真・恋姫無双 〜For your Heart〜 第2話
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何故このような状況になってしまったのだろうか…。

 

周りには数千の賊に囲まれている。

 

それに対してこちらは怪我人を除いた50の騎馬と

 

傷だらけの少女を抱えたままの氷刃が一人だけだった―――。

 

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「ねぇ、あんた真名まで知らないなんていわないでしょうね…」

 

「何それ?」

 

氷刃は首を傾げる。

 

「はぁ〜、字を知らないっていうからまさかと思ったけど、あんたは一体なんなのよ」

 

今日何度目かわからない溜め息をつく。

 

「とにかく、相手が許すまでは呼ぶことを許されない名前があることを

 覚えておきなさい」

 

「了解しました!」

 

氷刃は馬に跨ったまま、賈?に向かって敬礼をして茶化したような返事をする。

 

「ていうか、あんたはどうしてそこにいるわけ?」

 

氷刃は現在、賈?の隣を馬に乗って歩いている。

 

本来、氷刃は縄で縛りつけ兵に縄を持たせて歩かせていたのだが

 

いつのまにか、氷刃は自分を縛っていた縄を解いたのだ。

 

だが、普通の賊の類ならば縄を解いたなら逃げ出すのだが

 

氷刃は一切そんな素振りを見せなかった。

 

しかも、あろうことか何やら兵士に話し掛けいつのまにか

 

打ち解けあい、今では談笑すらしている。

 

ほかにも、服に付いた血を洗いたいなど言って、近くの小川で

 

服を洗ったりと捕まったにも関わらず自由奔放に行動していた。

 

実際この男は今の現状を理解しているのかとボクは疑問に思った。

 

「その馬に乗ってた兵士がいたはずだけど、そいつはどうしたの?」

 

氷刃はああ、と頷く素振りを見せると自分の後ろを指さした。

 

振り向けば、そこにはぐったりとした兵士が一人、ほかの兵の後ろに乗っていた。

 

「具合が悪そうだったからちょっと寝てもらった!」

 

氷刃は胸を張って言うが、兵士の顔を見ると横に顔を振っていた。

 

「へぇ〜、具合が悪そうだったから、寝てもらった…。

 それじゃあ、どうやってあなたはその兵を寝かしてあげたのかしら?」

 

賈?の額には青筋が浮かび上がっていた。

 

だが氷刃はそんなこともおかましなしに言う。

 

「首の根元をちょっと叩いてあげただけだよ」

 

その言葉を聞いた瞬間、何かがプツンと弾ける。

 

「全然違うじゃないの、無理やり寝かしただけでしょ!」

 

これで、今日氷刃に対して怒ったのは何度目なのだろうか…。

 

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ここにくるまで、氷刃にいろいろな質問をしてきた。

 

今まで住んでた場所はと聞くと、

 

東京やら日本やら聞きなれない名前を言ってきたが

 

それがなんとなく嘘ではないことがわかった。

 

だが、そこで何をしていたのかと問うと

 

はぐらかすように話をそらし

 

あまつさえ軍師である、このボクを茶化してくるのだ。

 

だが、こんな風にしていると不思議と氷刃は悪いやつではない気がしてきたのだ。

 

「ねぇ、あんた一体何者なのよ?」

 

「ん〜、そんなこと聞かれても俺は自分のことをちょっと変わった人?

 としか言えないな」

 

「なんで、そこは疑問形なのよ…」

 

このように時間を過ごしているうちに途中、休憩を入れようとしていた邑が見えてきたのだが

 

その村が見えた瞬間、氷刃は馬を走らせたのだ。

 

ボクは、今までの行動はこのためのものだったのかと思ったがこの考えはすぐに

打ち砕かれた。

 

僕は兵達に氷刃を追うように指示を出しボク自身も追いかけた。

 

邑の入り口で氷刃は佇んでいた。

 

このとき、さっきまでの氷刃とは違いふざけた感じは一切消えていた。

 

そして、その理由もすぐに明らかになった。

 

邑が賊に襲われていたのだ。

 

「なんなんだよこれは…」

 

氷刃がゆっくりと口を開く。

 

そこには先ほどまでの余裕がなくなっていた。

 

「何って賊じゃないの!ええい、騎馬隊は2人1組になり賊を各個撃退しなさい

 でも、住民達の保護が最優先よ!!」

 

「「「応!!!」」」

 

賈?の言葉により騎馬隊は行動を開始する。

 

「伝令!すぐにこの事を月達に報告、城には華雄がいるはずだからすぐに軍を編成させて

 援軍によこすように伝えなさい!!」

 

(伝令も飛ばし終わった、ここから城まで片道だけでも一刻はかかる。隊を編成する時間も

 入れればかなりの時間がかかるわね…。)

 

そんな風に状況を確認していると、氷刃がこちらに訪ねてきた。

 

「なあ、どうしてあいつらはこんなことをするんだよ…」

 

氷刃が静かに問う。

 

「そんなのボクにもわからないよ!もうあんたのことはいいからどこにでも行きなさい

 巻き込まれるわよ」

 

これが今の僕の本音、実際こんな得体の知れない奴がいたところで邪魔になるだけだからだ。

 

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ボク自身、賊と直接戦うことはできないが少しでもこの事態を早く治めることはできる。

 

賊もそんなに多くないこれなら十分、自分が引き連れてきた兵だけで十分だと思った。

 

ボクは近くにいた兵士を護衛に付け細かな指示を出すために駆けた。

 

 

――氷刃side

 

「どうして、どうしてこんなことが起こってる…」

 

今までに見たことのない光景で頭の中は今にもパンクしそうな状態だった。

 

そんな中、ふと視界に少女を連れた女性が剣を持った男に追われている姿が目にはいる。

 

女性は少女の母親だろう、少女を連れ必死に逃げるがすぐに男に追いつかれてしまった。

 

男が剣を振るうと、女性は倒れてしまった。背中から夥しい量の血を流して。

 

少女は、倒れた女性に声をかけていた。

 

お母さん、お母さんと…。

 

ここでやっと、これが本当に起きているのだと理解する。

 

今までは単なるコスプレ大会だのと思っていたのだがこれは現実。

 

逃げることのできない事実だった。

 

そして、少女に先程、女性を切り殺した男が下卑た笑みを浮かべ近づいていた。

 

男はすぐに少女を殺すような真似はしなかったが、

 

何度も蹴りつけ、何度も殴り少女を嬲り続けた。

 

そんな光景を見ていると自分が歩きだしたのがわかった。

 

近くにあった騎馬隊によって絶命した賊の死体から

 

剣を拾い上げ未だに少女を嬲り続けている男に近づいて行った。

 

「やめろ…」

 

自分でもこんな感情のない言葉を発したことに驚いた。

 

男はこちらに振り向く。

 

「あぁ!?なんだてめぇ!!」

 

こちらを見た瞬間、男は声を上げ自分を殺すために剣を握った手を

 

振り上げる。

 

「やめろと言ってるんだ…」

 

「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞ!!!」

 

男は振り上げた腕を氷刃に向かって振り下ろすが

 

その刃は氷刃を捉えることはなかった。

 

男が振り下ろすよいも早く氷刃が相手の胴体と頸を切り離したからだ。

 

倒れている少女を優しく抱き上げる。

 

少女は気を失っていたが、死んではいなかった。

 

自分の中で何かが蠢いてるのがわかる。

 

それは決していいものではない。

 

ずっと昔に決別していたもの

 

僅かだが体の中に何かがいることがわかる

 

今の自分を憎しみや怒りで支配しようとして…。

 

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―――賈?side

 

賊の始末もあらかた終わったと思っていた。

 

「これなら、援軍を呼ぶまでもなかったわね」

 

ふと思い辺りを見回す。

 

すると、案の定あいつの姿があった。

 

こちらからでは後ろ姿しか確認できなかったが

 

何かを抱え込んでいるようだった。

 

「あんた、逃げなかったんだ」

 

近づいて声をかけるが氷刃は何の反応も見せなかった。

 

「ねぇ、あんた何してるのよ」

 

氷刃の正面に回り込む。

 

「いい加減返事くらいしな…なっ!」

 

氷刃が傷だらけの少女を抱き抱えその瞳は焦点があってなかった。

 

「衛兵!すぐに2人を見なさい」

 

ボクはただ氷刃は戦場の空気に当てられただけだと思っていた。

 

「一度、隊列を組み直すわ!各自、負傷者はこの村で待機、すぐに迎えを

 よこすから待ってなさい」

 

そう言い終わった瞬間だった。

 

「「「うおおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」

 

邑の周りで雄たけびが上がり地響きが鳴り響く。

 

「な、なんなのよこれは!?」

 

あたりを見回す。

 

そこには村を囲むように砂煙を上げ何千もの賊が迫ってきていた。

 

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(何よ…。こっちが賊の本隊じゃないの…。さっきのは先走った下っ端ってこと…)

 

兵達は負傷者もいる

 

それに、視認できるだけでも賊の数は優に二千は超えている。

 

賈?は必死にこの状況を打破するための作戦を自分が持てる知識を

総動員して考えていた。

 

そんな中、氷刃の声が静かに響く。

 

「どうして、お前達はこんなことをしている…」

 

賊のなかから主導者らしき男が前にでる。

 

「どうして?そんなの決まってらぁ!俺達は仕事もまともにできねぇ

 クズ共だ、そんな俺達が生きるためには人様から金や食い物を

 奪ってかなきゃねぇからだ!!!」

 

「言いたいのはそれだけか?」

 

氷刃の冷たい言葉が紡がれる。

 

ボクはこのとき、ここにいる男は先程までボク達を茶化しては

 

笑っていた奴なのかとボクはそう思わずにはいられなかった。

 

「ハッ?てめぇは何言ってんのかわかってんのか?

 まさか、一人でこの数に喧嘩を売るつもりか?」

 

男の笑い声につられてほかの賊達も笑い出す。

 

「言いたいことはもうないんだな…」

 

賊達の笑い声が響くなか氷刃の声はかき消されることなく聞こえた。

 

「賈?、この子を頼む」

 

そう言って、抱えていた少女をボクに預ける。

 

「あんた、一体何をするつもりよ!やめなさいよ…こんな数あんた一人じゃ」

 

言い終わるのも前に、今での行動を見ていた男が声を上げる。

 

「そんなに死にたきゃ、殺してやらぁ!お前ら殺っちまえ!!!」

 

一斉に賊達が襲いかかる。

 

氷刃の元に何人もの剣や槍が振り下ろされたと思った瞬間。

 

冷たい風が吹き荒れた――――。

 

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あとがき

 

長々とした駄文になってしまいましたが、どうでしか?

 

構成の部分でここはどうしても力をいれて描きたかった場所だったのですが

 

(`・ω・)コウセイナンテジッサイナインダロ?

 

自分でもここまでになるとは思いませんでした。

 

しかも、まだ恋姫キャラが月と華雄の名前だけと詠しかでていない状況…

 

どうすればいいのか…

 

|Д・) サイゴマデイクシカネエンダロ?

 

とにかく、頑張ってほかのキャラクターも出せるようにしていきます!!!

 

(゚Д゚) ニゲヤガッタナ!!

 

 

 

説明
2作品目の投稿です(`ゝω・)ゝ
このまま順調に続けばなと思います。
ちょっと長めの作品となってしまいましたが最後までよんでいただければ嬉しい限りです。(○´Д`∩)
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コメント
オリ主の武に期待します。(ブックマン)
次も頑張って氷刃を暴れさせたいとおもいますww(serafe)
Poussi?re様脱字報告ありがとうございます(。。))ペコペコ(serafe)
続きがとても気になります!!(キラ・リョウ)
いいぞーやれやれ!オリだろうが何だろうが、主人公最強最高 次作期待(クォーツ)
もしかして・・・・・主人公最強化?(もっさん)
主人公が無双する展開!? おお・・・・面白くなってまいりましたwww(Poussiere)
脱字報告 3p目 城には【華雄がるはず】だからすぐに軍を編成させて  華雄がいるはずの間違いかな?(Poussiere)
賊の皆に黙祷(YOROZU)
おお!続くが気になる!(ファンネル)
続きが見たいっすわ〜!!(ルーデル)
ふむなかなか・・・次は主人公が暴れるのですかね?お待ちしています。(sion)
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真・恋姫無双 恋姫 董卓 賈?    オリジナル if チート 

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