真・恋姫無双 別たれし御遣い 第二十六話
[全4ページ]
-1ページ-

〜一刀視点〜

鶴翼の陣で関羽軍を取り囲んだ呉軍は、蓮華の号令で鶴翼の翼を閉じ始めた

関羽軍は完全に包囲され、城への退路も閉ざされている

取れる道は一点突破しかないが、統率が乱れてそれも無理だろう

兵にしてみれば、勢い勇んで出撃したら敵は準備万端待ち構えていた

不味いと感じて撤退しようと思ったら、城門が閉じられて逃げ道が無くなった

これで平静でいろと云うが無理な話だ

 

呉軍の攻勢が始まり、関羽軍はその数を減らして行く

俺も部隊の指揮を執りながら、敵を倒していく

だが、一つだけ誤算があった

関羽軍が此方の予想よりしぶとい

双方の兵の力は大差無い

しかし、関羽軍は統制が取れていないので圧倒的に呉軍が有利だ

この関羽軍のしぶとさの原因は『窮鼠猫を噛む』

完全に追い詰められた故の、必死の抵抗に呉軍も被害が出る

だが、ここまで来たら力押しで勝負を決するしか無い

まだ呉軍が有利なので、力押しで勝てる筈なのだから

 

そんな中、俺は関羽を探していた

総大将の関羽を倒せば終わりだ

だが、敵の最高戦力で有る事は疑う余地も無い

慎重に包囲殲滅しなくては

その姿を見つけた時、関羽は前方に明らかに無理な突撃を敢行していた

何故? その先に何が有る?

その方向を見た時、驚いた と同時に疑問が氷解した

その方向では蓮華が戦っていた

中央の蓮華の部隊の前には防波堤の為、粋怜さんの部隊を配置していた

だが、蓮華が前線にまで進んで来ていた

関羽は総大将の蓮華を討つ事で戦況を逆転させる気だ

これは不味い!

-2ページ-

〜蓮華視点〜

鶴翼の陣で敵を包囲 後は殲滅するのみ

私は総大将として、後方から指揮を執る

氷雨と静里にはそう言われていた

だが、総大将が後ろで高みの見物をしていて良いのだろうか?

姉様は最前線に出て、味方の兵を鼓舞していた

それを諌めた事もあるが、姉様が戦っていたにも拘らず私は後方で指揮だけしている

これでは、兵は不信感を抱くのではないか

そう考えていたら、戦場に突撃していた

 

「蓮華様、御下がりください!」

粋怜の声が聞こえるが、無視する

私が戦う事で、将兵を鼓舞するのだ そう信じて

それに、私もそれなりに武を研鑽して来た

一般兵に不覚を取る事など無い!

一人、また一人と敵を倒していく

私にも出来るんだ!

しかし、

「孫権 覚悟ー!」

猛烈な勢いで、関羽が突っ込んで来た

完全に不意を突かれて、反応が遅れた

この攻撃は防げない

自らの浅はかな行動を後悔したが、もう遅い

私は死を覚悟した

その時、横から飛びついて来た何者かと共に、横に地面を滑っていた

関羽の攻撃は私に当たらなかった

 

〜一刀視点〜

「孫権 覚悟ー!」

関羽が孫権に斬りかかる寸前、俺は孫権に飛びついていた

背中に斬られた痛みが有るが、斬撃から孫権を守れた筈だ

 

「孫権 無事か!?」

「あ、ああ、助かった」

どうやら、無事なようだ

孫権に背中を向けて、関羽と向き合う

「孫権、何故こんな前線まで出て来た」

「それは姉様を見習って・・・」

「あれは悪い見本だ!」

蓮華を叱りつけるが、それは此処まで

此方の問題に対処しなければ

俺は正面の関羽を見据える

-3ページ-

「貴様は北郷一刀!」

関羽は恐ろしげな形相で、睨んでいる

まあ、あれだけ挑発したからな

「貴様だけは此処で斬る!

 だが、部隊は逃げさせて貰う

 貴様の指揮していた部隊の所からな」

関羽は部隊に一点突破の指示を出した

その方向は、俺の指揮していた部隊の方向

指揮する者がいない方向が弱いと判断したのだろう

だが

「一君がいないから、私が指揮を代行するよ!」

後方の敵を殲滅した鞘姉が、部隊を引き連れてやってきていた

更に、そのまま指揮を引き継いでくれた

「これで部隊も逃げられないな」

俺の言葉に関羽は

「おのれ、おのれ、おのれ〜

 どこまでも私を〜〜〜〜!!!」

関羽は逆上して攻撃して来た

その攻撃はおそらく関羽の最高の破壊力を持っていただろう

だが、その攻撃を抜刀術で弾く

いくら力が有っても、打点がづれた所に打たれては弾かれる

無防備になった関羽に、上段回し蹴りを叩き込む

振らついた関羽に背中合わせからの襟首を掴んでの背負い投げ

後頭部から地面に叩きつけ、止めとばかりに鳩尾に正拳突きを決める

関羽は息をしているようだが、完全に失神していた

傍から見ると、俺が関羽に圧勝したようにも見える

しかし、俺と関羽の武力を比べた場合、差は殆どない

寧ろ関羽の方が僅かに優っている

ましてや俺は負傷している

しかし、平静さを失えばその力を充分に発揮出来ない

関羽の敗因は、俺の挑発で平静さを失った未熟な精神

それだけだ

 

関羽が倒された事で敵は最後の士気も挫かれた

襄陽の戦いは呉の勝利で終わった

-4ページ-

〜あとがき〜

 

襄陽の戦いが終わりました

 

蓮華の未熟な部分が出ました

蓮華は呉ルートでも雪蓮に劣等感を持っているような描写が有りました

その結果の行動です

これを糧に成長するでしょう

 

一刀と愛紗の一騎討ちですが、これは難しかったです

一応フォローは入れましたが、愛紗が弱すぎに見えてしまします

愛紗を貶める気は無いのですが・・・

愛紗ファンの方には申し訳ありません

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
襄陽攻略戦B
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3243 2775 15
コメント
蓮華ちゃん今後そういう行動はやめて!冥琳が心労と過労で倒れちゃうから!w(スネーク)
これは・・・真名預けフラグのための伏線と見た!後説教フラグと鞘ちゃんからのお仕置きフラグ。結果一刀の惚れる結果に収まる感じがします(ユウヤ)
勝ち戦が蓮華の行動で危なかったな〜蓮華ももっと成長しないとだな^^;(nao)
同じ「王」でも、雪蓮は「軍人」なんです。 対して蓮華は「政治家」なんです。(M.N.F.)
あーあ、やっぱりやらかした。何度となく語られていることですが、蓮華は戦に向いていない。姉への憧れが強すぎて、姉ばかりか自分の事すら理解出来ていない。だから姉の想いも届かない。全てを教えては何の成長にもならないから、雪蓮は年長者としての務めを果たしているだけ。これは後継者問題で揉めるね。(Jack Tlam)
……今回、明らかに勝てる戦を危うくした上に後継者として他に小蓮もいる以上、いくら雪蓮が蓮華を後継者に指名したとしても豪族達がそれを認めないでしょうね。真田攻め云々以前に合流を急ぐよう指示した家康の伝令が天候不順で遅れた為に天下分け目の大戦に間に合わなかった秀忠よりもよっぽど性質の悪い失態ですから。(h995)
寧ろ、あんな「傍迷惑製造マシーン」(と書いて『雪蓮』と読む)の事を見習う『その尻は、俺の嫁!?』(と書いて、『蓮華』と読む)の正気を疑うよ。 お前まであんなの同じになったら「冥琳」の胃がマッハでoutで『孫呉・ME・TU・BO・U』だぞ?(劉邦柾棟)
蓮華は雪蓮にはなれない、でも蓮華の方が優れている部分もいっぱいある。そういう事を蓮華には認識してほしいですね。(mokiti1976-2010)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 北郷鞘華 蓮華 

ZSANさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com