異世界アレフガルド。

　そこは地球とは違う剣と魔法、そして魔物が蔓延るファンタジーな世界。

　幾度もの脅威に襲われ、その度に「勇者」と呼ばれる者達によって救われてきた世界だ。

　第一の物語。

　それは原典にして頂点、ロトの血を引く勇者の物語。

　アレフガルドに現れし王の中の王と呼ばれし邪悪なる者【竜王】。

　かつてアレフガルドを闇に閉ざしていた大魔王を倒した伝説の勇者ロト。

　その子孫である勇者がラダトームの姫であるローラ姫を救い出し、竜王を打ち倒して世界を救うという王道の物語。

　第二の物語。

　第一の物語の主人公たるロトの血を引く勇者。

　彼とローラ姫はラダトームより旅立ち、ローレシアという国を築き上げる。

　それからおよそ１００年の時が流れ、新たな危機が世界へと訪れる。

　邪教の大神官ハーゴンと悪霊の神々、そして最後に立ち塞がる最悪の破壊神【シドー】。

　その悉くを破壊し、破壊神を破壊した男とまで呼ばれたローレシアの王子の物語。

　そして、第三の物語。

　第一の物語と第二の物語の主人公の先祖、勇者ロトの物語。

　アリアハン王国で暮らしていた青年は魔王【バラモス】を倒すためにアリアハンを旅立つ。

　６つのオーブを集め、不死鳥【ラーミア】を復活させ、バラモスを倒した青年。

　彼は更なる巨悪を倒すためアレフガルドへと向かう。

　アレフガルドにて青年は大魔王【ゾーマ】を倒し、【ロト】の称号を授かることになる。

　―――そして　伝説が　始まった。

　しかし、このアレフガルドは第一の物語で歪んでしまった世界。

　ロトの血を引く勇者が人類を裏切り、竜王によって支配されてしまった世界。

　ならば、人類は滅びてしまったのか？

　ご安心を。

　一度は滅びかけた人類であったが、一人の【勇者】によって世界は救われた。

　彼は勇者ではなく創造者として精霊【ルビス】によって召喚された異世界の人間だ。

　事実、彼には勇者のように戦うための力は存在していなかった。

　剣技を修め、呪文を覚え、それでも勇者と呼ぶには全く力の足りない唯の青年。

　ルビスに課せられた責務もラダトームを復活させるまでという物作りを使命とした者。

　しかし、彼は世界を救った【勇者】だ。

　竜王を仲間と共に倒した【英雄】だ。

　世界を救うから勇者なのではない。

　世界を救ったからこそ勇者なのだ。

　彼は創造者【ビルダー】であり、それと同時に英雄たる【勇者】だった。

　これは、世界を救った後の物語。