真・恋姫無双 覇王伝 第三十五話
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〜鞘華視点〜

「鞘華様 宛よりの報告が届きました」

「直ぐに此処へ!」

宛からと云う事は待ちに待った一君からの報告だ

浮き立つ心を抑えつつその報告書を開く

まず最初は西涼の軍勢との戦闘が有ったが勝利し、宛を占拠 つまり南陽を手中に入れたに等しい

それを周りにいた皆に伝えると歓声が上がった

だがそれに続く報告は深刻な問題だった

一つ目は疾風さんの戦死 戦で有るからには覚悟が必要とは云えやはり辛い物がある

そしてもう一つは一君が負傷 しかもその傷が元で発熱し、暫く安静にしなければならない

その為大幅な人員の編成変更を要請して来た

一君の負傷について巴ちゃん、蓮華、美羽は沈痛な表情をしている

おそらく私も表情は優れないだろう 雪蓮は平静を装っていたが

 

「静里の要請に従って大幅に人員を動かすわよ!」

心を無理やり押さえつけ皆に告げる

そして検討の結果

私、真桜、蓮華、思春、七乃が宛へ

向こうに着き次第、祭さんを此方に戻すことになった

宛に行く面子の内、私は一君が療養中の『天の御遣い』として 巴ちゃんは自分が行くと主張したが私達が宛を占拠した事を快く思わない漢、曹操等が動く事を考え、戦が出来る私が行く事になった

真桜は宛で絡繰りを使った防衛機構の確立の為

蓮華は文武にバランスが良いので宛へ 思春は蓮華が行くならと譲らなかった

七乃は完全な内政要員として

雪蓮も行きたかったようだが、揚州に睨みを効かすには孫家の長が居た方が良いので却下

建業の武官が減りすぎるので蔡さんは建業に帰還させる事になった

華佗も連れて行きたかったが旅に出てしまい、現在は行方不明だ

 

「では、直ぐに動くわ」

私達は行動を開始した

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〜洛陽にて〜

「何と云う事だ」

「どうする このままでは遠からず洛陽に攻め入って来るやも知れんぞ」

「しかし洛陽の禁軍だけでは・・・」

「ならばどうする!」

宦官達は北郷軍が宛を占拠した事に狼狽していた そこに

「私に考えが御座います」

そう言ったのは李儒だった

「なんじゃ もったいぶらずに早く申せ!」

「はい 先ず禁軍の内2万を宛に出陣させます

 更に曹操と劉表に宛に居る北郷討伐の勅命を発するのです

 曹操は野心家なればこそ北郷の宛占拠は望まぬでしょう

 劉表も劉姓を名乗る以上、漢王朝の危機を見過ごす事は出来ぬと考えます」

李儒の考えに

「曹操と劉表に北郷討伐を命ずるのは良いが禁軍を出す必要はあるまい」

「しかし禁軍を出さねば宛は曹操が占拠する事になります

 野心家の曹操が宛を占拠すれば狼が虎に代わるだけです」

宦官の言を李儒は一蹴する

「曹操と劉表が本当に動くか?」

「しかし代案が有るまい!」

宦官達は不承不承ながら李儒の策を採用した

(これで良いのですね 曹操殿

 後は御意のままに)

李儒は誰にも聞こえぬ声でそう呟いた

 

〜曹操陣営にて〜

「李儒からの報せで漢王朝が宛を占拠した北郷討伐の勅命を出すそうです

 近日中に使者がやって来るでしょう」

華琳はその報せを聞いて

「稟の予定通りね そして私達はそれに従い5万の軍を出す

 それで良いのね」

華琳の言葉に稟が

「はい 但しその兵は新兵で構成された未熟な軍

 今回の戦は負けるでしょうが新兵の調練になります

 禁軍を消耗させれば今後の舵取りも容易になります

 更に北郷軍も痛手を受けるとなればこれが最善手と思われます」

華琳は稟の答えに満足した

「まあ、今回の戦に精兵をつぎ込んでも相手が籠城戦を選ぶのは確実

 勝っても損害が大きいものね」

華琳は禁軍、北郷軍の消耗と新兵の調練を纏めて行う策を取った

その策の為に李儒を抱き込み、宦官の意見を誘導したのだった

「華琳様〜 それだけで無く北郷軍の騎馬隊『鳳凰』の偵察も兼ねないと

 隊員を一人でも捕縛できれば最善なんですが〜」

風がのんびりとした口調で補足した

「ふふふ、そうね風」

華琳は微笑みながら

(さあ、北郷夫妻 私を止められるかしら)

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〜桃香陣営にて〜

「桃香様 北郷軍が宛を占拠したようです」

劉表軍と睨み合いを余儀なくされた桃香陣営にとって、北郷軍が宛を占拠した事は脅威だった

このままでは自分達は曹操、北郷に大きく後れを取る事になる

しかし自分達は領土を接していない為、直接関与が出来ない

ならばどうするか 軍師の朱里が

「桃香様 今の劉表との睨み合いは北郷軍の二虎競食の計です

 これを崩す為に劉表に書状を出しましょう

 それで劉表に我等を気にせず、漢と連携して北郷軍を攻撃するように誘導するのです

 書状の内容は・・・」

それを聞いた愛紗が

「その使者は私が行きます

 北郷軍と戦って私の決意を示す為にも!」

そうして愛紗を劉表への使者として送った その書状の内容は

「劉表殿が漢の逆賊北郷一刀を宛から追放する為に出兵するのであればその間、我等は荊州に侵攻する事はない

 この約定は君主である劉備玄徳の真名『桃香』に誓って順守する

 また出兵の際には此方の関羽を同行させて頂きたい」

 

愛紗が劉表の元に到着した直後に漢からの使者がやって来た

劉表は関羽を劉埼の副将として3万の軍勢を出陣させた

 

〜西涼軍にて〜

翠を見限り撤退する西涼連合はその帰路半ばにして反転をして、再び南陽を目指していた

何故か

「北郷一刀 北郷鞘華 今度こそ!」

「部族長の全てを洗脳するのにほぼ全ての力を使ったので白装束一体も出せませんよ」

「必要ない!」

あの二人が暗躍していた

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〜鞘華視点〜

私達が宛に到着すると静里が出迎えてくれた

「お待ちしておりました」

挨拶もそこそこに

「一君の容態はどうなの?!」

「そうよ 一刀は無事なの?!」

私と蓮華が詰め寄ると

「医師の話では安静にしていれば大丈夫だろうと」

この言葉にほっとした

「会える?」

「今は眠っておられますが・・・」

「それでも良いわ」

静里に案内されて私と蓮華は一君の部屋に向かう

部屋に入ると一君は眠っていた

だが汗を酷く掻いて苦しそうだった

その汗を拭こうと手を伸ばそうとしたが、その手を静里に掴まれた

静里は私を正面から見据えて

「鞘華さん 私は一刀さんを愛しています

 一刀さんだけは譲れません!」

ライバル宣言だった

「私もよ!

 一刀だけは譲れないわ!」

蓮華までもが宣言して来た

「私は一君を愛してる

 誰よりも愛してる だから誰にも負けない!」

私も宣言する

三人で睨み合っていたら、その空気の所為か一君が目を覚ました

そこへ

「はいはい〜、通して下さいよ〜

 一刀さん お食事をお持ちしました〜」

七乃が一君に食事を持って来た

「ありがとう」

七乃の給仕で食事をする一君をみて

「七乃に出し抜かれたーー!!」

私、静里、蓮華は心の底から叫びたかった

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〜あとがき〜

 

華琳の策で漢、桃香が行動を起こしました

それと時を同じくしてあの二人も・・・ また小物臭くなるのかなあ・・・

 

一刀争奪戦で七乃が作戦によりポイント奪取

直情型のヒロイン達にとって七乃は天敵です

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
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コメント
聖龍>これで職務に真面目ならいう事ない人材なんですけどね。(ZSAN)
さすが、恋姫一の悪巧みが出来る女性(だから、一人で陣営の切り盛りが出来る訳だ)(聖龍)
ナック様>女の戦いは周りの状況を省みませんから。(ZSAN)
目の前の病人シカトして睨み合って出し抜かれて……ダメじゃん。(ナック)
mokiti1976-2010様>翠の率いた部隊以外の西涼連合です。翠は前回のあとがきで書いたように『あの陣営』に向かっています。(ZSAN)
未奈兎様>確かに呑気な物ですね。(ZSAN)
nao様>いえ、あの二人が取り込んだのは『翠を見限った西涼連合』で翠は加わっていません。(ZSAN)
睦月様>七乃は策略家ですから。(ZSAN)
まさか翠があの二人とねぇ…彼女も洗脳されたのか?(mokiti1976-2010)
各地で暗躍してるのに事の中心は看病で争ってるという何とも言えない空気(未奈兎)
翠があの二人の力を借りてまで復讐に走るとは思わなかった^^;(nao)
七乃良いとこ取したなぁ〜w(睦月)
タグ
真・恋姫無双 北郷鞘華 七乃 

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