【真・恋姫†無双if】〜死を与えることなかれ〜8話
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「たああああ!!」

 

 

戦場に響く裂帛の気合。一人、敵兵を倒したら、また次へと休む事無く押しとおる。

 

集中しきれている。これも一刀様が私の背中を押してくれたからです。

 

 

「御覚悟…!!」

 

「ぐううううぅぅ……無念」

 

 

一刀様、戦場に出陣を果たせなかった分まで私が武を奮います。

 

先ほどの誓いと、そして、あの時交わした二人だけの約束を更なる力に変えて…

 

 

 

 

 

 

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「うう、まさか、こんな浅はかな失敗をするだなんて。……はぁ」

 

 

大きくため息をつき、曇った心にますます拍車が掛かる。

 

やはり、あの失敗が相当尾を引いているのです。

 

 

「……ニャー」

 

「………あ、お猫様」

 

 

 

トコトコと優雅な振る舞いで私の前を歩むお猫様と目が合う。

 

何時もなら体全体を、お猫様色に染め突撃するのですが、今はその様な気持ちにはなれないのです。

 

……ますます、重症なのです。

 

 

「………うニャー」

 

「…え。お猫様…!!」

 

 

中庭の段差で座っていた私の膝にお猫様が寝転がる。

 

お、おかしいのです。最近は近づいたら高い確率で引っ掻いて逃走するのに

 

これは、落ち込んでいる私を励ましているのでしょうか。

 

 

「ニャーニャー」

 

 

私を見詰め鳴き声を上げ、ゴロゴロと喉を鳴らす。

 

何だかお猫様の瞳を見ていると理由を話せと言っている様に、見えてくるのです。

 

これは、口を開いたほうがいいのでしょうか。

 

私は憂鬱な気分に終止符を打つべく思い切って、お猫様に語りかけた。

 

 

「じ、実は、蓮華様からお使いを頼まれました所、

 その道すがらで、お猫様と遭遇し、そのまま時を忘れ追いかけてしまい……」

 

「……ニャニャー」

 

「我に返り急いでお使いを再開したのですが、時既に遅く頼まれた品を買うことが出来なかったのです。

 蓮華様に報告した所、叱責を受け呆れられて…」

 

「…ニャン!!」

 

「罰として七日間、部下達の食事当番をする事になりました。

 幸い、お猫様お触り禁止令を施行されなかったは、良かったのですが」

 

「明命らしいニャ。それ程僕達が好きなのかニャ」

 

「…好きなんて程ではございません。私は、お猫様を愛して………って、えッ!?」

 

「どうかしたのかニャ?」

 

「え!?お猫様がしゃ、喋っ…!!」

 

 

目の前の状況に耳を疑ってしまう。幻聴なのでしょうか、しかし、はっきりとお猫様がお喋りに、

 

も、もしかして、私の度重なるお猫様愛が成就し天からの授かり物なのでしょうか…!!

 

…あれ、良く見るとお猫様の声と口の動きが噛み合っていない気が。

 

 

「くくく、み、明命……」

 

 

それに耳を澄ませると背後から聴こえて……!?

 

 

「か、一刀様!!」

 

「よっ!明命」

 

「も、もしかして今のは」

 

「そう、全て俺の演技」

 

 

振り向くと、そこには一刀様がおり片目を瞑り笑顔で応えた。

 

私は動揺していると、「隣に座っていいかな」と問われたので、私は反射的にハイと答えた。

 

 

「ありがとう」

 

 

胸が早鐘を打つ、まさかの展開。一刀様がこの場に現れるなんて全く予想していなかった。

 

うう、何か会話を……

 

 

「あ、あの、いつ頃から一刀様はここに?」

 

「うん?明命が猫に熱心に語りかけてた時からかな。…なっ!!」

 

「ニャー!!」

 

 

一刀様はお猫様に同意を求めるべく、首を撫でた後、お顔をお猫様に近づけた。

 

お猫様も、それに答えるかの様に鳴き声を上げた。

 

しかし、その微笑ましい、やり取りとは別に、私は一連の出来事を見られていたと言う事実から、

 

素っ頓狂な声を上げてしまい、驚いてしまった。

 

 

 

「ええ!?と言う事は話の内容は!!」

 

「ああ…悪いけど聞かせて貰っちゃった。

 …はは、まぁ、明命らしいけど、頼み事を放り出して猫をを追いかけるなんて頂けないね」

 

「申し訳ありません………」

 

 

一刀様からのお叱り、柔らかな物言いで私を傷つけない様にしていると、わかっているのですが、

 

今の私は精神的に少し参っている為、怒られたという事に過敏に反応し恐怖を覚えた。

 

身を縮め心の奥底から申し訳無さで一杯になる。将として、あるまじき行為、

 

先程の蓮華様の叱責が頭の中で蘇ってくる。

 

私はダメダメな将なのです………

 

 

「…明命?」

 

「ニャー?」

 

 

い、いけない。涙が出そうに…!

 

悟られない様にしなくては。私は膝に座っているお猫様のお顔を人差し指で擽る。

 

 

「や、やっぱり、お猫様は可愛いのです………!」

 

 

ポロ…ポロ………

 

 

「…ウニャン?」

 

 

あ、あれ、必死に堪えているのに、涙が…。

 

お願い、止まって!!

 

 

けれど、私の願いは叶わず、

 

挙句の果て、押し殺していた声まで出てしまった。

 

 

「…うっ……ひっく……」

 

 

「………ごめん、明命。自覚が足りなかった」

 

「い、いえ…ヒック…わ、悪いのは、全て私…なのですから」

 

 

大切な人の手を煩わせたくないと言う一念から、必死に自分自身を窄める。

 

けど、涙が止まる気配が一向に無い。自己嫌悪、心が負の牢獄に堕ちそうになる様な、

 

非現実的な感覚。

 

もう駄目です。私は……

 

 

「…明命」

 

 

温かな掌が私の肩と後頭部に優しく添えられ、一刀様の胸に迎えられた。

 

私はそれを、拒絶する様、行動に移ろうとするが、心が、本能が優しさを求めているのだろう。

 

身体が動かなかった。私は、その労わりある行為をお止めになる様、辛うじて言葉を発した。

 

 

「…い、いけません、一刀様。着衣が汚れてしまいます。

 ですから、…お放し下さい」

 

「…嫌だ、放さない。それに俺の服が汚れようと別に構わないし。

 それよりも、明命。泣きたいと思ったら我慢せずに全てを吐き出した方がいい。

 悲しみの涙は心を新たに、今より一歩、前に進める過程に過ぎないんだ。

 だから、恥ずかしがる必要は無い、堪えず泣いてくれ。その間、俺が支えるから」

 

 

顔を上げてみると、そこには一刀様のお顔、安心を求めるかの様な温かな眼差し、

 

後頭部に添えられた温かな手が、私の頭を撫でる。優しさが心に沁みる。

 

私は無意識に手を一刀様の胸に手を伸ばし、着衣を掴んでいた。

 

泣いていい、支えてくれる。その労わりあるお言葉から、思いっきり泣いた。

 

恥も外聞もなく思いっきり………

 

 

 

――――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

 

 

「どう、落ち着いた?」

 

「は、はい…」

 

「そっか。良かった」

 

 

生まれて初めて、あの様な醜態を晒してしまい、やはり身が縮む。

 

恥ずかしがる必要はないと仰って頂いたのですが、我に返ると少々恥ずかしいのです…

 

 

「ん?まだ顔が赤い様な…」

 

「はうあ!!も、もう大丈夫なのです!!」

 

「………ようやく『はうあ!!』って言ってくれたね」

 

「え?あ………」

 

 

そう言えば、言ってなかった様な気が、とは言え何時も言っているという事でも

 

ないと思いますが…

 

 

「うっし!!もう、大丈夫だな。何時もの天真爛漫な明命だ」

 

「天真爛漫…ですか?」

 

「そう。天真爛漫」

 

 

一刀様の笑顔に釣られて、こちらも笑みがこぼれる。不思議なのです。

 

一刀様に思いの丈を吐いたら、こんなにも心が軽く、穏やかな気持ちになるだなんて。

 

 

「…そうだ、明命。約束しよう」

 

「約束ですか…?」

 

「うん。これから先も、いくつもの大きな壁が待ち受けてる。その都度、今日みたいに

 落ち込むのではなく、反省し直ぐ様、気持ちを切り替える。

 失敗もまた、成長への架け橋だからね」

 

 

…一刀様は本当に凄いな。向上心に溢れ、次に繋がる様に考えていらっしゃる。

 

私もそれに見習い、日々、精進しなければ…!!

 

 

「…まぁ。失敗ばかりの俺が偉そうな事を言っても…って、あはは」

 

「いえ、大変勉強になりました!!」

 

「そ、そう?」

 

「はいです!!」

 

 

一刀様は恥ずかしそうに頬を掻いていた。何だか、お猫様みたいで可愛いのです。

 

 

「あ、そうだ。明命。片方のどちらの手でもいいから、小指だけ立てて前に出してくれる?」

 

「え、あ、はい」

 

 

私は言われた通り右手を前に出した。すると、一刀様も同様に右手を差し出し、

 

私の小指と一刀様の小指を交わらせる。

 

 

「指きりげんまん」

 

「指…きり…?」

 

「約束は必ず守る証。俺の国でよく知られ約束する時に、大抵行う行為なんだ」

 

「そうなのですか」

 

「うん。だから、破っちゃダメだよ。俺と明命の二人だけの約束を…ね」

 

「や、破るわけありませんよ」

 

 

………ふ、二人だけの約束……嬉しいのです。

 

 

「ここに居たのね、明命」

 

「…蓮華様」

 

 

息を切らした蓮華様が私達の前に現れ、深呼吸をし息を整えた。

 

 

「…ごめんなさい、明命。虫の居所が悪かったとはいえ、少し強く言い過ぎたわ」

 

「えっ!?あのあの、お、お顔を御上げ下さい!!悪いのは私なのですから!!」

 

「そう言って貰えると助かるわ、でも本当にごめんなさいね、明命。

 …所で一刀はどうして此処に居たの?」

 

「さぁ?どうしてかな。……明命」

 

 

一刀様が口角を上げ私をみつめる。この顔つきは、蓮華様をからかおうとしているのでしょうか。

 

何やら、愉しそうにしています。これは同調した方が良いのでしょうか…

 

私は、とり合えず一刀様に調子を合わせる様にした。

 

 

「ど、どうしてでしょうかね〜。…か、一刀様」

 

 

わざとらしいなと自分で思いつつ、これで良かったのかと困惑していたら、

 

蓮華様が怪訝そうな顔つきになられ、次第に目を座らせた。

 

 

「………何かあった様ね。私に話してくれるかしら?」

 

「うーん、ごめん。話せない。これは、俺と明命の『二人だけ』の秘め事だから」

 

「なっ!!ひ、秘め事ってどういう事!!」

 

「言葉通りの意味…かな」

 

 

一刀様は蓮華様をからかい楽しそうにして、私に向かい目を瞑り合図を送った。

 

 

「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。またな、二人供」

 

 

そう仰ると一刀様は颯爽と立ち去っていった。残された私達はと言うと…

 

 

「明命は話してくれるわよね」

 

「…申し訳ありません。蓮華様とはいえ、こればかりは…」

 

「何があったのよ、もう……」

 

 

蓮華様は肩を落とし、不機嫌な御様子。私は内心、謝りながらも決して口にはしなかった。

 

だって、一刀様と二人だけの約束ですから。それに先程、一刀様があんなにも、

 

『二人だけ』と強調していたら、さすがに、話す気にはならないのです。

 

 

「まぁ、いいわ。…明命。お互いまだまだ不肖のみ。これからも頑張りましょうね」

 

「………はいです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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そうです。私達は、私は無様な姿を見せる訳にはいかないのです!!

 

戦場に居られない一刀様の為に……!

 

 

「周泰隊、これより、これより更なる苛烈な修羅に入ります!!

 恐れず勇を奮い、私に続けーーーーッ!!」

 

「おおおおおおぉぉぉ!!!!!!!!」

 

 

 

 

一刀様……私に、私に更なる御力お貸し下さい――――――――――

 

 

 

 

 

説明
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
お ま た せ して ご め ん な さ い!!
気が付けば約三ヶ月更新なし。
時間がとれず中々書けない状況が続いてます。
ですので、気長にお待ちいただけたら幸いです、
それと、今回は明命の回想…ワンパターンで申し訳ありません
稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
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コメント
D8さん>暗めなお話になるのかな?(はぐらかし)wコメントありがとうございます〜(南無さん)
雪馬さん>只今です!!お待たせして申し訳ありません。失踪はしない(と思う)のでこれからも頑張ります〜。明命は可愛いですよね。特に従順なところが!!コメントありがとうございます〜(南無さん)
げんぶさん>今や一刀は大黒柱の様な存在ですからね。本当どうなるやら…コメントありがとうございます!!(南無さん)
naoさん>この後は…まぁ、過度な期待はせずにお待ち下さいwコメントありがとうございます〜(南無さん)
本郷 刃さん>実は私も猫派なんです。野良猫とか見かけると無性に撫でたくなるんですよね〜wコメントありがとうございます!(南無さん)
今がこんな感じになってるからこの後の展開が・・・・(D8)
お帰りなさい〜\(^o^)/ 良かった戻ってきてくれて 明命可愛いよね〜(雪馬)
一刀と呉のみんなの絆の強さがわかるたびにこの後の事が心配になるぜ・・・;;(nao)
どんな失敗をしても一刀の励ましで奮起する明命が可愛いです・・・ちなみに自分も猫派ですw(本郷 刃)
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