真・恋姫無双〜薫る空〜7話(黄巾編)
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今のところ全てが自分の思い描いたとおりに事が運ぶ。

 

それは向こうがただの賊であり、訓練など無ければ指揮官すらもいないということだからだろう。

 

桂花に知略勝負で負けたのは悔しいが、ここで挽回してやろう。

 

そう考えていた。

 

馬に乗り、第2陣。つまり賊に止めを刺す最後の伏兵を構え、その場へ向かう。

 

賊が逃げたのは東南の方角。予想より少し方角がずれてしまったが、問題ない。

 

十分対応できる範疇である。

 

賊が通過するであろう場所を確認できる位置まで来た。

 

【薫】「ふぅ………。……よし」

 

それほど遠くないところから地鳴りが聞こえてきた。

 

小さいものだが、相手が歩兵であることを考えればそれはむしろ、相手の数の多さを現していた。

 

心臓の鼓動が早くなる。

 

初めての出撃に、初めての指揮。それらの緊張が仕上げに入ると同時に一気に膨れ上がった。

 

【薫】「大丈夫………大丈夫……大丈夫……」

 

自分に言い聞かせる。

 

たかが賊の鎮圧くらいで、何を昂ぶっているのか。

 

【薫】「さて………。来たよ。追撃の部隊に合わせて左右から挟撃する。合図と同時に2陣は突撃をかけて。」

 

伝令にそれを伝え、兵は立ち去る。

 

それにあわせるように、賊の軍がやってくる。

 

【薫】「旗を振って!!一気に攻め立てるよ!」

 

旗を振り、伏兵に合図を送る。

 

それと同時に、隠れていた兵達の声が聞こえる。

 

後方と左右から挟撃され、賊の部隊が散り散りに乱れ始める。

 

【薫】「………これで…上手くできたかな…」

 

目の前では明らかに自分達が圧倒的に勝利している。

 

だけど、その光景を見てもどこかすっきりとしない。

 

【薫】「気持ち悪い……」

 

なんだろう…。これは。

 

胸が締め付けられ、不快感に満ちている。

 

今にも嘔吐しそうな気分に、疑問を覚える。

 

勝ったのに…。上手くできたのに…。

 

視界がぼやけそうになるところを兵の「司馬懿様」という声で目を覚ます。

 

【薫】「どうしたの?」

 

【兵】「いえ、ご気分が優れないのでしたら、この近くに川がありますのでそこで休まれてはいかがかと。」

 

それほど顔に出ていたのだろうか。兵に注意されるなんて、やっぱり新米の証…だね。

 

【薫】「ありがと。じゃあ、少し休んでいくよ。……あぁ、皆は先に引き上げておいて。砦までもどれば春蘭もいると思うから」

 

そういって、あたしはその川へ向かう。兵の「しかし…」という声にも「大丈夫だから」とだけ言い残して歩を進めた。

 

 

 

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川というからには、やはりその周りには森ができていた。

 

森といってもそれほど深いものではないから、道に迷うなんて事はなかった。

 

水の音が聞こえ、馬から下りて、音のほうへ歩いていく。

 

馬は近くの木につないでおけば大丈夫だろう。

 

少し歩いて行くと、木々が開き、川が見えた。

 

水の流れる音が一段と大きくなり、心に落ち着きを与えてくれる。

 

【薫】「ふぅ……」

 

靴を脱いで、足を水につける。

 

それだけなのに、さっきまでの不快感は一気に吹き飛び、足の間を流れる水が心地よかった。

 

【薫】「あんまりのんびりもしてられないけど、もうちょっとならいいよね」

 

自分に言い聞かせるように、呟く。

 

思えば、少し前までは普通に勉強してただけの子供だったのに、いつの間にか軍を動かすなんて事をしている。

 

一刀がはじめての戦で気を失ったって聞いたけど、気持ちが分かる気がした。

 

人の死を初めて現実として直面して、その生々しさに眩暈がするほどだった。

 

気を失わなかったのは、一刀がそうなったと聞いたから。というのもあるだろう。

 

同じようになるのは…死んでも嫌だ。

 

足を遊ばせながら、ここまでのことを振り返る。

 

結構……あたしの人生って希少価値高いんじゃないだろうか。

 

そんな結論に至った。

 

 

………………。

 

 

――ガサガサッ

 

【薫】「ひゃ!?な、なに!?」

 

思考に浸っている最中に後ろからの突然の物音。

 

動物だろうか。小さいものならいいが、熊とか虎だったらどうしよう…。

 

【???】「いったぁ〜〜〜……」

 

【薫】「………………」

 

どうやらその心配はなさそうだ。

 

 

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【???】「あ〜、腰打っちゃったじゃない…」

 

【薫】「え…えと…」

 

【???】「ん?………誰?」

 

急に訝しげな顔で聞いてきた。

 

いや、こちらのセリフなんだけど…。

 

どうやら、女の人のようだ。

 

桃色の髪に、赤いふk……服……にしては隠すところしか隠していないような服…のようなものを着ている。

 

見た目は…すんごい美人だ。体型なんてまさに華琳とは正反対みたいな。

 

【???】「あなた、誰?こんなところで何しているの?」

 

【薫】「えと、あたしは司馬懿っていいます…。ちょっと疲れたから休んでるだけ。」

 

【???】「ふぅ〜ん。司馬懿ちゃんか〜」

 

人の名前を口にすると、こんどはじろじろとこちらを眺めてくる。

 

【薫】「ちょ、ちょっと…そっちこそ誰?」

 

【???】「へ?私のこと知らないの?」

 

【薫】「う、うん…」

 

なんだろ、前に会ってるのかな?…あれ、それならあたしのこと聞いてくるのもおかしいよね。

 

【???】「呉で私の事知らないなんて、ある意味すっごいことだけど、まぁいいわ。私の名は孫伯符よ」

 

【薫】「………は?」

 

【孫策】「聞こえなかったの?孫策っていうのよ。しらない?」

 

【薫】「い、いえ…知ってます」

 

あ、あれ?孫策ってたしか今の呉の……あれ?

 

【薫】「ちょ、ちょっと待って。今、呉でって言った?もしかしてここって…」

 

【孫策】「ん?ここは呉の国境付近よ?もうちょっと向こうへ行っちゃえば、曹操の領地に入っちゃうから気をつけなさい」

 

【薫】「………………嘘…」

 

あの兵卒〜〜〜〜〜っ!!!!

 

【???】「策殿〜〜〜」

 

【孫策】「あら、祭〜〜。こっちよ〜〜」

 

突然大きな声が聞こえたと思ったら、今度はさらにすごいおっぱい…もとい、女の人が来た。

 

 

【???】「探しましたぞ、策殿。……ん??この者は?」

 

【孫策】「司馬懿ちゃんって言ってね。ここで休んでたんだって」

 

【???】「は、はぁ…」

 

こ、これはどうするべきなんだろう……。

 

今目の前にいるのが孫策って事は、おそらく後から来たこの人もおそらく呉の人だろう。

 

【???】「とにかく、この付近で賊が逃げ込んだとの知らせがあったのでな。策殿もお戻りくだされ。」

 

【孫策】「えぇ〜〜」

 

【薫】「あ、あの、あたしもそろそろ戻りますね。」

 

とりあえず一刻もはやくここから抜け出さねば。幸いあたしが華琳側の人間とは気づかれていないみたいだし。

 

【孫策】「あ、そうなの?じゃあ、しょうがないわね。またね、司馬懿ちゃん」

 

【???】「ふむ……。」

 

【薫】「あ、はい〜。また」

 

愛想笑いを浮かべつつ、少しずつ離れて、歩き始める。もう少しここにいたかったけどこんな状況じゃもう無理だ。

 

近くにおいてあった馬の場所まで向かう。

 

だが…

 

【兵】「司馬懿様!!ここは呉の領地ですのでお早くお戻りください!!!」

 

【薫】「馬鹿………」

 

【兵】「……あ、あれ?」

 

【孫策&???】「司馬懿“様”?」

 

終った…。

 

 

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あとがき

 

 

さて…無事忙しい期間を乗り越えましたよ(`・ω・´)

 

というわけで、以前のように……と言いたいんですが、さすがに1日1投稿なんてできるかはものすごく不安です。

 

ただ、週2,3くらいはいきたいとは考えてますのでヨロシクお願いします(、、

 

それから、同時投稿していたI'M...なんですが、今度のストーリーで少し考えたいところがありますので、もう少し待っていただけますでしょうか(´・ω・`)

 

あ、完結までは必ずもって行くつもりですのでそこは大丈夫です。

 

ではでは(、、

 

 

説明
カヲルソラ7話です。
ん〜〜〜っと悩みながら執筆してこの長さです。

ようやくこの先の展開が見えてきて少しスッキリしています。

投稿速度が遅いままですが、忙しい期間は無事乗り越えました。遅いのは単純にどうしようか悩んでいるだけです(´・ω・`)
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コメント
国境越えは重罪ですよ〜(ブックマン)
あららwww  やっちまったなぁwww(キラ・リョウ)
あぁ〜あ 兵卒の馬鹿野郎が・・・・・・w さてと・・・・一悶着ありそうだなw(Poussiere)
あ〜、これはまたお仕置きかなwww(フィル)
薫さん・・・・ 桂花)やはり、男は馬鹿なのね。あの全身精ry)(最上那智)
薫\(^o^)/オワタ(温泉まんじゅう)
兵卒の馬鹿・・・・・・(L口調(いずむ)
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