真・恋姫無双 別たれし御遣い 第二十七話
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〜一刀視点〜

「いたた、もう少し優しくやってよ 鞘姉」

「我慢しなさい、男でしょ」

俺は今、鞘姉に背中の傷の手当てをして貰っている

蓮華を庇って、関羽から受けた傷はそれなりに深かった

それ以上に、大きかった

関羽と戦っている時は、アドレナリンの作用の所為かは知らないが、痛みを感じていなかった

だが一騎打ちが終わり、少し気が抜けた時の痛みは筆舌に尽くしがたかった

戦闘が本格的に終結するまでは、なんとか我慢していたのだが、結果として手当てが遅れた

その為、戦闘がほぼ終わり鞘姉が俺の所にやって来た時、俺はフラフラだった

痛みに耐えるのはそれだけで体力を使う

更に、それなりに出血も有った

「一君、その傷・・・

 直ぐに手当てしないと!」

血相を変えた鞘姉が治療に必要な包帯などを、衛生兵から受け取る(と云うより、ひったくる)

で、今、鞘姉に応急手当てを受けている

 

孫権は当初、俺の心配ばかりしていたが、今は戦後処理の指揮を執っている

「先ず、総大将としての責務を果たすんだ

 私的な事は、後回しにして、な」

俺の言葉に孫権は

「後で話がしたい

 だが今はお前の言う事に従おう」

そう言って今に至る

 

因みに、古流武術を習っていた俺や鞘姉は怪我の応急手当は慣れている

武術を習う過程で怪我は付き物

その治療を師である父が行っているのを見て、覚えた

下手な体育教師より、その辺は上手い

だから、俺の応急手当は鞘姉が行っている

ただ、少々不機嫌な鞘姉の治療が粗っぽい

孫権が此方を度々、窺っている

静里と氷雨が睨んでいる

と、色々と精神的な問題は有った

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〜鞘華視点〜

「で、蓮華様 此度の件の説明をお願いします!」

「そうです、私と静里が立てた策を無視した理由を!」

「策を無視して、一刀さんが傷ついたんですよ!」

「一君が傷ついた件はについては私も聞きたいわ!」

謁見の間で、蓮華の尋問大会が行われていた

検事・・・粋怜さん、氷雨、静里、私

傍聴人・・明命、思春

弁護人・・無し

被告人・・蓮華

裁判に例えると、こんな感じだ

一君は部屋で休んでいる

思春と明命が弁護側に就かない理由は

「これを独力で乗り越えて、成長してください」

と、理由を思春が述べていた 

「逃げたな」

それが、検事側の見解だった

 

ただ、検事の四人の怒りの理由は微妙に違う

原因は蓮華の暴走だが、粋怜さんはその行動その物に

氷雨は策を無視された事に

静里は策を無視された事と、一君が傷ついた事に

私は単純に一君が傷ついた事に

蓮華は

「私の未熟さが招いた暴走の結果だ

 言い訳の余地すら無い」

と言って、それ以上何も言わない

その為、解散となった

 

それぞれが部屋に戻り、私も部屋に戻る が途中で引き返した

謁見の間には蓮華一人になっていた

「蓮華」

「うん?鞘華か」

「取り敢えず、一君に謝ってきたら

 貴女を守って、怪我したんだから」

「ああ、そうだな」

そう言って、蓮華は一君の部屋に向かう

「こりゃ、重症ね」

本来、総大将は将が傷ついたとしても、謝る必要は無い

例えそれが総大将の判断ミスだとしてもだ

そんな事の判断もつかない状態に蓮華はなっている

「恋敵をわざわざ増やすなんて・・・

 私、何やってんだろ」

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〜一刀視点〜

「一刀、私だ

 入ってもいいか?」

「どうぞ」

孫権が部屋に入って来た

寝台の横にある椅子に座って

「今回は済まなかった

 私の所為で・・・」

「俺は死んでないし、後遺症も無いだろう

 だから、気に病む必要は無いよ」

孫権に努めて明るい口調で話した

「そう言ってくれると、少しは救われる」

少し楽になったような表情を浮かべた

「ところで訊きたい事が有る

 あの時姉様の事を”悪い見本だ”と言ったが何故だ?

 姉様は孫呉をしっかりと纏めている

 政務をさぼる事を除けば悪い見本と云う事は無いと思う」

その問いは答えられるが、全ては答えられない

蓮華の成長の為に

「その答えは、自分と雪蓮を見比べると良い

意外と簡単な理由だよ」

「それは、一体・・・」

「それ以上は自分で考えた方が良いよ」

そう俺が言うと、孫権は俯いてまるで捨てられた子犬の様だ

可愛い娘のこう云う態度は反則だ

孫権の頭を撫でて

「一つ言える事は、孫呉の仲間は蓮華が雪蓮に劣っているとは思っていない

 無論、俺もね」

俺が微笑みながらそう言うと、孫権は真っ赤になった

あれ?変な事言ったかな?

「うん、考えてみる

 私の真名は蓮華 これからはそう呼んで

 一刀には真名で呼んで欲しいから」

「分かったよ 蓮華」

「じゃあ、おやすみなさい」

蓮華は部屋から出て行った

些細な事だろうが、蓮華の今の言葉遣いがいつもと違うような気がした

 

その時部屋の外で中を伺う複数の人影が有った

その人影は

「やっぱり落としたか」

そう呟いていた

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〜あとがき〜

 

今回は蓮華の話でした

やっと真名を預けました

これから一刀争奪戦に参加するでしょう

蓮華も嫉妬深い所が有りますから、どうなるか

 

愛紗や雛里については、次話に

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
襄陽の攻略後
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コメント
「一つ言える事は、孫呉の仲間は蓮華が雪蓮に劣っているとは思っていない」→真名を預けられる前に言ってますよ。(TOUMA)
蓮華が自分の特質に気付けないうちは、孫家の家督を譲るべきじゃないですね。天然誑しというか、一刀って誰に対しても誠実に応対しているだけなんですけどね。軟派な台詞も確かにあるけど、その誠実さが惚れられる一つの理由だとは思います。そして、依存度高い=嫉妬深い、の図式が鉄板です。若いって良いですねェ……(意味深)(Jack Tlam)
一刀の女性撃墜数増加待ったなしですな。(daitetu)
やっぱり落としたか、って言ってもね〜。一刀の天然誑しは誰にも止められないから、諦めるしかないかと思うよ。一応「正妻」の鞘華さん?(西湘カモメ)
やっぱり落としたね〜なんか嫉妬深い子ばっかに惚れられてる気が^^;(nao)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 北郷鞘華 蓮華 

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