おにむす!M
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放たれた弾丸はバグの耳をかすめて、壁に埋る。

バグは耳元を掠めた弾丸の衝撃で気絶した。

矢崎の腕にアリスが飛びつき、銃口を逸らしていた。

「何、考えてんだよこのバカが!!!」

「邪魔するな」

アリスを振りほどこうと腕を引く。

「あんたは娘の前で殺しをする気か!?それこそ奴と変わんねぇよ!!」

その言葉を受けて、矢崎は秋穂を視線に入れる。

壁に背を預け、耳を塞ぎ、目を閉じ、目の前の現実から必死に目を逸らしていた。

そのひどく痛々しい様子に矢崎の熱が引いていく。

「あ・・きほ」

途端、心臓が締め付けられるような感覚が矢崎を襲った。

「ぐ・・あぁ、くっ!」

「お、おい!?」

(お前は・・・まだ、俺を縛るのか?いや、縛ってるのは俺のほうか・・・)

矢崎の意識はゆっくりと闇に沈んでいった。

「ったく、世話が焼けるよ・・・」

アリスは矢崎を肩に担いで、アリスの手を引いた。

「どこに行くの?」

未だ泣きそうな顔で秋穂が尋ねる。

「とりあえず、ここよりはいい場所だよ」

 

 

 

「矢崎は生来心臓に障害がありました。本人は症状が出るまで気づいてなかったようですが」

双波は書類を捲りながら言葉を続ける。

「19歳の冬、仕事中に症状が発症。依頼内容は簡単な護衛、対象の名前が小向秋穂」

「秋穂?」

双波は男の反応にうなずく。

「この秋穂嬢と矢崎は恋仲でもあったようで、矢崎の発症後甲斐甲斐しく看病、終いには自身の心臓を矢崎に移植しています」

「相変わらず大した情報網だな」

男は満足げに双波を褒める。

「いえ、御堂財閥の力があればこそです、御堂伸人様」

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