カセットテープ
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オルセーヌ・オルファンは常識人を自負していた。

 

たとえばイーハトーヴ交響曲を聴くのもそれが市民としての義務だからだと考えていたからだった。

 

「カセットテープで録音した音源があるんだよ」とあたし。

 

あたしはユンファだ。

 

「バッハに影響を与えたヘンデルが作曲したヨハネ受難曲」とあたし。

 

「国語が意味不明ですよ」とオルセーヌ。

 

そっか。

 

「まあ聴いてみてよ」とカセットテープを渡す。

未来さえ繰り返す。

 

あたしたちは過去を。感動を。

 

「美しいですよね」それがオルセーヌがその音楽を聴いたときのてらいない感想だった。

 

ヨハネ受難曲だ。

 

繰り返す。

過去も。

蒼天も。

 

だけどそれでいいんだ。

 

都市で生きる常識人には。

説明
オルセーヌ・オルファンにヘンデルが作曲したとされるヨハネ受難曲の音源が手渡される話ですね。
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ショートストーリー オルセーヌ・オルファン カセットテープ 

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