きょうだいみたいな二人 |
今、総一朗と麻麻は交際している……が、中学生と(年齢で言うと)高校生で交際していいのか、と周りは思っていた。
しかし、超能力を使える麻麻なので、周りは頭が上がらなかった。
「すまないな、No.16」
「まったく、どうしてあなたはいつも、私に守ってもらってばかりなの? 男の子なのに、情けないわね」
総一朗と麻麻は、恋人というよりは姉弟のような関係だ(前者は長男、後者は末娘だが)。
鬼祓いの家系に生まれながら打たれ弱く力も持たない男の子の総一朗を、女の子の麻麻が超能力で守る……という、
性別役割分業的には逆転した関係になっていた。
「お前らみたいなのは男女関係ないだろ」
「でも、情けないのは変わらないでしょ」
ぐっと強引に押す麻麻だが、彼女に逆らえるほどの力は、総一朗にはなかった。
「情けない、か。確かにそうだな。今まで、鬼を見た事がないのに、鬼祓いの家の長男なんてかっこ付けたし」
「私も、仕事にありついた時は戦闘用以外では役割がなかったもの」
どこか似た者同士である総一朗と麻麻。
本来、総一朗は葵と勉強仲間だったが、麻麻が「力」を見せつけたため、彼女に変えてしまったわけだ。
「……けれど、私があなたと付き合った時、あなたの情けなさにイラついたわ。私、あなたを殺すかもしれない」
「殺す!?」
麻麻ら22人の超能力は、精神不安定だと暴走し、命を奪う可能性がある。
今の総一朗は、麻麻から見れば、あまりに出来の悪い弟だ。
姉が弟に手を出してしまう事も、無きにしも非ず、らしい。
そんな麻麻を見た総一朗は、彼女に必死にこう言った。
「だったら、俺も強くしてほしい! お前を守れるような、強い男になりたい!」
「その意気よ。私の仲間が、そのためのものを今から持ってくるわ」
数分後、麻麻はどこかから二振りの片手剣と一着の鎧を持ってきた。
「遠い異世界の武具よ。高い攻撃力を持っているわ。これなら、あなたは前で戦えるでしょう」
「これ、本当に効果があるのか?」
「大丈夫よ。どんな筋力でも効果を発揮するから」
この武具を作ったのは理々庵で、彼女の能力は一応、頑張れば他の人も使えるようにできるらしい。
総一朗はこの武具を見て、思わず装備したい気分になった。
「着たい! 是非、着たい!」
「その前に、人目がつかないところで着替えてね」
こうして、総一朗は理々庵が作った武具を装備した。
麻麻の言う通り、子供でもまるで羽のような着心地の装備らしいが、その力は本物だという。
「よく似合ってるわ、総一朗。あなたはこうでなくっちゃ、良くないと思うわ」
「な、No.16……」
総一朗は着飾っただけ、とはいえ、麻麻が認めるような男になれたかもしれないと思った。
いくら力を持つとはいえ、麻麻は超能力者で、その代償は大きいからだ。
彼女を守らなければ、いずれ彼女は力に押し潰されて破滅する……と、総一朗は感じたのだ。
「お前は一人じゃない。仲間や俺がいる。だから、一人で抱え込みすぎないで、前だけを見てくれ」
「嘘にならなきゃいいけどね」
今はまだ、彼女を守る力は持たないかもしれない。
しかし、彼女が力に飲まれた時、それを救えるのは……力を持たない、彼だけなのだから。
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総一朗×麻麻のノマカプSSです。 一応この二人は親戚なんですよ。 |
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