〜鞘華視点〜

連合軍の配置が変わった

此処３日間、連合の攻撃は尻すぼみ状態だった

初日の大敗が効いているのだろう

だから碌に戦闘はなかった

しかし、どうやら本腰を入れてきたようだ

先陣は曹操軍

とうとう出てきたわね

並んで袁紹軍

って、総大将が先陣を切るなんて何考えてるの？

両軍が攻めてきた

こちらは完全に籠城して防御

虎牢関の頑強さで問題なく展開している

しかし、敵の後方から孫策軍が突撃してくる

袁紹軍は混乱に陥った

あれ？曹操軍はうまく避けたので混乱はないんじゃない

「出る」

恋が出撃準備に入る

この混乱に乗じて敵に痛撃を与えるつもりなのだろう

そして呂布部隊が出撃しようとした時

「そういう事ですか

　恋さん、出撃しては駄目です！」

静里が止めるが間に合わず呂布軍が出撃してしまう

「恋だけに行かせる訳にはいかん

　張遼隊も出るで」

霞が出撃すると言ってきた

「こうなっては仕方ありません

　鞘華様も出撃してください

　敵の狙いは袁紹軍を混乱させてこちらの部隊を釣り出す事です

　そして、その隙に手薄になった虎牢関を攻め落とすつもりです

　おそらく孫策軍の周瑜さんあたりの策でしょう

　だから一刻も早く恋さんを連れて戻ってください」

静里の説明に私は

「静里、北郷隊の半数を置いていくわ

　指揮をお願い」

「了解しました」

静里に指示を出して出撃する

私は恋の部隊を目指す

しかし間の悪いときは重なるものだ

突然、斬撃が飛んできた

それを受け止めるが威力があり、腕が痺れた

斬撃の主は夏候惇だ

私の部隊に横撃をかけてきたのだ

「貴様を捕えろと言う華琳様の命なのでな

　ここで叩きのめして連れていくことにする」

「お主が降ってくれれば叩きのめす必要もないのだがな

　待遇は保証すると華琳様の言葉だ

　大人しく降る気はないか？」

夏侯淵までいるとはね

「私の答えは『断る』よ」

「ならば私が相手だ

　秋蘭、一騎討ちだ　手を出すなよ」

「疾風さん、部隊指揮をお願い」

夏候惇との一騎討ちになった

夏候惇の攻撃は威力重視

速さは霞や孫策に劣るが決して遅くはない

受ければ腕が痺れるので躱すしかない

厄介な相手ね

夏候惇の斬撃を躱しながら反撃をするが受け止められる

「こんなところで力任せの脳筋の相手をしてる暇なんてないのに」

「なに〜、誰が頭に行く栄養まで体力に使っている脳筋だと〜」

そこまで言ってないでしょう　でも当たってるかな

私は日本刀『朱雀』で上段からの斬撃を繰り出す

夏候惇に受け止められ剣での押し合いになる

そこで私は突然、刀を手放す

いきなり、押し合う力が無くなった夏候惇が体勢を崩す

「北天一心流の攻撃は刀のみにあらず

　己の五体をも刀と化せ」

修行の際にさんざん聞かされた言葉を反芻しながら夏候惇の顎、こめかみ、みぞおちに正拳突きを決める

夏候惇がふらついた隙に日本刀『朱雀』を拾い上げようと後ろを見せた

そこに夏候惇が斬りかかろうと突っ込もうとした時、夏候惇が膝からくだけた

「顎を打ち抜かれると一時的に脳震盪になり足が効かなくなる

　脳筋でも効いたみたいね

　もらった〜」

私がが斬りかかろうとした時、横から矢が飛んできた

何とか躱す

「一騎討ちの邪魔をして悪いが、姉者を殺らせる訳にはいかん」

早く恋を連れ戻さないといけないのに状況は良くない

ジャーン、ジャーン

虎牢関から銅鑼の音が響く

そこには、『劉』の旗が靡いている

劉備や劉表の旗ではなく皇帝陛下の旗が

「月、詠、華雄、間に合ったのね」

こうして、虎牢関の戦いは終わった