艦隊 真・恋姫無双 92話目
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【 戦勝報告 の件 】

 

?  司隷 洛陽 都城 謁見の間 にて  ?

 

翌朝………都城では、昨日の白波賊討伐の結果を報告する為、一刀と艦娘、諸侯が登城し、謁見の間に足を踏み入れた。

 

ーー

 

??「〜〜〜〜〜〜〜〜」ソワソワ ソワソワ

 

??「……………………ギリッ………」

 

??「………ふ、ふふ……ふふふ…」

 

百官「「「「「 ………………………… 」」」」」キリッ

 

ーー

 

そこには、玉座に座り落着きが無い『皇帝』、唇を噛みしめ剣呑な気配を漂わせる『大将軍 何進』、含み笑いを見せる『司徒 王允』の姿が目に入る。

 

しかも……付近を見渡せば、周りに百官が列席。 

 

この重苦しい空気の中を──皆すました顔で立ち並ぶ。 

 

皇帝や上の者が、どのような奇怪な態度を取ろうが……『まず褒める、賛同する、見ない振りをする』のが出世への条件。 決して自分の意見、本能的に出る行動を表してはイケないのだ。

 

ーー

 

雪蓮「(冥琳……なんで正式の謁見でも無いのに、百官が揃っているの?)」

 

冥琳「(正直……臆測しか言えないが……私達の話に対する証人なんだろうよ。 謁見の形を取った北郷に対する審議として……)」

 

ーー

 

桂花「(華琳様…………)」

 

華琳「(………心配しないでいいわよ。 貴女の策通り動いてあげる。 これが私に取っても……飛躍の一歩なのだから!)」

 

ーー

 

諸侯は………この滑稽な謁見に百官の態度を見習い、何時もの定められた場所で、顔を伏せ膝を付けて姿勢を整え、声が掛かるのを待つ事にした。

 

★☆☆

 

何進「今より──昨夜の件で、司徒王允から陛下への奏上があるとの事。 皆、面を上げい!」

 

「「「「「 ──────ハッ! 」」」」」

 

ーー

 

銅鑼の音が鳴り響き、諸侯が顔を上げると………王允が玉座の劉辯に向かい、恭しく一礼をすると、昨晩の話を報告する。

 

ーー

 

王允「陛下に臣、司徒王允が奏上仕る──昨晩、益州州牧『北郷一刀』は、我らが難渋した白波賊を退ける事、無事に成功された様子。 詳細は、北郷からの口上、また後に書面で御報告致します!」

 

劉辯「───!!」

 

何進「では、益州州牧──北郷一刀より報告を!!」

 

一刀「…………はっ!」

 

ーー

 

一刀は、その場に立って白波賊討伐の件を話す。

 

語るのは……『自分達が不覚を取った為……危なくなった事』『その危機に諸侯が救援に駆け付けて、自分達が助かった事』を述べる。

 

そして……『味方の防戦だけで精一杯。 白波賊に策術に嵌まり、後少しで命を落とすところだった』……と強調。

 

『だから、これらの戦勝は一刀達の功では無く──諸侯にある』と感謝の念を込めて、諸侯へ厚く報奨を願いたいと締めくくった。

 

実際、白波賊を破ったのは諸侯の活躍であり、一刀達に目立つ活躍はなかった。 だから、謙遜でも何でもなく……正直に願った訳である。

 

ーーー

 

だが、一刀は───深海棲艦との戦いだけ──全く話していなかった。 

 

劉辯は、北方棲姫と良好な関係を築いている。 ここで話して、その関係を壊したくない。 

 

それに──王允達には事情が分からないし、あえて説明して、興味をもった王允が、深海棲艦と手を結ばれると非常に困るという理由もある。

 

───そして、最も懸念すべし理由が、何進こと『空母水鬼』の存在!

 

一刀達は、この戦いで『中間棲姫』『戦艦棲姫』を二隻撃破した。

 

幾ら……鬼灯……『南方棲戦鬼』と袂を分かつ存在なれど、仲間を撃破した一刀に……良い感情など抱かないのが普通。

 

現に力を貸してくれた港湾棲姫、北方棲姫の表情は………暗かった。

 

ーー

 

 

港湾棲姫『………コウナルコト……覚悟……シテイタ』

 

北方棲姫『オ姉チャン………金糸、銀糸……居レバ……イイ』

 

 

ーー

 

それなのに、一刀が謁見の間に入り、何進の様子を伺えば……不機嫌だった顔が笑顔で見詰められる。 正直……何を考えているのか分からない。

 

一刀達と敵対行動し、深海棲艦から抜けたと表明する『空母水鬼』が、今後どう行動するのか………皆目全く見当がつかない。

 

一刀に力を貸すような行動を示すが、本当に手を貸してくれるのか? 

 

もし、本当に味方として参加してくれるのなら、物凄く頼もしい。 その戦力があれば、他の敵対する深海棲艦を抑制する即戦力になるだろう。 

 

しかし………空母水鬼を味方にすれば、左慈達と敵対する可能性もある。

 

左慈や于吉は、打倒空母水鬼を諦めた訳では無く、一刀達の成長が未だ足りない事を知って、表立てしないだけ。 主な艦娘が改二まで進めば、『その戦力で俺達に手を貸せ』と一刀に言ってくるだろう。

 

また、逆に考えれば……鬼灯と空母水鬼の策略という可能性もある。 左慈達が完全に離反した後に、内外からの個別撃破との考え。 そうなれば、管理者の力を持ってしても、防げるかどうかは分からない。

 

一刀『何とか無事に終わらせたら、一度、全員で集って……話し合わなければならないな…………』

 

目の前の報告も──自分達に関わる事だが、一刀としては官職等に未練は無い。 皆が無事で居てくれるだけで構わない。 

 

一刀としては………此方の問題が遥かに……重要な課題だった。

 

ーー

 

一刀「…………以上で御座います」

 

ーー

 

劉辯「──────!」

 

何進「(…………私が側を離れて……見慣れぬ艦娘が増えたな。 だが………一刀は私のモノだ…………)」

 

ーー

 

華琳「(………………甘いわね…………でも、悪くないわ)」

 

桂花「…………………………」

 

ーー

 

雪蓮「(────ふ〜ん)」

 

冥琳「…………変わらんな………」

 

ーー

 

月「…………そんな………ご主人様……」

 

詠「べ、別に……アンタの為にやったわけじゃ………」

 

翠「あ、あたしも………別に………」

 

ーー

 

美羽「七乃ぉ〜妾も出陣したかったぞぉ?」

 

七乃「私達は残念ですけど〜参戦できませんでしたからねぇ。 今、動く訳には行かないんですよ……。 一刀さんには、本当に申し訳ないんですけど……」

 

ーー

 

白蓮「…………一刀らしいや………」

 

ーー

 

「「「「 おおぉ─────っ!! 」」」」

 

ーー

 

 

唖然とする者、納得する者、不思議がる者……と居並ぶ諸侯、百官は其々の反応を示す。

 

だが、一人だけ────嘲笑う者が居たのだ!

 

 

◆◇◆

 

【 王允対冥琳 の件 】

 

?  洛陽 都城 謁見の間 にて  ?

 

 

王允「ガーッハッハッハッ! 天の御遣い……と名乗る割には、諸侯に助けられて、ようやく面目を保つのか!? 何とも……笑わせてくれる!!」 

 

「「「「 ──────!? 」」」」

 

何進「何を急に言い出される……司徒殿?」

 

王允「ふん………我らを救った力を使えば、半刻も掛からず撃破できる筈。 それが、力の出し惜しみか……諸侯に功を譲る為か──この体たらく振り! 何にしても浅ましい男だ! そうは思われませんか……陛下、大将軍よ!」

 

「「「「「 ───────!?! 」」」」」

 

ーー

 

司徒『王允』が、この場の空気を破るかの発言を放つ!

 

劉辯の顔は、血の気が急に引き真っ青になり、それから直ぐに顔が朱色に染まる。 諸侯の中にも、その発言に腹立つ者も居たが、身分が身分の為、直ぐ様顔を下に向けて表情を隠す。

 

ーー

 

劉辯「─────王『司徒殿、少し待たれい!』───何進?」

 

何進「しかしだな………貴公の御自慢の配下さえ無駄だった……白波賊討伐を成し遂げた事、これは紛れもない事実ではないか? それを、陛下の御前で──賛美ではなく口汚く罵るとは、真に有るまじき行為!!」

 

王允「何を言われるか大将軍、益州州牧が申していたではないか! 諸侯より手助けをして貰ったと。 儂が諸侯の手助けを禁止したのに関わらず、参戦した事、これ漢王朝の権威を蔑ろにする崩壊への序曲よ!!」

 

何進「───その位の事で、この漢王朝が倒れるとお思いかっ!?」

 

王允「………『螻蟻潰堤』……を存じているかな?  大将軍殿……」

 

何進「────!?」

 

王允「『蟻の穴のような僅かな隙間から、頑丈な堤が決壊する』という意味よ。 そもそも……そのような事だから、部下の離反にも気付かず、かのような件を起こしたのだ! 恥を知るがいい──大将軍何進っ!!」

 

何進「──────!!!」

 

王允「それに………諸侯の手を煩わせるなど、天の御遣いとは思えぬ低能振り! 偽の御遣いとの考え………儂は未だに捨ててはいませぬぞ? もし、偽者だった場合……北郷達と大将軍の首………どうなるのやら………」クックックックッ

 

何進「うぐぅぅぅ……………………!」

 

ーー

 

王允は、一刀達を白波賊との討伐を、少人数で向かうように命じている! 

 

だが、それは──討伐の裏に、天の御遣い達を戦死させる事も視野に入れた──王允の罠。 成功すれば白波賊を潰滅、失敗しても一刀達を偽の御遣いと弾劾、連れて来た何進にも責任を連座させて──処刑!! 

 

そんな思惑が隠されていたのだ!

 

だから……一刀が天の御遣いか試す為と説明して、諸侯からの援助を禁止させている。 援軍など寄越されれば、罠が失敗する可能性があるからだ。

 

それが失敗した今、次は……周囲の関係を断ち切る策に切り替えた。

 

北郷本人を取り除くには、支援を決意した諸侯を落として見せしめとし、北郷との間を断ち切る。 関係を切り離した後に、北郷を漢王朝より追放。 命令も罪名も……全ては自分の手の内、如何なる手段を使っても落とすのだ!

 

王允は、その陰謀を自分の胸に奥深く包み隠し、自分を制止しようとする何進を論破し──諸侯へと牙を向けた。 

 

ーー

 

王允「ならば……諸侯に問う。 儂は手助け無用と申し出た筈。 これは、天の御遣いである真偽を確かめる為の行動だと! それが……いつの間にか、兵を率いて参陣する越権行為。 これを………どう説明するのか!?」

 

ーー

 

王允の巨大な体躯と凶悪な人相が相伴い、不気味な迫力を見せる。

 

あの大将軍でさえ………黙らせた王允に反論できる者は居ない。

 

そう思われた時、一人の陪臣が………声を上げた。

 

ーー

 

冥琳「……………私は、袁公路に従う孫伯符配下『周公瑾』と申します。 その件には、私が代表として説明をさせて頂きます。 宜しいでしょうか?」

 

何進「…………許可しよう」

 

冥琳「はっ………簡単に申せば……我ら諸侯、天の意思により集結して、北郷一刀の救援に駆け付けた次第! 北郷一刀が私達に奇譚を現し、天の御遣いの力を示された故、我らは信用をして行動を起こしたからです!」

 

王允「な、何だとぉっ!?」

 

冥琳「司徒王允様は仰られました。 『北郷一刀を、真の天の御遣いか確かめる』と。 しかしながら、司徒王允様は政務に御多忙の身。 ならば、我らが代わりに───真偽を確かめようと考えたのです!」

 

王允「───しかし、お前達だけでは信用にならん! 口裏を合わせて話せば、御遣いの奇跡など幾らでも捏造できる! そのような証言では───」

 

冥琳「成る程───司徒王允様は、漢王朝に関り合いの無い人物から、屈託の無い証言があれば認められる………そう言われるのでしょうか?」

 

王允「その通り! 儂らに関係あれば──必ず関係者に良いように意見を繕う。 完全に関係が無い者からなら………認めてやる!!」

 

ーー

 

王允は、そう言って………ほくそ笑む。

 

『漢王朝の三公で、一番偉い司徒である自分の権力を持ってすれば、洛陽だろうが他の諸侯の民だろうが、無駄な事。 誰も儂の意向に遮る者など居ないのだ!』──と。

 

勿論、一刀に従う者(艦娘)、外史の管理者も疎外、恋姫どころか、その兵士も除外。 まさに……王允の思う状態。 

 

───そう、大陸を支配する漢王朝、その文官最高位を誇る王允に、誰が歯向かう愚か者が居るだろうか?

 

いや、居ない! 居る筈が無いのだ!

 

幾ら、崇敬されて居る身だと言っても、自分の身の方が可愛い!

 

だから、自分の勝ちだ───

 

……………心の中心で、王允が勝利を叫んだ!

 

 

だが、冥琳の考えは───王允の考えを簡単に上回る!

 

ーー

 

冥琳「私が証人で呼び寄せるのは───地下の牢屋に入っている白波賊! かの者共を、この場に召喚して頂ければ務まります。 彼らは……私達と敵対していた者、この条件に適合する最適な人物達ですよ?」

 

王允「─────ば、ばばぁ、馬鹿なぁぁぁっ!? な、何故………その者が証人になる! 奴等が全員、見たことも無い、名前も知らない天の御遣いを………知っている訳が!?」

 

冥琳「ふっ……御心配には及びません。 私達の報告には既に目を通しておいでかと思いますが、かの者達は奇跡を……いや応なしに味わっているのですよ。 あの戦場に現れた四人の『北郷一刀』によって!」

 

ーー

 

王允は驚愕すると同時に……その絡繰りを見破った! 『北郷一刀が四人現れた』──確かに書面で読んだ記憶にある。 だが、衣服を着替えさせ、それぞれが名乗りを上げれば……簡単に誤魔化が効く。

 

王允は、その事を指摘する為、冥琳に怒鳴りつける!!

 

ーー

 

王允「それは誤魔化す目論みの策だろうがぁ! 如何に『北郷一刀』を名乗ろうが、偽者ならば無駄な事だ! 信用させたいのなら───天の力を示す証言が───」

 

冥琳「ですので……捕虜にした白波賊達へ尋問される事を進言致しました。 地面より兵を出現させる者、素手で武器を所持した者と対峙する者──このような不思議なる者が、何と名乗っていたか?」

 

王允「──────はっ?」

 

冥琳「───その事も………詳細に記載しておきました。 ただ、余りに詳細に書いて、報告の竹簡が足りなくなりそうでしたので、更に細かい字で書かせて頂きましたが………」クスッ

 

ーー

 

王允は───この時になり、自分が嵌められた事を知った。

 

確かに、竹簡を読み時は、細かい文字が読みにくくて時間が掛かる為、飛ばして読む事がある。 今回は、諸侯が手助けしたという事実があるため、此方の言い分が必ず通ると信じていた。

 

だから……大まかな部分だけ読んで、出仕して来たのだが……それが裏目に出た結果である。

 

ーー

 

王允「─────ぬぐうぅぅぅ! だ、だが………あまりに対処が早すぎる! これは、どういう事だ!!」

 

ーー

 

顔を真っ赤にして、羞恥心と怒りに満ちた王允が、冥琳に更なる口撃を始めた。 先の約束は反故には出来ない! ならば、粗を探し……そこから切り崩しを図らんとした。

 

ーー

 

華琳「話に割り込む事、お許し下さい。 陳留太守『曹孟徳』と申します……その件に関しては、私から説明を致しましょう!」

 

ーー

 

ところが………更に曹孟徳が………名乗り出て声を掛けてきた!

 

 

◆◇◆

 

【 覇王の覚悟 の件 】

 

?  洛陽 都城 謁見の間 にて  ?

 

王允「……………申してみよ!」

 

華琳「はっ………王允様も既に御存知かと思いますが、今の大陸には黄色の布を身に付けた『黄巾賊』と呼ばれる賊が跳梁跋扈しています。 その為、人民どころか牛馬も嘆き悲しんでいると、私の手許にまで報告が…………」

 

ーー

 

華琳の話は……今大陸各地で報じられている『黄巾賊』の事。

 

対処の早さとは………まるで違う内容に苛立ちを覚え、王允は怒鳴ろうとした。

 

ーー

 

王允「それが、何の関係が──」

 

華琳「先の都城の騒ぎで『北郷一刀』の名声は、天の御遣いとして不動になり、漢王朝の守護者と認知されています。 その北郷が敗北すれば、白波賊が余勢で攻め上げ、押さえられた洛陽の民が再び蜂起をするでしょう!」

 

王允「─────!?」

 

ーー

 

華琳が神妙な態度を取りながらも、勝ち気な目で王允を見据えた。

 

突如、話が『北郷一刀』の名前、戦局の状況を語り出した為、王允は口を閉じて黙るしかない。 

 

それに、戦局の状況は………確かに該当する話である。

 

白波賊と洛陽の蜂起は……表と裏で繋がっているのだ。 白波賊の働きにより、動いていたなのは、これまでの調べでも──間違いない。

 

つまり、北郷が『敗北』した場合──華琳の話すような可能性があった!

 

王允は、更に続けるように目で命令する。

 

華琳は、『それでは……』と口を開き──続きを語った。

 

ーー

 

華琳「後は……お解りかと。 幾ら外の壁を強化しても……内外で呼応すれば、不落を誇った洛陽の都城でも簡単に落ち、洛陽という要を失った漢王朝も、滅亡の道を辿るのは道理かと……愚考致した次第」

 

王允「だ、だが………黄巾賊が何の関係が………」

 

華琳「ここまで説明して、御理解されないとは残念です。 柱石を失いし我らが……黄巾賊の歯止めを食い止めれるでしょうか? そうなれば……大陸は蹂躙、我らも漢に忠義立てし、城を枕に討ち死に……!」

 

王允「────!?」

 

華琳「そうなれば──司徒王允様は、後の世に『愚挙を犯した宰相』と残りましょう。 しかしながら──この曹孟徳、末席に繋がるも漢王朝の臣! その結末が理解できた故、北郷救援の準備を行った訳で御座います!」

 

王允「う………ぐぅ…………っ!? な、ならば………儂に………何故、報告をしなかったのだ!」

 

華琳「如何なる理由かは分かりませんが、北郷憎しと思われる王允様に申しても、どうしようもない事。 ならば、この責を私が預かるとし……皆に準備を願い出たまで。 ………この度の責は全て、この曹孟徳にあり!」

 

王允「─────っ!」

 

華琳「もし、北郷達と大将軍を処罰するなら──先に、この曹孟徳にこそ罪がある事は明白! どうぞ──先に処罰を下して頂きたく!」

 

ーー

 

これで、王允の反論の余地が無くなる。 自分の漢王朝を守る為に行った『策』が、逆に漢王朝崩壊、大陸の暗黒時代に突入させる『御膳立て』だった事に気付き……今頃になり慌て出す始末。

 

そんな王允の側に、何進が近付く。

 

ーー

 

何進「王允殿………この者の申し分、実に最もな事ではないか?」

 

王允「だか………しかし、しかしぃ! 法を破れば、後に続く者が現れるぞ? そうなれば、漢王朝の未来は……どうなるというのだっ!?」

 

何進「司徒殿……漢王朝を支えるのは貴方達では無い! この大陸の民の力あって事こその我らだと、何故気付かぬ! その民に慕われる北郷に、諸侯や陛下が靡くのは当然の事だぞ! 無論……私もだがな………」 

 

王允「………ぐぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

何進「───司徒殿は知らないようだが、洛陽の民、益州の民は──北郷に絶大な信頼を抱いている。 それを不信感で抹殺などと愚策を犯せば、自分の首を絞める行為となるぞっ!? それでも良いのかぁあああっ!!」

 

劉辯「───王允っ!!!」

 

ーー

 

怯む王允へ──何進が言葉鋭く突込み、劉辯も睨み付ける!

 

更に周りの百官からも冷ややかな目を向けられ………王允の言葉は、しどろもどろになる。

 

百官を集めたのは、『王允が御遣いを弾劾し、漢王朝の規律を厳守した』と発言した旨を、洛陽内に広まるように仕掛けたのだが──対応を間違えれば、逆に自分の失言を洛陽中に散蒔きかねない!

 

ーー

 

王允「…………さ、宰相として、国の大事を預けるに試さなければ、見えない事がある。 儂とて、憎くて行う訳では無い。 国の大事ゆえに、見極めなければならんのだ。 念には念を入れてな………」

 

何進「では………司徒殿は認められるのだな。 『北郷一刀は、天の御遣いである』と………? 周公瑾の証人も居る事だ……証拠も充分であろう!」

 

王允「そ、それは───」

 

何進「ならば───曹孟徳を処罰して、己の愚策を認めよ。 その後は………どうなっても知らんぞ?」

 

王允「わ──わかったぁ! 認める! 北郷一刀達を天の御遣いと──認めるっっっ!!!」

 

ーー

 

こうして、王允の謀は潰える。

 

そして、一刀の希望の通りに……諸侯に褒美が下賜される事になった事は言うまでもない。

 

その後は滞りなく進み、劉辯からの労いの言葉を掛けられ、何進の閉会の言葉により終了………解散となった。

 

今回、様々な思惑が入り交じった報告の場は、各々の目的……運命に導かれて役割を果たした。 これが、後々どう動くかは……誰にも分からない。

 

ただ言えるのは………正史とは、また変わった様相を見せる事になるだろう……この物語である。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

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あとがき

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

 

次は『義輝記』をと宣言したんですが、疲労とネタが浮かばず………時間がかなり掛かりそうです。 今月末までは、何とか出したいと思っていますが。

 

そのため、三日前から『艦隊〜』の方に手を付けて、代わりに出させて貰います。 

 

ですので、『義輝記』は、もうしばらくお待ち下さい。

 

 

 

説明
作者の都合で、義輝記が少し延びます。申し訳ありません。
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コメント
雪風提督 誤字報告及びコメントありがとうございます! 修正しましたが、他にもありそうで……怖いです。 大体の展開は黄巾の乱→??→反董卓連合で決まってます。 どこまで、皆さんの予測を覆せれるかは………今は何とも。(いた)
誤字発見なりや、何進のセリフで、正;艦娘・誤:官娘となってましたのでご注進なりや。そして・・この先の行方は、水面に広がる波紋の様に予測不明とならないといいのですが・・・。by(雪風)
スネーク提督 コメントありがとうございます! 王允も、まさか……証人が捕虜になった敵とは思っていなかったようで。 王允の足掻きは……後に大陸中を混乱に落とす事になります。 ………多分 (いた)
冥琳も華琳もナイス反論だな。王允も素直に認めていれば大衆の前でこんな赤っ恥をかかずに済んだのにしつこい奴だ(スネーク)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 王允の暗躍は、更なる混迷を漢王朝や一刀達にもたらします。 どんな行動かは……また次回にて……?  (いた)
哀れ(?)王允…策士策に溺れる、か。でもこのまま終わるとも思えませんし…まだまだ気は抜けませんね。(mokiti1976-2010)
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