真・恋姫†無双 裏√SG 第17話
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楽?伝其四

 

 

 

 

詠「あんたが出ておいて、なんてザマよ、零士」

 

零士「め、面目無い…」

 

流琉「だ、大丈夫ですか?」

 

私と秋菜姉さん、咲希姉さん、霰さんは、一足先に許昌に戻り、華佗さんを尋ねて翠さんの治療を依頼した。翠さんは即刻手術という事で、私と霰さんは一旦【晋】に戻り、咲希姉さんと秋菜姉さんは華佗さんの元に警護として残る事にした。すると程なくして、母さんが父さんを担いで帰ってきた。どうやら父さん、友紀さんに麻痺するツボを刺激され、立てないらしい

 

凪「状況をまとめたい。凪紗、友紀の目的はなんなんだ?」

 

母さんに問われ、私は先ほどの友紀さんとの会話を全て伝えた

 

翠さんが友紀さんの家族を殺した事

 

友紀さんが翠さんに復讐しようとしてること

 

友紀さんに協力者がいること

 

零士「その協力者は、恐らく梁山泊だろう。武松と言えば拳法の達人だ。

それに、最後に出てきた女の子、あの子は呉の時にも居た。恐らく花栄だね」

 

凪「梁山泊…という事は、徐福も関係していると」

 

詠「そう考えるのが妥当でしょうね。友紀は何らかの手段で徐福と関わり、そして協力している」

 

友紀さんが裏切る…とても考えられない事だった。

確かに友紀さんは、よくサボるし、時々どこかに行ってしまうし、酒好きだし、私生活がだらしないけど、それでも、一本筋の通っているような女性だった。これと決めたら必ずやり通す、それが友紀さんだった

 

凪紗「友紀さんは、最初から私達を裏切るつもりだったのかな…」

 

霰「いや、ウチはそうは思わへん」

 

私の呟きに、霰さんが即座に否定した

 

霰「あいつは確かに、翠さんに憎しみを抱いていた。あの目ぇ見ればわかる。

本気で殺す気やった。せやけど、凪紗やウチらを殺す気は無さげやった。

もし殺す気なら、今頃凪紗はここにはおらへん」

 

霰さんの言葉は、私も疑問に思っていた事だった。

友紀さんと対峙した時、友紀さんは槍を捨て、小太刀も抜かず、私に素手で挑んできた。

しかも、どこか訓練を付けられているような、自分の悪い所を的確に示しているような、そんな印象を受けた

 

霰「実際あいつは、元司馬昭隊では最強やった。その気になれば、士希や璃々さんよりも強い。多分、ウチと凪紗の二人掛かりでも、止められるかどうかわからへん。あの場に咲希がおったんは、ほんま運が良かったで」

 

兄さんや璃々さんよりも強い?

私が知る限りでも、兄さんや璃々さんは間違いなく武将級の人間だ。

それすらも凌駕するのか?

 

凪紗「母さんは、その事を知っていましたか?」

 

私は母さんに聞いた。母さんは訓練教官を長い事勤めているが、友紀さんがそんなに強いだなんて話、聞いた事なかった

 

凪「……いや、正直そこまでとは…あいつは訓練の時、いつも手を抜いている気はしていたが…思えば、隠していた事も、最初から決めていた事なのかも知れないな」

 

母さんは苦々しく言った。母さん自身、友紀さんは謎めいた人物だったのかもしれない

 

凪紗「そう言えば、霰さんはあの時、兄さんの頼みがどうのと言っていましたが、あれは何なんですか?」

 

私が聞くと、霰さんは珍しくバツの悪そうな表情になった。まるで、私に言っていいものなのかと言った表情だ

 

霰「うーん……まぁ、別に言ってもええんかな?

いやな、私ら元司馬昭隊は、解散する時に士希に頼まれた事が二つあるんさ。

一つ目は、この許昌を護ること。それは別に、今まで通りやりゃええで問題はない。

そんで二つ目、当時まだ入隊前やった秋菜と凪紗の面倒を見ること」

 

秋菜姉さんと、私の面倒を?

 

霰「士希は二人のことめっちゃ心配しててな。自分はなんや、どうしても辞めやなアカン理由がある言うて面倒見れへんで、その面倒をウチらにお願いしていったんさ。秋菜と凪紗が、軍でもしっかりやって、強くなれるようにってな。ま、強制はしやんだで、璃々さんや曹丕に付いてる甄姫なんかは、別の道歩いてるけどな」

 

だから、友紀さんと霰さんは、私と秋菜姉さんの補佐官に就いててくれたのか。ずっと、どうして二人は隊長にならないのだろうとは思っていたけど、そんな理由があったなんて

 

凪紗「でも、強制はしなかったのなら、どうして霰さんや友紀さんは、私達の面倒を?」

 

霰「ん?それはまぁ…いろいろあってな」

 

霰さんはどこか気恥ずかしそうに呟いていた

 

咲希「ふん、あいつらしいな」

 

凪紗「咲希姉さん」

 

霰さんの言葉に返答したのは、店の入り口から入ってきた咲希姉さんだった。

何が、兄さんらしいのだろう?

 

詠「おかえり、咲希。その様子だと、翠は一命を取り留めたようね」

 

咲希「えぇ、それどころか、もう目を覚まして、話しておきたい事があるみたいです。

それに、ちょうど良かった。流琉さんに来て欲しいそうです」

 

流琉「私にも?」

 

咲希姉さんが頷くと、この場にいるみんなと目を合わせ、咲希姉さんと入れ替わるように店を出た

 

と言っても、華佗さんの診療所はうちの真向かいだ。

何かあればすぐに咲希姉さんも呼べるだろう

 

 

 

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秋菜「無事峠は越えたようだ。私はこの件を母上に報告してくる。凪紗、悪いが後を頼めるか?」

 

診療所の前には秋菜姉さんが立っていた。

秋菜姉さんは私達を確認すると、既に城の方へ行こうとしていた

 

凪紗「はい」

 

凪「私も一旦城に戻ろう。私の方でも秋蘭さんに報告しておきたい」

 

母さんも城に戻るようだ。

友紀さんと戦った事もあり、いろいろ報告しなければいけない事が多いのだろう

 

霰「なら、ウチは兵を集めて、今一度警備の強化を指示してくるわ。

友紀の部隊の兵にも、事情話さなアカンしな」

 

皆がそれぞれ、自分の役割を持って行動し始める。私と父さんと流琉さんは華佗さんの診療所に入り、華雄さんの案内で翠さんが寝ている部屋まで案内してもらった

 

部屋に入ると、何かを思い詰めた表情で外を眺めている翠さんの姿があった。

身体中に包帯が巻かれており、脚には固定具のようなものが施されてあった

 

翠「あぁ、零士に凪紗、それに流琉も。へへ、みっともねぇ姿見せちまったな」

 

翠さんはこちらに気付き、微笑んでくれたが、その笑みはとても弱々しいものだった

 

流琉「具合はどうですか?」

 

翠「後遺症とかは残んねぇみたいだし、大したことはねぇよ。

ま、しばらくは松葉杖か車椅子に頼らなきゃならねぇみたいだけどな」

 

治療には時間が掛かるようだが、どうやら大事には至らなかったらしい。本当に良かった

 

そしてしばらく、この場の誰もが無言になった。

私自身、何を聞いていいのかもわからず、口を開けなかった。

だけど、そんな中父さんが、翠さんに向けて口を開いた

 

零士「翠ちゃん、もしかして君、死ぬつもりだった?」

 

父さんの声音はとても優しいものだったが、内容はとても信じられないものだった。

翠さんも、少し目を見開いて驚いている。しかし、翠さんはその言葉を否定しようとはしなかった

 

零士「いつからあの子が、君の事を狙っていると気付いていたんだ?」

 

翠「……最初から、かな。あいつ、あたしを見た途端、殺意を剥き出しにしたんだ。

ほんの一瞬だったが、それがあたしに向けられていたのは間違いない」

 

凪紗「気付いていながら、何故誰にも言わなかったんですか?」

 

私が問うと、翠さんの表情は少し険しくなった

 

翠「あいつが、似ていたから。かつてあたしの部隊にいた、趙月っていう子に」

 

趙月という名が出ると、父さんは眉をピクリと動かしていた。

その隣にいた流琉さんも、息を飲んでいた

 

翠「漠然と王異は、その趙月の妹なんじゃないかと考えていた。

だけど、王異って名前を聞いて、姓が違うから、あたし自身、確証は持てなかった。

他人の空似、あたしの勘違い、あの殺気も、もしかしたら違うのかもしれない。

だけど、あいつと過ごしていくうちに、徐々に確信していった。

何をするにしても、真紀の、趙月の面影がある。

もし王異が趙月の妹なら、あの殺気の意味もわかる。

そう思うと、段々あたしは、この件は自分で片付けなきゃなんねぇ事だって思った」

 

だから、誰にも言えなかった。翠さんは最後に消え入るような声で呟いていた

 

凪紗「その、趙月というのは?」

 

翠「趙月は、数年前にうちで活躍していた子だ。

なかなか筋が良くて、次世代の期待の新人なんて呼ばれていてな。

文武両方に長けた奴で、あたしも結構可愛がっていたんだ。

あいつもあたしに懐いてくれて、よく母親や妹の話をしてくれたよ。

母親の為に働いているとか、妹が戦わなくていいように軍にいるとか。

嬉しそうに語っていた」

 

そこまで話す翠さんは、とても嬉しそうだった。

きっと翠さんは、本当にその趙月という人の事を気に入っていたのだろう

 

だけど、翠さんの表情は途端に曇った

 

翠「だが、あいつが軍に入った理由は、それだけじゃなかった。

あいつは、自分の父親を殺した奴を探していたんだ。

あいつの父親は17年前、赤壁の戦いに赴き、戦死したんだ。

名は趙昴。当時、魏軍の武将級だった奴だ」

 

流琉「…そっか。だから、私が呼ばれたんだ」

 

流琉さんが呟いた。その表情は、とても悲しそうだった

 

流琉「赤壁での一戦、私は将軍として前線に立ち、翠さんの部隊とぶつかっていました。

慣れない水上戦、そして蜀と呉による火刑。翠さん自身も水上戦は得意だったようには見えませんでしたが、それでも私達はかなり追い詰められていました。私は被害を鑑みて撤退を提案しましたが、翠さんの部隊が迫ってきてて…その時撤退を支援してくれたのが趙昴さんでした。趙昴さんは殿を買って出てくれたんですが、趙昴さんの部隊もほぼ壊滅的で、翠さんとぶつかれば無事では済まないとわかっていました。それでも趙昴さんは、『貴女はまだ若い。ここで死ぬべきじゃない』と言って駆け出し、翠さんの部隊とぶつかって行きました。私はそのおかげで生き延びましたが、趙昴さんは…」

 

流琉さんは苦虫を噛み潰したような顔で目を伏せる。

その様子を見た翠さんが、流琉さんの言葉に繋げるように話し始めた

 

翠「あいつは強かった。今でもよく覚えてるよ。決死の覚悟で挑んできて、かなり苦戦して、最期にあいつは笑って死んでいった。まるで、全力で生き、この世に未練は無いとでも言わんばかりに。あいつは本物の武人だった。仲間の為に戦い、仲間の為に死んだ。これほどの栄誉もないだろう。あたしは趙昴を讃えようと思い、終戦後にあいつの遺体を探したんだが、でけぇ長江の川の流れに流されたのか、見つからなかった。結構必死で探したんだけど、それでも遺留品や武器なんかも見つからなくて、それで趙昴の家族に趙昴の死を伝えるのが遅くなったんだ」

 

当時、赤壁の戦いで戦死したものは多く、その全員の生死確認、死亡報告はとても大変だったと聞く。遺体や遺留品が見つかるなんて事もほとんど稀で、遺族への通達も書面だけで伝える事が一般的だった。恐らく、友紀さんの家庭も、その書面一つだけで、遺品も何もなかったのだろう

 

そしてその数年後、趙昴さんの娘である趙月さんが翠さんの部隊に入隊した。父の死を追って…

 

凪紗「趙月さんは、翠さんが趙昴さんを殺したと知って入隊したのでしょうか?」

 

翠「いや、それはないと思う。あいつ自身、父親が誰に殺されたかなんて、知らなかったみたいでな。あいつが必死に調べてるから、あたしも手伝ってやろうと思い、真紀の父親の名前を尋ねたら……あぁ、ホント、あの時は心臓が止まりかけたな。まさかあいつの仇が、あたしだなんてな」

 

だとしたら、なんと言う因果なのだろう。

何も知らず日々を過ごし、信頼関係を築いていた相手が、まさか親の仇だなんて。

なんて、悲しい…

 

翠「聞いて後悔した。知らなきゃ良かった。そしたら何かが変わっていたかもしれない。

でも、きっといつか、あいつはあたしに辿り着いていたと思う。あいつは優秀だったから。

だからあたしも、趙昴を殺したのはあたしだと名乗り上げた」

 

きっと翠さんは、告白しようか迷ったに違いない。

だけど、良くも悪くも素直な翠さんだからこそ、隠せなかった。

後ろめたい気持ち、重圧に耐えられなかったのだろう

 

翠「真紀も、最初は信じようとはしなかった。それがちょっと嬉しかった。真紀に慕われているんだなってわかったから。だけど、あたしが赤壁の記録を見せると、あいつはただ呆然と立ち尽くし、そしてしばらく部屋に引きこもった。心配だった。あいつの事が…それに、これで関係が壊れるんじゃないかと思っちまったあたし自信も、とんでもなく怖かった。そして、その予感が当たるかのように、ある日真紀に呼ばれたんだ。一騎討ちをして欲しいと。あたしはそれに応じた。あたしも不器用だったから、話し合いなんて出来ないし、こうする事でしか語れないと思っていた。だが、その一騎討ちをする事はなかった。真紀と対峙した瞬間、五胡が攻めてきたと報告が入ったからだ。その当時、あたしは五胡との国境線沿いを守備していたから、一騎討ちを取りやめて五胡の迎撃に出たんだ。真紀も付いてきてくれたが、あいつは迷っていて、それが仇であいつは不覚をとって…」

 

翠さんはポロポロと涙を流していた。その姿は、武将とは思えないほど脆く、後悔に満ちていた

 

翠「真紀が死んだのは、あたしのせいなんだ…あたしがあの時、真紀を下がらせていたら…あの時、もっと早くあいつに打ち明けていたら…あたしが馬鹿だったから、あいつは死んじまったんだ…だから、あいつの死の責任は、全部あたしにある…」

 

凪紗「でも、実際に殺したのは、翠さんじゃないんですよね?それなら…」

 

友紀さんもわかってくれる。そう言おうとしたところで、翠さんがそれを止めた

 

翠「いや違う。戦場での死の責任は、全て将にある。将の命令一つで、兵を生かすも殺す事も出来るんだから…」

 

いつだったか、兄さんも言っていた。

『将は兵の命を預かっている立場のものだから、その生の責任は全て将にある』

確かに、上に立つものは、下のものを生還させるのが務めだとは思うが、その全てを一人で受け止めなくても…

 

流琉「それなら、なんで友紀ちゃんは、私のところには来なかったのかな。

私にだって、責任はあるはずなのに…」

 

零士「それはきっと、事実を知った順番と、彼女が名を変えていた事にあるんだろう。多分友紀ちゃんは、先に翠ちゃんの部隊にいた趙月って子の事を知った。その後に、赤壁の記録を見て父親の事も知った。さらに友紀ちゃんは、翠ちゃんや流琉ちゃんに気付かれないように、趙姓を捨て王異を名乗っていた。家族の復讐するをする為に。ずっと王異としてこの街で生きてきて、いきなり流琉ちゃんに趙昴の事を聞いたら、そこで全て悟られる可能性がある。だから、友紀ちゃんは誰にも言えなかったんじゃないかな」

 

父さんの言葉に、流琉さんは黙ってしまった。

友紀さんは、名を隠してまで復讐しようとしていた。

想像以上に、友紀さんの闇は深いのかもしれない

 

流琉「でも、零士さんはなんで名を偽ってるって思ったんですか?」

 

零士「翠ちゃんが、姓が違ったと言っていただろ?

確かにもう一人、趙月の下に妹がいるのは知っていたんだ。趙英っていう子がね」

 

翠「そう、そうだ!確かに真紀は、妹の事を趙英と呼んでいた。

だからあたしも、王異が趙英なのか、わからなかったんだ」

 

だとしたら、友紀さんの思惑通りなのだろう。

名を隠す事で、相手に取り繕う事が出来たのだから

 

零士「趙昴、趙月、そして王異と趙英……なるほど、こうして聞くと、この世界でも因縁というのはあるみたいだね。問題は、友紀ちゃんが翠ちゃんを殺して、その先に何があるかだ」

 

流琉「何がって、復讐の先にまだ何か目的が?」

 

零士「わからない。だけど友紀ちゃんは、翠ちゃんを殺せば家族が帰って来ると言っていた」

 

家族が帰ってくる?亡くなった人達が?

 

凪紗「そんな、ありえない」

 

零士「あぁ、僕もそう思うよ。だけど、友紀ちゃんは本気だった。それに、彼女が協力しているだろう徐福と言うのも気になる。もしかしたら、徐福は本物なのかもしれない」

 

流琉「そんな!400年以上も前の人ですよ?」

 

零士「普通ならありえないね。だけどこの世界では、ありえないと言う事がありえない。

それは流琉ちゃんも今まで見てきただろ?」

 

まさか、魔術や魔法が絡んでいる?

 

零士「どうもこの件、僕も見過ごせそうになくなってきたな。凪紗ちゃん、秋蘭と凪にも、今回の件をよく伝えておいてくれ。様々な、馬鹿げた可能性も含めてね」

 

父さんの目はとても真剣だった。私は父さんの言葉に頷き、そして城へと向かう事にした

 

 

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凪紗「失礼します!」

 

私は城に戻り、秋蘭さんの執務室の扉の前に立つ。程なくして、中にいた秋菜姉さんが扉を開けてくれた

 

中には母さん、秋蘭さん、秋菜姉さん、霞さん、そして何故か沙和さんも居た

 

凪「凪紗か、馬超将軍の容態は?」

 

凪紗「は!そちらは問題ないと思われます。ただ、何件か報告が…」

 

私は先ほど話していた内容をこの場にいる人達にも話し始める

 

友紀さんの目的

 

友紀さんと翠さんの関係

 

そして徐福…

 

秋蘭「その話が本当だとしたら、頭の痛くなる内容だな」

 

霞「ま、普通なら信じへんわな。せやけど、ウチらはそれを信じてしまうだけの事を見てきてるでなぁ」

 

凪「ですね。零士さんの話を信じるなら、相手は化け物です。用心に越したことはないでしょう」

 

三人が三人とも、徐福の件を笑うどころか、とても真剣に考えていた。

やはり、父さんと言う存在が、それを信じさせる要因でもあるのだろう

 

秋蘭「一度、華琳様にも直接話さなければならないな。

孫呉の件も含めて、本格的に話し合った方が良いだろう。

可能であれば、五胡の代表にも話しておきたいな。

こちらとしては和平を望んでいるし、出来る限り友好的に接しておきたい」

 

沙和「なら、その役目沙和が引き受けるのー!

ちょうど五胡にも行く予定だったし、ついでに済ませておくの!」

 

沙和さんが元気よく応えてくれた。こういう時、外交に携わっている沙和さんの存在は心強い

 

秋菜「では、ついでに友紀も、探しておいてくれますか?

あいつ、と言うより徐福の狙いがわからない以上、国内外問わず探した方が良いと思うので」

 

沙和「それはいいけど、多分沙和だと友紀ちゃんには勝てないよ?」

 

なんの悪びれもなく言う沙和さんに、母さんがため息を吐いていた。

母さんと沙和さんは同期なのだから、それなりに強いはずなのに

 

凪「見つけたと、報告だけでいい。いや、可能であれば捕獲したいが…」

 

沙和「あー、ムリムリ!沙和はもうそんな無茶できる感じじゃないから」

 

凪「沙和…」

 

さらにため息が大きくなった

 

秋蘭「じゃあ沙和、頼むぞ。代表への手紙を北郷に依頼するから、それまで寛いでいてくれ」

 

沙和「了解なのー!」

 

 

 

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それからも少し話し合い、程なくして解散となった。

その後、私は隊舎へと戻り、混乱する部隊員に状況の説明をしつつ、一通り雑務をこなしていった

 

霰さんのおかげで、部隊員のほとんどは落ち着いていたが、やはり友紀さんの部隊にいた3番隊は精神的にショックだったらしく、仕事に集中していなかった

 

そして勤務終了後、私は家に帰り、ある事を考えていた。

それは、今の自分の実力について…

 

今の自分では、とてもじゃないが友紀さんに届かない。

友紀さんに指摘されたように、自分は『未来予測』に頼り過ぎていた節がある。

それを活用しない手はないが、もっと肉体的にも強くならなければいけない

 

だからこそ私は…

 

凪紗「父さん、母さん達、そして姉さん達…」

 

私は【晋】に帰り、家族みんなが揃っている事を確かめ、口を開いた。

家族のみんなは私を見ている。とても優しく、それでいて真剣な目で

 

凪紗「私に、稽古をつけてください!」

 

強くなる。今度こそ、友紀さんを止める為に…

 

 

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あとがき

 

 

 

こんにちは!

 

いつの間にか投稿し始めて1年経ってたり、お気に入り件数200突破していて驚いている桐生キラです!

 

皆さんの応援があってここまで続けられたんだと思います。本当にありがとうございます!

 

 

 

さて、今回は凪の娘こと凪紗ちゃんと、王異こと友紀のメイン回でした。

 

この話にヒーローサイドとダークサイドがあるとしたら、凪紗がヒーローサイド、友紀がダークサイドというくくりになります。

 

今回の試みとしては、敵側で主人公勢を描くという事です。

 

王異視点で翠、凪紗、凪、零士と戦い、どんな風に見えているのかを書いてみました。特に零士なんて、戦う側としてはどんな感じに見えているのか、どんな風に思われているのかを描いているので、個人的には結構楽しかったです。

 

 

 

王異の過去についてざっくり纏めると…

1.父親である趙昂を翠に殺されている。

2.姉である趙月が翠の部隊に所属し、殉職している。

3.許昌までの道のり、王異の母親が病で亡くなる。

4.趙英の名を捨て、母親の姓を借り、王異を名乗る。

と言う感じです。戦争ものではありがちな展開ながらも、恋姫ではあまりそういう話にならないなぁと思い、書いてみたいと思った話になります。唯一、翠が親を殺された時、華琳に復讐しようとはしていましたが、翠は復讐に縁があるようですね(笑)

 

王異がどのようにして徐福と関わったのか、目的は何なのか、今後の王異の展開にご期待です(笑)

 

 

 

さて、次回は日常編を数話挟みその後は多分シリアスが続くと思います。

 

展開は頭の中にあるのに、それを書く時間が取れないここ最近、どうしても更新が遅くなるのが難点なんですが、諦めずに書き続けたいと思っております。

 

今後とも、お付き合いの程よろしくお願いします。

それでは!

 

 

 

説明
こんにちは!
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コメント
咲希についてはラスト辺りで派手になります(笑)(桐生キラ)
おっと、久々の修正、ありがとうございます(桐生キラ)
王異の物語が進んで行く感じですか。楽しみです。しかし咲希が妙に影が薄い気が……(ohatiyo)
あたしが馬鹿だったから、あたしは死んじまったんだ→翠は死んでない。「あたし」じゃなくて「あいつ」かな?(ohatiyo)
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