど、季春は青い顔してソワソワしていた

 

蓮鏡「季春、あんたまだ緊張してるの?」

 

季春「お、お前は出ないからいいだろうが、こっちはもういっぱいいっぱいなんだ!」

 

とうとう私に対する敬語すら忘れるほど、季春は追い込まれていたようだ

 

雷蓮「季春、そろそろ私達の出番よ」

 

季春「はぅ!?」

 

雷蓮に呼ばれ、季春は変な声を上げていた。ガッチガチね

 

閃命「そんなに緊張しなくても…」

 

亞真「そうですよ、楽しまないと!」

 

閃命と亞真はノリノリね。

亞真なんて、ほんとにあの亞莎さんの娘なのかしらってほど、元気いっぱいね

 

季春「し、しかしだな…」

 

蓮鏡「しかしもかかしもないわよ。いい季春?よく聞きなさい?あなたは誰かしら?」

 

季春「は?」

 

蓮鏡「いいから!あなたの名を名乗りなさい!」

 

私はなよなよしている季春を怒鳴りつける。季春は少しビクッとし、姿勢を正す

 

季春「わ、私は、甘述。真名は、季春…」

 

蓮鏡「あぁそうだ!そしてお前は、いったい誰の子だ?」

 

季春「私は…甘寧様と、一刀様の…娘…」

 

蓮鏡「季春よ!恥ずかしくはないのかしら?

この大陸の象徴である北郷一刀と、呉の守護神である甘興覇の娘でありながら、

人前に出るのが恥ずかしい?本当に恥ずべきは、そう思うお前自身ではないのか!?」

 

私の檄に、季春はビクッと目を見開く

 

蓮鏡「殻を破れ季春!お前ならそれができる!偉大な両親の血を引くお前なら、必ずできる!」

 

季春「私は…」

 

蓮鏡「自信を持て季春!お前は、次代の呉を担う者の一人なのだから」

 

季春「は、はい!」

 

蓮鏡「良い返事だ!さぁ、見せてみろ!お前の舞を!

そして来るであろう徐福を返り討ちにし、その手で民を守れ!」

 

季春「は!」

 

季春はビシッと敬礼し、ステージを見つめ始めた。

後ろ姿からは、先ほどまではなかった覇気がある。

あぁ、とても凛々しい。まるで思春さんだ

 

雷蓮「相変わらず、言葉で丸め込むのが得意ね、蓮鏡は」

 

蓮鏡「あら?そっちの方が、平和的で良くないかしら?」

 

雷蓮「ハッタリと人心掌握は間違いなく雪蓮様譲り、なら話術は、零士さん譲りかしら」

 

蓮鏡「ふふ、身内だろうと、手の内を見せるほど、私はお人好しではないわよ。

さぁ、行って来なさい雷蓮。あなたのステージへ」

 

雷蓮は少し微笑み、ステージへと出て行った。

その際、こちらを見ずに、「死なないでね」と言ってくれた。

ふふ、私が死ぬわけないじゃない

 

蓮鏡「そっちこそ、死んだりしたら許さないからね」

 

さぁ、私は私の仕事をしよう

 

 

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私は出場者控え室を出て、会場の方へと向かう。

ステージには雷蓮、季春、亞真、閃命の四人が扇子を持って並んでいた。

四人の登場に、観客席は雄叫びを上げる。

お世辞抜きで、彼女達四人は美人だ。さらに言えば、孫呉を代表するものの娘達。

孫呉の民なら一度はお目にかかりたい人物達だろう

 

彩「来たか、蓮鏡」

 

観客席の後ろの方には、彩が立っていた。

彩はその大きな胸を強調するかのように腕を組んで、辺りを警戒していた

 

私と彩は舞踊大会には出ず、彼女達が踊っている間警護をする事になっている。

理由は二つ。一つは、私は言うほど知名度が高くないからだ。

私が出たところで、客側からしたら唖然とするだけだ。

そして二つ目は、私と彩なら、遠距離の敵を討つことができるから

 

彩「まったく、こんな小さな弓では、大した威力は期待できないぞ」

 

彩は手に持っている小型の弓を掲げてボヤく。それに対して、私の腰には…

 

蓮鏡「あら、なら銃の方が良いかしら?」

 

私は腰に差していた銃を引き抜く。父様特製の拳銃、モデルはガバメントだ

 

彩「銃はもっと好かん。自分で射った方が強い」

 

彩の言うことには同感だ。私自身も銃は主装備ではない。

だが、使い勝手は良いし、どんなに場面でも一定の威力があるのは魅力的だ。

東家の子ども達なら皆が持っている必需品ね

 

彩「む、どうやら始まるようだ」

 

彩がステージに目を向けると、四人は扇子を構え、踊る体制に入った。

そして音楽が流れ始めると…

 

雷蓮・季春・閃命・亞真『ハッ!!』

 

扇子をパッと開き、力強く、それでいて流れるように踊り始めた。

なかなか様になってるじゃない。みんな凄く綺麗ね

 

蓮鏡「暗殺が来るとしたら、どう来るかしら」

 

私は四人を見つつ、氣を張って辺りを警戒する。見れば、彩も同じ事をしているようだ

 

彩「この会場に入るには四つの門があり、そこで毎回持ち物検査をしなければいけない。

その際、不審物や凶器は全て没収。故に、少なくとも武器を携帯しているものは居ない」

 

蓮鏡「なら、素手で襲って来るか、それとも狙撃してくるか。

狙撃なら祭さん、秋蘭さん、紫苑さん、桔梗さんレベルの人になるわね。

狙撃ポイントはあらかじめ人を配置しているし」

 

父様が算出したこの街の狙撃ポイントは全て消毒済みだ。

さらに言えば、その狙撃ポイントには既に父様と祭さんがいる。

狙撃の心配もほとんどないだろう

 

それから演舞は続き、いよいよ終わりが近づいてきた

 

蓮鏡「何事も無いのが一番だけど、何にもなかったらなかったで不気味ね」

 

彩「ふむ、杞憂で終わるものか」

 

私はステージ上で踊る四人を見つつ、何事も起こらなかった事に拍子抜けする。

本当に何も起こらない?私の勘では間違いなく何かが起こると…

 

蓮鏡「ん?ねぇ彩。ここの警備員変えたの?」

 

私はステージの周りにいる警備員を見て尋ねる。先ほどまで居たものとは雰囲気が違う

 

彩「あぁ。一定時間ごとに警備員は変えている。そのものらが変わっ……

んー?ちょっと待て。あいつらは誰だ?」

 

彩はステージ付近にいる警備員に疑念の眼差しを向ける。

彩の知らない部隊員?なにこの胸騒ぎ…それにあいつらの気配、どこかで…

 

蓮鏡「んー……!?あいつら!さっき裏路地にいた…」

 

 

ドカーーーン!!!

 

 

蓮鏡・彩「な!?」

 

突如、街の方から爆発音が響き渡る。音からして、建物一つ吹き飛ばすほどの爆発だろう。

爆発音がした瞬間、会場は静まり返る。民からしたら、爆発音なんてものは縁遠いものだ。

パニックになるというよりは、戸惑っているようだった

 

そして、その戸惑いの中、動き出す連中がいた

 

賊1「いまだ!やっちまえー!!」

 

賊2「おぉーー!!」

 

賊3「その命、貰い受ける!!」

 

賊4「覚悟!!」

 

警備員に扮した賊四人が、ステージ上にいる雷蓮、季春、亞真、閃命に襲いかかった。

四人はそれぞれ持っていた扇子で、剣や槍などの敵の攻撃を防いだ。

彼女たちの持っていた扇子は、美羽さんが使っているものと同じ鉄製の物だ。

なかなかの硬度だが、やはり慣れていない武器のせいか、上手く捌けていない。

それに賊どももかなりの手練れだ。あの四人を押すほどのものか

 

チッ!なるほど考えたわね!警備員に変装すれば、武器を携帯することができる。

あの爆発は、襲撃の合図ということか。しかし、いったいどうやって警備員の服を?

いや、今はそんなことを考えている場合ではない!

 

蓮鏡「彩!」

 

彩「分かっている!お前は四人の救援を頼む!私は民の誘導に行く」

 

蓮鏡「任せたわよ!」

 

私はステージへ、彩は民の避難活動に乗り出した

 

ふん!銃は無駄になったわね。

だけどいいわ。私に銃を使わせなかったこと、後悔させてやる

 

私は一気に駆け出しステージ上に飛び乗る。そして主装備であるトンファーを取り出した

 

蓮鏡「ハァァ!!」

 

私はトンファーを握りしめ、敵目がけて振り回す。

1,2発と攻撃を入れるが、上手く防がれ後ろに下がられてしまった

 

蓮鏡「無事!?」

 

私は肩で息している雷蓮に問いかける。雷蓮は息を整え、ニヤッと笑ってみせた

 

雷蓮「誰に聞いてんのよ?こんな三下にやられるわけないじゃない」

 

蓮鏡「その割には、結構しんどそうだけど?」

 

雷蓮「これはあれよ。よさこいが思った以上に激しかったのよ」

 

蓮鏡「はいはい。そういうことにしておいてあげるわ。

あんた達四人は下がってなさい。ここからは私が引き受けるわ」

 

雷蓮、季春、亞真、閃命は敵を押し返し、こちらに下がって来た

 

閃命「し、しかし!蓮鏡様だけに任せるわけには!」

 

蓮鏡「慣れてない武器で戦ってもらう方が、邪魔なのだけど」

 

私は少しきつくいってやる。こうでもしないと、きっとこの子達は下がらない

 

亞真「私は残ります!母上直伝の暗器術、とくと見せましょう!」

 

季春「私も残る!この程度のものら、鉄扇で十分だ」

 

季春はともかく、亞真まで残るとは…まぁいい

 

蓮鏡「なら閃命!お前は雷蓮を城まで護衛しろ!季春、亞真はこのまま私と共に!」

 

季春・亞真・閃命「ハッ!!」

 

雷蓮「……蓮鏡、あいつら、なかなかの手練れよ。気をつけなさい」

 

蓮鏡「わかってるわ。さぁ!行け!」

 

閃命は雷蓮を連れて、この場から離脱した。その際、賊が追いかけようとするが、

そこは亞真は隠し持っていた暗器で動きを止める

 

賊1「チッ!せめてこの三人だけでも討ち取る!」

 

賊どもは私達に標的を定め、槍や剣などの武器を構える

 

蓮鏡「あんた達、さっき路地裏で私の母様を見ていた奴らよね?」

 

賊2「孫策の娘…殺害対象の一人か。それがどうした?」

 

母様はともかく、私までターゲットに?

 

蓮鏡「私ね、どうしても許せない事があるんだぁ。それはね、母様の邪魔をするものよ」

 

賊3「それが、なんだというのだ?」

 

蓮鏡「ふふ。おめでとう。あなた達は晴れて私の抹殺対象に登録されたわ。

私の母様をあんなゲスイ目で見たこと、後悔させてあげる」

 

さぁ、ここからは、私のステージよ!祭りは祭りでも、血祭の開催よ!

 

 

 

説明
こんにちは!
Second Generations孫紹伝其三
孫紹こと蓮鏡はマザコンって設定です(笑)
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コメント
思ったより呉への滞在が長いですね。しかし、次回ぐらいで徐福は殲滅されるかな?(ohatiyo)
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